4.30.2013

[film] Flowers of Shanghai (1998)

米国に出る前の日、4/6(土)に神保町シアターでみました。 この特集『いろはにほへと ちりぬるをんな〜春よ!映画よ!女たちの饗宴』も見たかったのだが、結局見れたのはこれだけ。

侯孝賢の作品、これはまだ見ていなかったので。

19世紀の上海、赤暗い光が瞬く遊廓のなかに浮かびあがる3人の娼婦のおはなし。 それぞれの娼婦、それぞれの客にクローズアップするというよりも、彼女たちが客を待ち、客と相対し、客に恋をしたりいろんなことがあり、アヘンを吸ったり食事したり、そこで一生のほとんどを過ごす(運のよい人は身上げされて外界に出ていく)、その金魚鉢のなかの世界を定点カメラ(カメラも水面の動きにしたがって揺れたり)でじっくりと追っていく。

いろんな思惑とか歓びとか妬み嫉み裏切りとかがあって、それなりの修羅場(客に毒飲ませたり家具壊したり火つけたり)もあったりするものの、客を歓待する場として相応の統制は取れていて、なんかあると長老が出てきたり年配の女性が出てきたり、館内ですべての収拾と落とし前はつくようにはなっている。
かといってそこは牢獄(魂のそれ、も含む)では決してなくて、むしろ逆にそこにいる女性は自身の生の全てを客に投げだし、客を繋ぎ留め、そうすることで自分も生きる。 なんとしても生きる。

よいわるいはともかく、それはそういう世界、そういう場所として昔からそこにあって、そこで映画は「生きろ!」とかうざいことは決して言わない。 例えば、彼女たちはこんなふうに恋をした、一生懸命恋に生きた、ということを控えめに、しかし最大限の賛美と美しさをもって語ろうとする。 あの赤暗い光の瞬きと、そのなかで揺らめく金魚たちの美しさ、そして閉塞感も退屈さもうんざりも、それらをぜんぶひっくるめたものとしての恋の輝き儚さ、残酷さを見つめようとする。

で、この空気をまるごと掴まえるような目線はそのまま「ミレニアム・マンボ 」(2001)のオープニングに繋がるのだとおもう。 
恋愛の普遍性、というよりも、ドラッグ/毒として、不治の病として古代から脈々と流れてきている恋愛のありよう。 んで、それをより明確に意図的に時の流れのなかに置いたのが「百年恋歌」(2005) だったのでは。

というのもあれば、終始あちこちうろついて、出会いがしら相手をかまいたちの電撃で仕留めて持っていって、しかもほいほい乗り換える、ホン・サンスみたいな恋愛もあるの。 

侯孝賢とホン・サンスの映画における恋愛とジェンダー、みたいな論文、だれか書いていないかしら。

[art] Edward Steichen in High Fashion:The Condé Nast Years 1923-1937

4/4の木曜日午後、会社半休して行きました。

時間はいっぱいあったので、まずユーロスペースでカラックスの『ポンヌフの恋人』を、もう何回も見ているけど、またみる。

とにかくこの映画の花火のとこが音楽の流れも含めて大好きで、うっとり涎たらしながら見る。
それ以外は、つらいとこも多いので、うううと体を硬くしつつ。

最後、橋で再会するシーンは、なんかもう二人とも幽霊なんじゃないか、ていつも思う。
幽霊ならこのあと、川に落ちたり、いろいろあってもへっちゃらだよね。

前のと字幕が変わった、ということで実際変わっていたようだが(目覚めよ!→  まどろめ! - 幽霊だとしたら納得できる)、でもこの映画、字幕なしでもわかる、それくらい力強い画面の流れ、というか筆致がある。

そこから世田谷美術館(ほんと久々)に行ってスタイケンを。

スタイケンはこないだ復刻された"The Bitter Years"なども含めてものすごく裾野のでっかい写真家なのだが、今回は1923~37年まで、Condé Nast社のチーフ・フォトグラファーとしてファッション・フォトのスタイルを確立していった時期のポートレートを中心に。

『ルーヴルで見るから芸術なんだよ。『ヴォーグ』をルーヴルにしよう』 ← なんてかっこいいんでしょ。

というわけでこれらが写真としてスタイリッシュでブリリアントなのは当然なのだが、それ以上にうわー、だったのが被写体となった当時の男優女優セレブあれこれ、あんなひともこんなひとも、なのだった。 昔の映画が好きなひとは絶対行って損はない内容だとおもった。 映画のなかの配役、或いはスチールとして知っている俳優さんたちがそれらとは全く別のイメージを纏って現れてくる。

展覧会全体のメインヴィジュアルになっているグロリア・スワンソンもそうだが、このひとってこんなふうにも... ていうのが結構あった。 更にここから拡がっていくイメージもある。
あとは映画監督 - ルビッチ、シュトロハイム、キング・ヴィダー、セシル・B・デミル、ジョセフ・フォン・スタンバーグなどなど、あとは、ユージン・オニール、ピランデッロ、イェイツ、ノエル・カワードといった作家の方々、ホロヴィッツ(アダムじゃないよ、ウラディミールだよ)とかマーサ・グレアムとか。 うじゃうじゃ。

よく見ないでカタログを買ってしまったのだが、これはあんまし、だった。 展示にはあったのにオミットされている写真があまりに多くて、展示に付いていたキャプションもほとんどなし、サイズを小さくしてもこれらは全部のっけてほしかったのにー。 海外版を買うしかないのかー。

4.29.2013

[film] The Deadly Companions (1961)

