2.22.2011

[film] I only want you to love me (1976)

The Pajama Men〜 がおわったのが(まだ)8:30くらいで次の選択肢は3つあった。

ひとつは、Mercury LoungeのVersusで、ただこれはLate showなので0:00くらいの開始になるだろうて。

もうひとつは、Gramercy TheaterでのImmortal。
だって、ノルウェー黒パンダメタルって聴いてみたかったんだもの。 
それくらいまで精神的に追いつめられているんだよう。

で、やっぱしこれだ、とおもって辿りついてみたら売り切れよ。 
ええええ、だって暗黒パンダだよ、邪悪なんだよ、とかつぶやいてみてもしょうがない。
同じように呆然と立っている子供たちもいっぱいいた。 おぼえてろよ。

しょうがないので最後の案、Lincoln CenterではじまったFilm Comment SelectsシリーズからRainer Werner Fassbinderの76年作"I Only Want You to Love Me"をみる。 
邦題は「少しの愛だけでも」。

極悪パンダからVersus和み熊に行くのは少し違う気がして、逆にめらめら沸きあがったこんな世の中なくなっちまえモードにファスビンダーの陰険さはぴったしだ。
道ばたに立っているだけで凍え死にそうなくらい寒いしな。

Film Comments Selectsは、雑誌のFilm Commentsが定期的にやってる世界中の変な映画をピックアップして紹介するやつで、今回、日本からだと園子温の「冷たい熱帯魚」とかが上映される。 あとは南京大虐殺のやつとか。

でも今回の目玉はなんといってもAlex Coxの"Straight to Hell Returns"だよね。
かの"Straight to Hell" (1987)を監督自身が編集しなおしたやつで、監督自身も来て、上映後にDJとかライブイベントとかもあるの。 
でもこれの上映の頃にはもういないの。 ちくしょうー。

えー、で、この特集でなんでファスビンダーのこれが1本だけ入っているのかはわからん。 けど見てなかったので、見る。 もとはTVムーヴィーだったらし。

両親にあまりやさしく育てられてこなかった左官屋のピーターがエリカと結婚して、エリカに喜んでもらうためにいっぱい買い物して借金地獄にはまっていくの。
最初はいっぱい残業して稼ぐからだいじょうぶだよ、ぼくは自分の家族には貧しい思いをさせたくないんだ、と精一杯がんばるのだったが、子供も生まれてさすがに持たなくなって父親からお金借りたりするようになって、精神的にもきつくなっていって、やがて。

ピーターはほんとに犬のようにいいやつで、そういう無垢な忠犬顔してて、だからそんな彼が蟻地獄にはまっていくと余計にああなんてかわいそうな、とか思うんだけど、でも、毎日お花買って帰ることないよね、とか、しょうもないとこもないことはなくて、だからいつものファスビンダーのようにこりゃしょうがねえよな、と十字切って溜息つくしかない。

タイトルも含めてサークのメロドラマみたいなところもある。
だれにもどうすることもできない。 世の中はつめたくてしどい。そして怪しくて変な人たちばっかりだ。

撮影はMichael Ballhausさんで、例によってかっこよい。
ピーターが駅で電車を待っているだけのシーンにあれだけの緊張感を持ちこむことができるのはこのカメラならではかも。

ラストの余韻もすごい。 あれにはパンダも尻尾をまるめるしかねえ。

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