2.12.2011

[film] Romance & Cigarettes (2005)

木曜の晩から、しばらく行っていなかったBAMのCinematekで"The Susan Sarandon Picture Show"ていう特集上映がはじまった。 本人がちょこちょこ出てきてQ&Aとかをしてくれる。

チラシにはわれらの時代のBarbara Stanwyckとか書いてあって、それはいくらなんでも誉めすぎだよね、と思ったものの、この筋金入りアクティヴィスト&卓球屋のおばはんが出てきて睨みをきかせている映画にそんな悪いのはない気がする。

木曜日はオープニングで、時間を少しずらして2本あって、もう1本のほうは、"Light Sleeper" (1992)で、上映後に監督のPaul SchraderとSarandonのトークがある。
こっちも見たかったのだが、Paul Schrader & Susan Sarandon とJohn Turturro & Susan Sarandonだとどっちかなあと思って、ミーハーなので後者のほうにした。   

2005年にはまだ米国にいたはずなのにこんな映画があったなんて知らなかった。
おかしい、と思ったら米国ではMGMとSonyの間のごたごたのせいでちゃんとしたかたちでリリースされなかったのね。
ヴェネチアに持っていって、英国では公開されて、イタリアでは8ヶ月のロングランになったんだって。
日本では... (溜息)

おもしろかったです。 ていうかめちゃくちゃだわこれ。

Executive ProducerがJoel & Ethan Coen。  監督がJohn Turturro。 撮影はTom Stern。

主人公夫婦の夫(橋の修理工)が"The Sopranos"のJames Gandolfini、妻がSusan Sarandon、夫の愛人にKate Winslet、娘たち3人がAida Turturro、Mary-Louise Parker、Mandy Moore(いまどこに?)、仕事仲間にSteve Buscemi、妻のいとこにChristopher Walken、などなど。

Brooklynの労働者クラスの、既にじゅうぶんぶっこわれた家庭を中心に繰り広げられる狂騒のミュージカル。 Gleeよか5年早く、こんなのがあった。

全員、歌はそんなにうまくないし、ダンスもユニークだけどそんなに技巧に走らず、できることをやっているかんじ。
でもその地味な平熱感がなかなか素敵で、それが最後のほうでじわっと効いてくるの。

まともな登場人物はひとーりもいなくて、みんな歌って踊ってそれぞれが自分のあたまのなか(含.妄想)をぶちまけるかんじ。 消防士もおどるし妊婦もおどる。
Kate Winsletがー、あれはイギリスのどこの訛りなんだか、ものすごい赤毛のあばずれで、歌って踊って水中に沈められて、あばれまくっててたのしい。

Christopher Walkenは、あのへんなかんじのまんま。 まばたきしないし。

たまに、ほんとにばかみたいなとこがあって、しぬほど笑う。

ところどころCoen兄弟の、あのこてこてに作りこんだかんじとかがあって、あれがだめなひとはだめだろうし、実際うんざりするとこもないことはないのだが、たまにしんみりしたとことか、冬のブルックリンの冷え冷えしたかんじがとってもよく撮られている。 JFKのまわりを飛んでいく飛行機も素敵でさあ。

音楽はいろいろあるのだが、いっぱい流れるのは"Piece of My Heart"で、Dusty SpringfieldのとJanisのと、あとSusan Sarandonが教会でぶちきれて歌いだすシーンでは、彼女がこの曲を熱唱する。

あとは基本John Turturroがずっと好きだった歌ばかりを集めて流してて、Irving Berlinから、JBから、The MoonglowsからSpringsteen("Red Headed Woman")まで。 
権利関係をぜんぶクリアするのに2年くらいかかって、生前のJBとは直接交渉した、ってQ&Aで言っていた。

でも後半、あんな展開になるなんてさー。 それはそれでびっくりだった。
病床の夫を見舞いにきたSarandonが包丁を出すシーンはおもしろかったけど。

上映後のQ&Aで監督が言っていたのは、みんなこれをクレイジーだっていうけど、自分にとってはぜんぜんふつうで、だって音楽好きだし、歌うの好きだし、踊るの好きだし、ファックするのも好きだし、妄想も好きだろ、だからそういうのをぜんぶぶちこんだだけだ、って。  
そういわれてみれば、そうよね。 おかしくないよね。

Q&AでのSarandonさんの発言のなかでは、あなたの政治的スタンスから出演作を決めたりしますか? と聞かれて、あらゆる映画は政治的なものなのよ、映画で描かれる人間関係がすべて愛にまつわるものであるのとおなじように。 て熱く、ではなく淡々と語っていたのが印象的だった。 かっこいいねえ。

あと、映画のなかで飛び交うBrooklyn言葉について、隣地区のQueensで育ったSarandonさんでもよくわからない言い回しがあったのだそう。 John Turturro(Brooklyn born)のおじいさんがよく使っていた言い回しとかがあるそうで、このへん、おもしろそうだねえ。

終わって、Sarandonさんがふつうに立ち話とかしていたので近くによってみた。
身長は170cmてあったけど、実際はたぶん165くらい。  でもすてきなおばさんだったわ。

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