シネマヴェーラでこないだまでやっていたウェスタン特集は、どれもすんごく見たかったのに、行けたのは2日、サイレントのライブ演奏があった2本と、その他1本だけだった。
昔の西部劇って、昔の西部でそのまま撮ってるとこがすごいなあ、って。
カメラが平原とか遠くの馬とか捕えているだけですごいー、ほんものだあー と盛りあがってしまう。
で、そこにライブのピアノが入るんだからたまんないのよね。

見た順でざーっと。 あたまの2本は、3/30に見て、最後の1本は4/6に見ました。
1本目と3本目は、柳下美恵さんのライブピアノ付き。

Wagon Tracks (1919) - 『開拓者』

東の海岸に船で辿り着いた開拓者の一団を沙漠の向こうの開拓地に届けるガイドのバックスキン(William S. Hart)は、同じ船でやってくる弟との再会を楽しみにしていたのだが、弟は船の中で殺されてしまっていて、ガイドする客のなかにその犯人がいることを知るの。
開拓団を率いて沙漠を渡っていく道中、水が足らなくなったりインディアンがやってきたりの危機が迫ったとき、開拓団の先頭に立つ彼はにっくき犯人をどうしてくれるのか。

バックスキン役のWilliam S. Hartの、石みたいに硬そうな顔の皮とか頭とか、怖そうだなー怖いんだろうなー、と思って見てた。 一番ごつごつしていた頃のClint Eastwoodよか、石頭固そう。殴っても血とか出ないみたいな。 しかもタワシみたいな変な髪型、と思っていたらそれは帽子だったのでそれもびっくり。

The Deadly Companions (1961) - 『荒野のガンマン』

サム・ペキンパーの映画監督デビュー作だそうだが、ペキンパーを語れるほど見ていない。
けどデビュー作にしては余りに枯れて殺伐としているような。

元北軍兵士で捕虜になっていたときに頭の皮を剥がされかけたYellowleg(Brian Keith)は、南軍の仇敵をみつけて一緒に銀行強盗をやろうとするのだが失敗して、酒場のシングルマザー Kit (Maureen O'Hara)の息子を殺してしまう。
絶望して息子の小さな亡骸を父親の墓に一緒に埋めたいからと旅に出るKitにYellowlegは付いていくことにして、更にそこに下心たっぷりの悪い奴ら2人も加わって、全員が互いに憎みあい嫌いあいの救いようのない道中が始まるの。

ほぼずっと猛り狂った猫状態のMaureen O'Haraがほんとに怖くて、ぐさぐさのやりあいばかり続くのでどうすんだこれ、最後は全員仲良くそろって墓場か、とか思うのだが、最後はものすごくきちんと落ちるところに落ちてしまう不思議。 しかもそこには全く無理も無駄もないの。

The Great K & A Train Robbery (1926) - 『古今無双の強者』

列車強盗団がいて、狙われている鉄道のオーナーがいて、強盗団を捕まえるのに探偵トムを雇うの。
トムはいきなり登山のヒモにぶら下がっててなにしてんのあんた? だし、その助手は列車の床下に網張ってその中で寝泊まりしてるし、こいつら強盗団と同じくらい胡散臭いのだが、社長の娘の誘拐とか社長秘書が実は… とか、はらはらどきどきてんこ盛りの駆け引きがあって、確かにどいつもこいつも古今無双の強者なかんじはする。 Steven Seagalとおなじくらい理不尽につよい。
強盗団、もうちょっとがんばれ、くらい言いたくなったりした。

しかし、列車も馬も速くてついていくのがなかなか大変だった。
驚異的だったのはトムの愛馬で、列車に繋がれたまま同じスピードでずっと走っていく。
いちばんびっくりしたのはそこだったり。


この3連休は、リハビリも兼ねて神保町でサイレントに浸かっていた。
やっぱしサイレントすごい! になりましたわ。

4.28.2013

[film] Flight (2012)

4/2の火曜日の晩に見ました。
これ、機内映画ではぜったいやってくれないだろうし、やっぱしでっかい画面で見たいし。

最初にこれの予告を見たのはNYだったが、あの飛行機がでんぐり返って飛んでるとこでみんなえらくどよめいていた。 うん、あれはどよめくよねえ。

でも、"Unstoppable"の飛行機版、ではなかった。
アルコールとお仕事のお話だった。
更にいうと、アルコールもお仕事もそれ自体はそんなに悪くなくて、いけなかったのはみんなに嘘ついたことなのよ、ていうお勉強になる映画だった。 しかも仕事で見せられるコンプライアンスの事例なんかよかずっとずっと深いのだった。
 
映画はそういうのとは別におもしろかった。
Denzel WashingtonとJohn Goodmanの最強タッグがぶーん、てかっさらってしまうかんじ。
全体を通してDenzelは終始どよーんとしている(むっつりしているか酔っ払っているか)のだが、Stonesに乗ってそこらの魚屋みたいにJohn Goodmanがヤクを運んでくるとこだけ、ぱっと明るくなるの。
アルコールもヤクも、なにが、どこがわるいねん? て力強く言ってくれる。 そこだけ。

で、そんな天使みたいなJohn Goodmanもいれば、死神みたいのも出てきて、それが病院の階段でヤク中で入院していた彼女と、飛行機事故で入院していた彼と、末期ガン患者の男が煙草を吸いながらトライアングルで対話するシーンがあって、このシーンはすごくおもしろい。

