2.23.2011

[art] George Condo: Mental States

日曜日は、寒くて風邪ひいてしまったので、美術館ふたつ、映画ひとつだけ。
連休が終ったら帰らなくてはならないのだが、美術館は月曜休みだからさー。

最初がBoweryのNew Museumで"George Condo: Mental States" 。

http://www.newmuseum.org/exhibitions/431/

George Condo (和名:近藤譲二 - うそよ)は米国の画家/彫刻家で、こないだのカニエのCDジャケットでいきなりメジャーになってしまったひとね。
New Museumとしては、オープニング時以来の動員数になっているのだそうな。

3階と4階のスペースぜんぶつかって、彼の肖像画、大作とか黄金彫刻も含めてがーっと紹介する。

例えばYBAsの連中に見られるような計算高い、ねっとりしたとこはあんましなくて、よくもわるくも無邪気でおおらかでアメリカ。でもそれゆえの底意地の悪さ、みたいなのもあるんだろうなー、くらいのかんじはする。

絵を見て思うのは例えば漫画のわかりやすさ。誇張された顔のパーツや表情の歪み具合にF.ベーコンからの影響を云々することもできるのだろうが、あそこまでパラノイアックなかんじはなくて、思い浮かべたのは湯村輝彦とか谷岡ヤスジとかのほうだった。 彼らの絵に認められる、直情的に叩きつけられた力強い線や膨張したフォルムとおなじ何かが、はっきりとGeorge Condoのカンバスにも音楽的な、リズミカルな線としてうねりをもたらしていると思った。 こうして絵のなかの顔だの首だのは現実にはありえない姿かたちなのにはっきりと生きて、ソウルフルに動きだす。  カニエが反応したのも彼の絵のもつこんなような要素だったのではないか。

もういっこやってたのが、Lynda Benglis。
でろでろのエロともにょもにょオブジェと。 こちらはざーっと流した程度。

ここから久々のMetropolitan Museumにむかう。

見たかったのはセザンヌの"Card Players" 3点盛り特集。
セザンヌの「カード遊びをする男たち」にはいろんなバリエーションがあるのだが、世界中からそのうち3点と、関連する絵画も集めてみたらどうなるのか。 

企画はMetropolitan MuseumとロンドンのCourtauld Galleryの共同。
最初に雑誌でこの展示を知ったときは、うむむーなんてマニアックな、というかんじだったが、思っていたよかおもしろかった。

集まった3点は、Metropolitan所蔵の(3人版)とMusee d'Orsay所蔵の(2人版)とCourtauld Gallery所蔵(2人版)のと。 Metのがいちばん古くてCourtauldのがいちばん新しい。

集まれなかったのは、個人蔵のとThe Barnes Foundationの2点。こいつらは写真のみの展示。

もちろん、いろんな角度からの分析が可能なのだが、初期のほうがプレイヤーの顔とかひとりひとりの姿が色彩の鮮やかさも含めてくっきりと出ているのに対して、時間が経つにつれて焦点が各プレイヤーからカード遊びをしている部屋の情景、空間そのもの、のようなところに移行してきているのがわかる。色彩はより地味に、ひとりひとりのフォルムは空間内のパーツとして固くあるだけ、になっていく。 彼の晩年の「林檎」が石ころのように冷たく、しかしはっきりとそこにあったのと同じように、ある空間のなかの存在をその空間ごと切り出して、しかもそこに在ることを見せる、そういうアプローチが、しっかりと。

これまでの中~後期セザンヌの作風の変遷をきちんと裏付けるだけで、別の新たな発見とかそういうもんではないのだが、お勉強にはなったかも。

それから、写真コーナーの"Stieglitz, Steichen, Strand"。 近代写真の祖としての3人(ぜんぶ"S"ね)を横並びで。
殆どはここの写真コレクションのパーマネントだし、何回も見ているので言うことないのだが、個人的な好みでいうと、Steichenがやっぱしすごいかも。 StieglitzとStrandはどうしてもスタンダードを作ったひと、みたいなイメージがあるのよね。

もういっこやってた展示で、ええー(Metがこんな展示を)、みたいなかんじだったのが"Guitar Heroes: Legendary Craftsmen from Italy to New York"。

http://blog.metmuseum.org/guitarheroes/

Guitar Heroていってもプレイヤーではなくて、クラフトマンのほうだった。
19世紀にイタリアからNYにギター職人がいっぱい移民してきて、そうやってできたNYのギターブランドとその作品あれこれを紹介する。 D'Angelico とかD'Aquistoとか。 アコースティックもエレクトリックも。
時間によっては実演とかもやっていたみたい。

鳴っているとこ見ないとなんとも、だったのだが、子供も含めて普段こんなとこには来そうにないマニアみたいな人たちがいっぱいいた。
いちおうプレイヤーの写真とかも貼ってあって、ロック系だとPete TownsendとかMark KnopflerとかSteve Millerとか。 JimmyPもJeffBもいないよ。

あと、楽器コーナーのとこに、リンゴスターの黄金のドラムスが!ていう貼り紙があったので行ってみたら、64年のエド・サリバンショーに出た時に彼が使った金色のスネアがいっこ、ころんて置いてあるだけだった。
リンゴはバスドラムのほうがみたかったんだけど。

時間がなかったので大急ぎで走ってまわって、このあとバスで西に向かう。

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