2.09.2011

[film] Clash by Night (1952)

日曜日は、久々にからっとしたよい天気で、そんな寒くもなかったし、Chinese New Yearでもあるし、Chinatownに飲茶にいった。 獅子舞パレードもあるのですんごい人混みで、そのくせ歩道はあちこち姑息にブロックされててぱんぱんで身動きが取れず、上院議員だかなんだかが晴れやかにスピーチをする「日々一生懸命働いているMiddle Classのみなさん・・・(おいおい)」、その背後5mの柵の間では入ってくるひとと出ていくひとの間で圧死するんじゃないかと思うくらいのありえない攻防戦が繰りひろげられてて、ああこれが中国なんだわ、とおもった。

で、いろいろ見たいのはあったのだが、夕方からSuper Bowlだし、疲れがたまっている気もしたので、Film ForumのFritz Lang特集で2本だけ見ることにした。

最初が52年の"Clash by Night"。
フィルム・ノワールの名作として必ず名前があがる作品なのだが、犯罪や犯罪に近いことが描かれているわけではなくて、あとちょっとで犯罪に至ってしまうかもしれないような、それをもたらす夜の情景とか衝突する波風とか、それらを正面から捕えたすんばらしい作品だと思いました。

最初の、港にいるアシカで西海岸だとわかって、船に書かれた文字でMontereyだとわかる。

大きく分けて2種類の人達がでてきて、ひとつはPaul Douglas(夫)とMarilyn Monroe(缶詰工場で働く娘)とかのグループで、この人達は素直に実直に結婚とか家庭とか、それがもたらしてくれる幸せとかをしんじて、ぶつぶつ言いながらも毎日がんばって働いているのね。
もうひとつはBarbara Stanwyck(妻)とRobert Ryan(遊び人)のグループで、いろんな世界をひと通り見てきて、嫌な思いもいっぱいして擦りきれてて、どうせ先なんてないんだから遊んで暮らせりゃいいや、なのね。

ワケありっぽいBarbara Stanwyckが生まれ育った港町に帰ってきて、Paul Douglasと一緒になって子供もできて、真面目に暮らそうとするのだが、Robert Ryanに出あい、その暗く複雑な魅力にだんだん惹かれていくうち夫とは合わなくなってきて、彼と駆け落ちしようとする。

最初はあんなごろつきさいてー、て言っていたBarbara Stanwyckが、自分と同じような影を引き摺るRobert Ryanのほうにずるずる揺らいでいく様がものすごくリアルで、でもこわくはなくて、どこにでもありそうな夜の衝突(Clash by Night)をきちんと、それらが起こる部屋から部屋、更に船といった場所の遷移も含めて冷静に追っていて、すごいなあとおもった。

だからあのラストもごくふつうに納得できるのよね。
例えば同じ材料をサークが扱ったらどんなふうになっただろうかね、とか。

でもこれは監督の映画というよりは俳優さんの映画で、Barbara StanwyckとRobert Ryanのふたりのなんか錆びついたように疲れた佇まいに尽きるよねえ、とおもった。

続いて、同じ52年の"Rancho Notorious"。
こっちはテクニカラーで、西部劇。
"Clash by Night"が凍りついたようなモノクロでストレスたっぷりに進行していったのに対して、空気は少しだけ弛んだかんじになる。

でも衝突、というかアクションはいっぱいあって、冒頭でキスしたとおもったらその婚約者が強盗にあって殺されて、そいつらを追って荒野を渡って、床屋で殴り合いがあって、脱獄があって、銀行強盗があって、内紛があって、だがしかしこれら全てをかわいそうな主人公の激情と復讐の念がドライブしていったのか、というと必ずしもそうではなくて、どっちにしてもなるようにしかならなかったよね、みたいな描き方をしているところがおもしろい。

ノワール、というよりすべてが露わでわかりやすい昼間の明るさのなかにある映画で、そこにテーマ曲の”Chuck-a-Luck" - 盗賊達のアジトがあるとこ - チャカラック - の歌がちゃかちゃかまぬけに流れてくると、もうなんでもいいや、すきにしろい、てかんじになってしまうのだった。 よくもわるくも。

”Clash by Night”でじりじりと流れていく夜の時間、"Rancho Notorious" - というタイトルはスタジオ側がつけたやつでほんとは"The Legend of Chuck-a-Luck"というのになる予定だった - でこびりついてくる土地の固有名、どちらにしてもなにかコトが起こる/或いは結局起こらなかった - 舞台装置としては見事に揺るぎなく、そこにあるのだった。

Marlene Dietrichがブロンドで、盗賊団のボスをやっていて、こんなひとがメキシコ近辺まで流れてくるわけねえだろ、と思う一方で、ウェルズの"Touch of Evil" (1958)なんかにも姿かたちを変えてふらーっといたし、きっと本人はそういうふうに南の方に流れていたかったのだろうな、とおもった。

終わったらもうほぼ6時で、ゲームは始まってしまっていたのでせめてChicken Wingでもーと思ってDean & Delucaに行ったら店内がらがら、もう殆どなにも残っていなくて、しょうがないのでチーズとパン買ってかえった。

久々のSuper Bowl、ゲームはそこそこわるくなかったが、CMとかはあんまおもしろくなくて、後から動画で見れるせいもあるからかあんま集中して見れず、盛りあがらなくて、ソファでそのまま落ちて気がついたら1時で、Gleeのスペシャルを見逃して、ああこうやって歳とっていってしんじゃうんだわ、てしくしく泣いた。



久々に氷点下が戻ってきていて、今TVにはマイナス6くらいて出ているのだが、ぜったいそれよか寒い。で、そんなTVのLate ShowにはさっきまでライブみていたGang of Fourが出ていて、なんかへんなかんじなのだった。

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