誰にもできない曲芸飛行で生死をくぐり抜けたあとで、天使と死神が現れる。その間で彼は自分をどこに持っていくのか、審判は誰がどう下すのか、と。

"Flight"には、3つくらいの意味があって、彼が小さい頃から憧れていた飛行機乗りの世界と、あの事故でクローズアップされて彼のその後を決定づけてしまったあの飛行と、あれこれ揺れながら舵を取らなければならない彼のその後の生と。

でもとにかく生きるしかねえんだ、と。 結局のとこ、DenzelはDenzelで、その点においてなんだかんだいってもあきれるくらい強いのだった。 あそこで飛行機墜落してても彼だけは死ななかったと思うよ。

4.27.2013

[film] Zero Dark Thirty (2012)

22日の月曜日から会社に通い始め、なんとか5日間続けられたのだが、ぜんぜん咳が止まってくれない。
咳の発作がこわいので映画にもどこにも行けず、更に日中はマスクしているので半酸欠でぼーっとしていて、その状態で仕事がどかどか降ってくるのでずっと泣きそうだった。

というわけで、米国行く前に見ててまだ書いてなかったやつをぼちぼち。


3/30の土曜日の夕方、日比谷で見ました。
これはなんか書くのが難しいなあ、と思ってそれはなんでだろう、と。

Based on the true event であることは誰もがわかっていて、911のテロ以降、首謀者の居場所を探してじりじりじたばたしているCIAの人たちの取組と戦いを追っていて、ほんとは捕まらない状態のまま撮り終えようとしていたらその直前に実際に捕物が発生してしまったのでシナリオを一部変更した、とか、CIA長官が映画の描写についてわざわざ不快感を示した、とかいろいろ聞こえてくるところからすると、つまりこれは本当にあったことに本当に近いのだな、と。

最後は首謀者の隠れ家をつきとめてそいつを暗殺して終結するのだが、映画の中心はCIAに勤めるひとりの女性が拷問や聞き込みや張り込みや膨大な情報の海のなかからたったひとりの男の居場所を探し出そうとする、そのお仕事そのものであるように思われる。
仕事は楽じゃない。 見たくもない拷問を見せられ、アメリカを憎んでいる人々の間を疑って探ってうろうろし、自身の命を危険にさらし、それでも辿りつける保証はない。
それでも主人公は、不機嫌な顔を隠さずしつこく地道に「仕事」をこなしていって、最後にようやく獲物に到達する。

前作の"The Hurt Locker"もそういう異常な状況下での異常なお仕事、を追った映画だった。
そこで描かれるのは主人公の果敢さ孤高さ、というよりは異常なお仕事の連続でなにかの箍が外れている男の、なんともいえない佇まい、その気持ちの悪いかんじだった。
危険な戦場で危険なところに首をつっこんでお仕事をこなす主人公の、その内面を見せない描きかたが、よかった、というと変だけど、その不気味さ異常さをそのままほれ、と提示するそのやりかたがなんかよかったの。

この映画の主人公の描き方も同じようで、彼女は終始仏頂面で、頭の中と情報を行ったり来たりしながらいろんな人達に指示を出して任務を遂行していく。10年を超える、全世界を股にかけたオペレーションであるのに、そのスケール感はまったくなくて、彼女はたったひとりでずっとオフィスの机に踞っているように見える。 んで、最終的にコトを成し遂げても、その達成感はあまり伝わってこなくて、それは結局のところ、たったひとりの老人を追い詰めて暗殺する、そういうお仕事そのものの異様さ陰惨さに由来しているように思えてならない。 彼女の使命感がどれだけ強いもので、911に対するアメリカの報復という大義があるにせよ、結局のところそれは人殺しという一点に集約される、というところに。(そして、それを遂行したところで世界=アメリカに平和が訪れるわけではないことを誰もがわかっている、というところも) 

戦争の遂行、というのを「お仕事」のレイヤーに分解していったときに明らかになってくる、戦争はそんなみんなの懸命なお仕事(=殺人)を束ねて積み上げたものなのだ、という当たり前の事実が。
んで、仕事ってなんなんだろうねえ、とか自分のも含めて考えてしまうのだった。

で、そういうのって映画のおもしろさとは別のなんかのような気がして、どうしたものかー、と。
映画なら、殺さずに捕まえる、という形にしてもよかったのでは、とか。
彼女の不機嫌にビン・ラディンのアメリカへの憎悪・呪詛を正面からぶつけてみるべきだったのでは、とか。

Leslie Nielsenが生きていたらなあ、"Naked Gun"のシリーズでぜったいにおちょくってくれるのになあ、とか思うのも憚られるような生真面目さがきついのだった、なんか。

あ、あと、CarlosのひとがCIAの犬になっていた。

4.21.2013

[log] Vegas, Seattleそのた - April 2013

ヴェガスとシアトルのそのたあれこれ。

ヴェガス、結局なんもしなかった。 映画2本見ただけだった。
ホテルのなかを抜けてイベント会場まで向かう途中に博打場とかスロットがいっぱい並んでいるのだが、そこは禁煙ではないので煙草と葉巻とよくわからん甘ったるい匂いが渦を巻いてて、最初にそこで気管支をやられたのだとおもう。 日本にいたときから少し変で、花粉かと思っていたのだが違っていたもよう。

かんじんのイベントのほうも、ほとんどなんもせずに、コマからコマに授業を受けるようにまじめに行ったり来たりしていただけ。 到着した日に日本人同士の食事会があったらしいのだが、これもさぼった。 日本にいるときはずっと日本人と一緒で、なんで海外に来ても一緒に行動しようとするのか、ぜんぜんわかんないわ。

いちばん感心したのはスーパーボールサンデーのとき、ドミノにくるピザのオーダーは一千百万枚、ていう豆知識だった。 みんなドミノすげー、ってどよめいていたが、そもそもなんでそんなにピザ食べるの。

朝御飯は、イベント会場のなかのでっかいホールにホテルのケータリングが入っていて、ビュッフェで好きなのを取るのだが、フルーツくらいしか食べるのがないの。 初日に置いてあったブリトーなんか、かちかちの皮のなかにかちかちの卵みたいのとおがくずみたいのが入ってて、メニューをみたらスクランブルエッグとチョリソーだった。

会場内は世界中からGeekが集まっているようなかんじ。 映画なんかに出てくるアッパー系のGeekではなくて、ダウナー系のそれで、はげとでぶがものすごくおおくて、おとなしい畜獣みたいにのしのし移動している。 しかし、こういうとこにいる北欧の人たちって、なんか変だよね。 ムーミンかあんたら、みたいな。

シアトルは大企業の建物の一室でえんえん打合せしていただけ。
館内にいっぱい貼ってあるいろんなモダンアートといつも暇そうなバリスタのお兄さんがちゃんとしたコーヒーを淹れてくれるバーだけが楽しみ。

土曜日の打合せだけシアトルのダウンタウンで、それはだらだら楽しい打合せになる予定だったのに上のひとが参加することになったのでいきなりつまんなくなって、その方がいなくなってからようやく、少しだけ買い物とかに動くことができた。 (で、上がり下がりが激しくてその晩発熱、と)

最初にQueen Anne地区のSilver Plattersに行って、7inchを3枚 - Melvins、Rocket from the Crypt、MC5(これらはいつも通り)。 12inchは、こないだジャズ歌手として「再」デビューを果たしたMolly Ringwaldさんの6歳のときのデビュー盤、"I wanna be loved by you - Molly Sings" (1975) が棚にあったので買った。

で、そこを出たところで雹をばちばちぶつけられて、泣きながら近所のEasy Street Recordsに駆けこもうとしたらお店がなくなっててがーん。(跡地にはChase Bankが)
新譜のアナログはここで買おうと思っていたのでなかなか痛かった。

本・雑誌はもうぜんぜん、空港の売店とBellevueのBarnes & Nobleで雑誌を買っただけ。インディー系のなんてぜんぜんないし。

New York Magazineて西の空港には1週間遅れで入るのを知った。
"Childhood in New York"特集は表紙が4種類、子供の頃のSpike Lee、Matthew Broderickとか。
Coney Islandで女の子がジャンプしているのを買った。

あと、modern farmerていう最近の農業を志すひと向け(?)の雑誌。なんかおもしろいの。
compostableなうんこチャート(イラストつき)とか。鳥、牛、山羊、ヒト、魚、などなど。

http://modernfarmer.com/

あと、案内してくれたひとがスーパーマーケットに寄るというので、ついでにHormelのCorned Beef Hashの缶詰とか買った。
これ、弱火で30分以上じりじり炒めてケチャップでぐちゃぐちゃにして食べるとおいしいの。

あとなんかなかったか。


関係ないけど、日本のRecord Store Dayの盛り下がりがかなしい。
もともと欧米のローカルレコード屋を支援するイベントであるから、洋楽マーケットが縮んでいくばかりの、ほぼ量販店しか残っていない日本なんかで成立するわけがないのであるが、あーくやしいったら。
また買い出しに行くしかないのかー。

4.20.2013

[film] あれから (2012)

3月29日の金曜日の晩、渋谷で見ました。
この週はずっと上の階の「ベルリン・アレキサンダー広場」に通い詰めていたのだが、でぶのフランツを一旦中断してこっちに来た。 これの上映が終わってしまうというし。

12月にオーディトリアム渋谷でフラーの上映があった時に、その前の回で「孤独な惑星」やっていたせいか入り口のとこに竹厚綾さんが立っていて、それだけでうわー、てなった。 それだけだけど。関係ないけど。

お客さんに靴を履かせてあげるシーンで始まり、自分で自分の靴を履くシーンで閉じる。
311の日、歩いて帰宅するので靴を求める客の対応をしながら、彼女は被災地近くにいた恋人との連絡が取れないでいる。 数日後、漸く消息を確認できた彼は(震災前からそうだったのだが)精神のバランスを失って入院していて、余震の危険もあるので来ないでほしい、と彼の家族からは言われてしまう。

彼と会いたい、会いに行くべきか、行かずにおくべきか、の間で途方に暮れて壁を眺めてばかりの彼女の前に、突然彼が現れる。一度は二人が暮らしているアパートの部屋に、一度は友人の結婚披露パーティのビデオメッセージの中に。 それは現実なのか彼女の妄想なのかわからなくて、だがしかし、彼に何を言われても今の彼女にとってきついのは自分でも十分わかっている。

やがて彼女は決意をするだろう。
「あれから全てが変わってしまったけど、それでも…」という揺れる決意が、
「あれから全ては変わっていないんだ、だから!」に力強く転換する瞬間が訪れる。

「あれから」の「あれ」は、ふたりを引き裂いた311ではなかった。 ふたりで一緒に桜を眺めた「あれから」であるべきだったのだ。 それに気づいて、その線を自分で引き直し、自分の靴紐を固く結び直して立ちあがった彼女の目と顔だちはそれまでとははっきりと違うの。 この瞬間に立ち会うためだけでも劇場に足を運んでいいよ。

「孤独な惑星」でも竹厚綾さんの目は所在なげにアパートの壁と、その上の世界地図を彷徨い、今回も電車の動きをゆらゆら追ってばかりなのだが(そしてそれはそれで十分素敵なのだが)、あの最後の変化は誰が見たって鳥肌だろう。素晴らしい女優だとおもう。

最後のショットから流れる柳下美恵さんのピアノも滲みる。 最後の一音と桜の花ひとひらがきれいに重なる。
桜の季節に毎年上映してほしい映画。

[film] Berlin Alexanderplatz (1980– )

3月24日の日曜日から28日の木曜日に1~9話までを、4月3日の水曜日から5日の金曜日に10~14話までを見た。 ぜんぶ21:10開始の回。

とにかく長年ずーっと見たいと思っていたやつで、でもそう簡単に見れるもんでもないことは十分わかっていて、でも途中で頓挫しても、1話だけでも見ておきたい、見ておくべきだ、と通いだしたら止まらなくなった。

原作は「2666」の読了後の2月初から取りかかって、ハンス・ライターがなんで「ベルリン…」に
夢中になったのかはすぐわかるものの、まずあの文体の渦巻く世界に入っていくのに難儀して、映画を見出した時点では全体の三分の二くらいしか読めていなかった。でも映画を見始めたらものすごく取り組みやすくなった。原作も一緒に読んだほうがいい。

お話はどういうのかというと。
1話で妻イーダを殴り殺して刑務所に4年間いたフランツ・ビーバーコップが出所して、まっとうに生きようとするが大変で、2話でネクタイ留めとか新聞売りとかいろいろやろうとするがみんなにいじめられてうまくいかず、リューダースのところで靴ひも売りの仕事を貰って、3話でリューダースにはめられて転落して、4話で穴蔵で酒浸りになって自分と神とをさんざん呪って、5話ではいあがってプムスのとこでやばい仕事をやるようになって、そこのラインホルトから女を譲ってもらったりして、6話で仕事にいく途中でラインハルトの裏切りで車から落とされて片腕を失って、でも絶望することないんだとか言われて、7話でエヴァのところで世話になりつつ這いあがろうとするがまだぼーっとしてて、8話でやくざのヴィリーとやくざを始めて、エヴァからミーツェを紹介されて、9話でミーツェのヒモとして暮らしはじめ、ラインホルトと会ったりして、10話でやっぱしおれだめかも、と再び酒に溺れて、11話でラインホルトと再び仕事を始めて、ミーツェとの間で修羅場があって、12話でフランツの知らないところでラインホルトがミーツェを森に誘って… 13話でフランツはミーツェを待ち続けるが、新聞でラインホルトと共にミーツェ殺害犯にされていることを知ってフランツの精神の箍が外れる。 14話は彼岸に行ってしまったフランツの凄惨な夢の世界を現代のファスビンダーが解釈し、再構築してみる、というエピローグ。

更にうーんと簡単にいうと、混沌の時代にまっとうに生きようとしたフランツが3回叩き落され - 「ついには圧倒的な暴力でかれはぺしゃんこにされ」、そうして彼は滅ぶのか生きるのか、それは彼の周囲の人々との世界にとってどういうことであるのか。

ていうか15時間ある化け物みたいな作品なので粗筋なんて知ったところでどうなるもんでもない。
むしろ他のファスビンダー作品と比べても豊潤なイメージに溢れかえっていて、その中に、つまりは『ベルリン・アレクサンダー広場』に入っていけばそこには本当にいろんなものがある。

全体にオレンジ・茶系のトーンの画面、ネオンの光が常に点滅しているフランツの部屋の他、いくつかの部屋、いきつけの酒場、バビロン、フライエンヴァルデの森、それぞれの闇(光はあんまない)の狭間にファスビンダーの俳優達、としか言いようのない特徴的な容貌の人達が、その闇のなかでそれぞれの生を隠れるように、埋もれるように、逃げ去るように、要は後ろ向きに生きている。

明るく楽しい話では、全然ないの。どこまでも暗くて陰惨でどんづまりで、それでも6話の終りには「絶望することはない」とかしれっと言う。 でも、当然のように希望だってないわけだ。そんなのわかりきっているから誰も言わない。 絶望も希望もない、その両端の切れた中間地帯でフランツ・ビーバーコップとそのまわりの人々はどんなふうに泣いて笑って叫んで、どっちの方に向かって走るのか、あるいは踞るのか。

でもそれなのに映し出されるイメージはどれも荘厳でストレートに美しい。これがファスビンダーのいつもの詐術、なのであるが。

原作は、都市の物語でもあった。「まず第一はアレックス。これはあいかわらずある」と書かれるアレクサンダー広場を中心とした俗界曼荼羅で、作者デーブリンは広場 - 都市 - 国家を貫いて拡がったワイマール文化のあらゆる様相をぶちこもうとしている。主人公とその周りの人々はあくまで曼荼羅・絵巻物のいち構成要素でしかなくて、それはそういう明確な意図の元に描かれたものだ。

映画は、妻を殺したやくざ者がどうやって生きるのか、しかも「まっとうに」生きる/生きられるのか、そこに焦点が当てられていて、そこから当時の世界をあぶりだそうとする。
ネオンがいつも点滅している(つまり夜の)部屋、小鳥がいて、ブリギッテ・ミラが家政婦をしていて、イーダが殺されて(このシーンは全話を通して反復される)、リーナ、フィレンツェ、チリィ、エヴァ、ミーツェ、次々にいろんな女がやってきていろんな修羅場があって、でもフランツは常に孤独で、最後に正気を失う、そういう部屋から見渡してみると世界は例えばこんなふうになる、と。

13話までだと、原作と映画の関係は、そういうことねー、で済んでしまうと思う(いや、実際にはファスビンダーは相当こまこま忠実に原作のいろんな要素を組み入れていて、そんな単純ではないのよ)のだが、14話のエピローグで、ファスビンダーは原作のヴィジョンを一挙に現代に敷衍しようとするの。
オープニングタイトルから違っていて、フランツの彷徨いは、あの部屋から一気に飛んで、あの世、天使、死神、精神病院、監獄、屠殺場、性転換、審判、十字架を通って原爆にまで至る。
更には「うわさの人類」的にちゃっかり再生/更生したフランツの姿まで描かれる。
ベルリンは今の社会に繋がっている、フランツの精神は現代の我々にも、とかそういう安易なオチよりもヒトとヒトが、この世とあの世が時間を超えて互いを喰いあいながら転がっていくウロボロスのイメージが現れてくるように思えた。
或いは、ファスビンダー的なテーマからすると、「あやつり糸の世界 」、「シナのルーレット」、「デスペア」あたりにあった分身、鏡像、別世界というテーマにも繋がってくるのかもしれない。

ちなみに、14話で繰り返し流れる音楽はKraftwerkの"Radioaktivität"とThe Velvet Undergroundの"Candy Says"。 他にはDonovanの"Atlantis"とかLeonard Cohenとか。

ていう難しそうな話もあるけど、四畳半ポルノみたいなとこもあるの。
出所していきなりイーダの妹のところに行ってやっちゃうとか、とにかくいろんな女がずーっとやってきてフランツにあれこれ尽くしてくれる、なんであんなデブのハゲが、て思うのだがやくざのフランツはもてて女に不自由しなくて、で、最後には破滅してざまーみろ、みたいな。 日本だと神代辰巳ふう、だったりするかも。

俳優陣はもう泣きたくなるくらい豪華なファスビンダーのオールスターズで、フランツを演じたギュンター・ランプレヒトは勿論だけど、でも女優さん - ハンナ・シグラ(脇毛じょりじょり)とバーバラ・スコヴァ(よだれー)の凄まじいこと。 

書いていくときりがないのでもうやめますけど、とにかく見れてよかった。
(熱がひいてから書き直すかも)

あとは、Criterionの箱買うんだ。今なら$100切ってるし。

4.18.2013

[music] RIP Scott Miller

Game Theory - The Loud Family のScott Millerさんが4月15日に亡くなっていたことを知りました。

Game Theoryは80年代、サンフランシスコ・ベイエリアベースのバンドで、甘めのヴォーカルときらきらしたギターのせいかThe Three O'Clockあたりと同系に捉えられがちなのだが、あれよかユニークで独特の緩急と曲展開があって、まさにREMの次、となってもおかしくないバンドでした。

"Lolita Nation"以外あまり評価されていないのが惜しいけど

Real Nighttime (1985)
Big Shot Chronicles (1986)
Lolita Nation (1987)

の3枚はどれもすばらしいので、聴いてみてください。

ご冥福をお祈りいたします。

[film] Jurassic Park (1993) 3D IMAX

今週は会社休むことにした。行けるもんなら行ってごらんなさいな、とか医者にいわれた。

12日金曜日の晩に見ました。 今回の滞在では、"The Place Beyond…"と"Admission"を見れればいいや、だったので何にしよう、で、消去法でこれになった。 実は見てなかったし…

93年の公開時は米国に渡ったばかりでそれどころではなかったし、Michael Crichtonなんてケッ、て思ってたし(今でもか)、あと恐竜に関しては自分の幼少期のファンタジーがあって、それを壊されたくない、というのもあった。 ゴジラはよくでも恐竜はよくない。それがどれだけ科学的根拠に基づいたリアルなもんであろうとも、そんなのほっとけ、だったの。

まあとにかく、そういうのを置いて、とりあえず見る。
65億年前のやつらを20年前に蘇らせたやつをもういっかい3Dで蘇らせた、と。
しかし、金曜の夜とはいえ、21:50の回になんであんなにガキが…  怖がるだろ。

映画は、ふつうにおもしろくておっかなくて、スリル満点で、よかったです。
隔絶された世界で、こっちの意思の通じない巨大な生き物がうようよする中に丸腰で放りこまれる。
それを生き物を作ったひと、その施設を操作するひと、訪問したひと、の三角で描くのだが、恐竜はそんなの別におかまいなしで、どこにでもいきなり現れて、ひとをひとと思わないで、襲う。

こんな状況で襲われたらこわい、がてんこもり。闇夜、大雨、ジャングル、フェンス、ドア、キッチン、などなど、よく考えるなあ、とか。
恐竜の挙動をリアルに見せる、ていうより、こっちだよね、この映画が目指したところって。

3DのIMAXは申し分なくすごい。特に音のやかましさときたら最高でしたわ。
これの後でオリジナルの2D見たら、どんなふうに感じるだろうか。やはり劣化して見えるのか。
あと、最近のゲーム(やったことない)とはどのくらい違うのだろうか。 少なくともIMAXは勝つと思うけど。

Laura Dernのへんな顔がたのし。 "Blue Velvet"のあの顔とおなじのが。

事故の引き金となったシステムのダウンですが、当時ああいうのをUNIXで作ってまわすのは結構な難易度だったはずで、それをあのデブがやれてたとは思えないのね。 
ま、それいうなら恐竜作っちゃうのだっておんなしね。

帰りの渡り廊下が異様に寒くて、あの辺でおかしくなったんだとおもう。

シアトルの映画は以上。
土曜日の晩、"42"をみたかったのになー。

4.17.2013

[film] Admission (2013)

11日の木曜日の夜中に見ました。寒くて雨ばっかしでうんざりで、部屋に入ったらまた誰もいなくて、更に寒くなる(始まってから二人くらいきた)。

Tina FeyとPaul Ruddによるロマコメで、でも監督はPaul Weitzなので最後は割とずるずる締まりなく半端なかんじで終わってしまうのだが、いいの。

Portia (Tina Fey)はプリンストンのAdmission Office(入学選考をやるとこ)に長年勤めてて、昇進も目前で、今年も来年度の生徒リクルートのために各地の高校を訪れたりしていたのだが、昔からの知り合いのJohn (Paul Rudd)からうちの高校にも勧誘に来てくれと言われて行ってみる。

そこは農場付きの自由学校で、生徒はどいつもこいつも奔放すぎて手に負えなくて、でもひとりだけ文学・哲学オタクみたいなのがいる、と。 それがJeremiah (Nat Wolff)で、Johnに彼の母親になってやってくれと言われたPortiaは、ひょっとしたら彼は自分が昔生んですぐ里子に出してしまった子供ではないかと思いこむ。 思いこんで母親スイッチが入ってしまったPortiaは彼をプリンストンに入れるべく暴走をはじめて、そこにJohnとの恋愛、更にはばりばりのフェミニストの母親 (Lily Tomlin)との確執が絡んでくる。

要は自身のキャリアと過去の育児放棄と母親問題と恋愛が一挙に来てそれまで真面目に仕事をしてきたPortiaは目の前パニックになって、実際にほとんどが失敗に終わってぼろぼろになるの。
ふーっと振り返ってみると、それはPortiaにとっても通過すべきadmissionでもあったのだ、と。

Paul Ruddがあんまじたばた動いてくれないのでロマコメとしてはいまいちなのだが、Tina Feyが彼女にしかできないあの薄ら笑いと高速回転ヴォイスでめちゃくちゃをやって収拾つかなくなって、あはは、てなる、それを堪能できるからいいの。 
そんなんなったとしても、"Just to be yourself !" て力強く言ってくれる、それだけでいいの。

音楽はStephen Traskさんで、ほんわかしててよいかんじ。

[film] The Place Beyond the Pines (2012)

会社にも行けずに点滴に行って寝ているしかできない(いくらでも寝れるねえ)のだが、しぬほどつまんないのでなんか書く。

シアトルに移動した10日の水曜日の夜中に見ました。
今回のシアトルの滞在はダウンタウンではなくてBellevueで、ここにはほんとになんもない。
よいのはホテルからビルの渡り廊下を伝ってシネコンまでぐるっと行けることだけなの。

"Blue Valentine" (2010) のDerek Cianfranceの新作。
前作に続いてRyan Goslingがいて、そこにEva MendesとBradley Cooperが絡む、三つ巴のじっとりダークな世界が展開される、と思ったらそういうのとはちょっと違った。

Luke (Ryan Gosling) は旅まわりサーカスのバイク曲乗りのスターで、その巡業地で出会ったRomina (Eva Mendes) と恋に落ちて、でも彼はまた旅に出て、次に会った時に彼女は赤ん坊を抱えていて、あなたの子よ、でももう別の男と一緒にいるから、という。 びっくりした彼は仕事を辞めてお金を稼がなきゃと彼女の近所に居を定めて職を探すがなかなかなくて、誘われるまま銀行強盗をやってみたら案外うまくいってしまうの。で、そのお金で束の間の家族の時間を過ごすこともできたりするのだが、長くは続かず、半ば自棄になってやった銀行強盗が失敗して民家に逃げ込む。そこに突入してきたのが警官のAvery (Bradley Cooper) で、撃ちあいの結果、Lukeは亡くなって、彼は地元のヒーローになる。

ヒーローになったAveryのところには警官仲間からの嫌味とか悪巧みとかいろいろあって、でも彼はずっとLukeを死なせてしまったこと、事件後の処理でRominaにひどいことをしてしまったこと、彼ら3人の家族を壊してしまったことに罪の意識を抱いていて、結局仲間の悪巧みをぜんぶ上層部にぶちまける。

で、話はそこから15年後に飛んで、Averyの子供のAJとLukeとRominaの子供のJasonが高校で出会う。 やがてJasonは自分の父親の過去と死亡の理由を知ってしまい。

"Blue Valentine"はひとつの愛が壊れていく様をどっしりと描いていたが、これも同じタッチと濃度と速度で15年以上に渡る何人かの人間模様を追っかけている。 それは長い時間が醸成するドラマなのか、或いはタイトルが示すように土地がもたらす呪縛のようななにかなのか。
(ドラマはLukeが定住したところから始まって、Jasonが出ていくところで終わる)

ただ、5人ほどの人物の15年に渡る交錯を描くには140分でも足らなかったかも。
それは冒頭のオートバイの曲乗りみたいに複数のライダーが球体のなかをえんえんぐるぐる回っているだけのこと、なのかも知れないが、描ききるのは難しかったかも。 見応えは十分なんだけどね。

あと、"Blue Valentine"を見たあとに感じる、これは自分の物語だ、というのと同じ強さで"The Place Beyond the Pines"は迫ってくるはず。 血の繋がり、その恩讐を超える場所はどこかにあるのか、ないのか。

俳優陣はすばらしくて俳優の映画として見たほうがよいのかも。 Ryan Goslingはやっぱしこういうすれっからしが一番だと思うし、Eva MendesもBradley Cooperもはっきりと力強い。あとは悪警官上司のRay Liottaとかも(これはもろ)。
あとはJasonを演じたDane DeHaanは見事だと思った。Ryan GoslingとEva Mendesの野良猫の目をしっかりと継いだ子供。

Original MusicはMike Patton。映画マニアらしい古典ノワールふうの音を楽しそうに出している。
あーこのギターはあのひとかしら、とか。
他にはArvo Pärtがいくつかと、Suicideの"Che"、とか。

4.16.2013

[log] April 15 2013

ヴェガスからシアトルに水曜の午後移動して、木金ずっと仕事で、土曜日の午後4時くらいまで仕事して、日曜にロス経由で月曜の夕方に帰ってきました。

もともとずっと咳が止まらなかったところで土曜日の晩から熱が出始めて、見にいこうと思っていた映画("42")も諦めてSNLをぼーっと見ているうちにどんどん熱が上がっていき、ぜんぜん立ち上がれない状態で朝を迎え、慌ててパッキングして空港に行って、Alaska航空でロスまで行って、ターミナル移動で死にそうになりつつ、とりあえず成田行きの飛行機には乗った。
機内では食事も取らずヘッドホンの袋も破らずずーっと横になってしんでて、到着間際にアイスクリーム食べたいかも、と思って頼んだらハーゲンダッツのヴァニラじゃなくてスタバのJavaMochaとかが出てきたので泣きたくなった。

んで、18時くらいにおうちに着いて、まだ空いてた近所の診療所に駆けこんで血液と尿検査してもらった。 ら、今朝になってお医者さんから電話がきて、血液の数値がなんかやばいのですぐ出頭するように言われ、生まれてはじめて点滴ていうのをやられて、まだへろへろでまっすぐ歩けないかんじ。

とにかくシアトルは寒かった。ヴェガスとの緯度差を考えとけ、だったのだが、とにかく寒くて、最後の土曜なんて雪と雹だよ。 レコード屋を出たタイミングで大量の豆が弾ける音がサラウンドで拡がって突然ばちばち落ちてきて痛いったら。 怒られているのかと思った。

というわけで、今回の映画は5本、ヴェガスで2本、シアトルで3本だけ。
レコードは12inchが1、7inchが3。これっぽっち。
全体にとってもつまんなかったかも。  その辺はあとでだらだら書いていきます。

けど、まず体をなんとかしないと。

4.10.2013

[film] Olympus Has Fallen (2013)

ぜんぜん見たいのはやっていないのだが、それでも、ここまでつまんないと映画でもみないとやってらんねー。

9日月曜の晩、9:30くらいに見ました。 こんどは客5人くらいいた。

カメラ会社の没落を描いた実録コンプライアンス映画なの。 うそです。
久々に見た気がする極右映画。

Aaron Eckhartが米国大統領で、Gerard Butlerが彼のSPなのだが、クリスマスの雪の晩、車の事故でファーストレディー(Ashley Judd)が亡くなってしまい、Gerard Butlerは一線から外されて、そこから18ヶ月後の独立記念日の翌日、韓国大統領一行がホワイトハウスを訪問する。

一行がホワイトハウスに入ったとこで、どこかから戦闘機がぶーんて飛んできて、軍の制止を振りきって地上の爆撃をはじめる。 ホワイトハウスの中は大変だ、って地下の隔離施設に韓国大統領一行も含めて逃げこむのだが、それが罠で、並行して地上ではものすごいどんぱちが始まって、ホワイトハウスの警護隊は全滅してホワイトハウスそのものもぼろぼろにされる。
で、Gerard Butlerも騒ぎを聞いて現地に駆けつけ、仲間がみんな殺られていくなか踏んばって、たった一人でテロリストたちと戦いはじめるの。

地下の避難壕では、韓国大統領はあっというまに殺されて、米国側は大統領、副大統領、国防長官とかぜんぶ人質にとられてひとりひとり殺されていくかんじなの。 地上では報道官のMorgan Freemanが大統領代行になって指揮を執りはじめる(こっちのがよっぽど大統領ぽい)。

大統領への襲撃もの、でいうと"Air Force One"なんかよりは、リアルっぽいかも。ちょっとだけだけど。

Gerard Butlerが製作も兼ねているところをみると、きっとこういう"Die Hard"とかランボー系のをやりたかったのかも。
ただこのひとの場合、元の顔が暗いので、こわいときはほんとに陰惨で恐ろしい。 敵に尋問するとこなんかまじおっかないったら。
しかし、でてくる男、みごとに全員犬顔でしたわ。

このたびのテロリストのみなさんはハングル語をしゃべるの。 ポスト"Zero Dark Thirty"てことかしら。
(ヘリによる夜襲のシーン、ほとんどおなじような)

Melissa Leo が国防長官で、なんで? と思ったらやっぱしそれなりの理由があった。 ぼこぼこにされても"Fuck You"て歯を剥くとことか。

このホテルはうれしいことにHBOがフルで見れる。
昨日は、出かけるまえにつけたら"Howard the Duck" (1986) やってて抜けられなくなった。
さっきは、"The Five-Year Engagement" (2012) やってた。
Emily Blunt、やっぱしいいねえ。

日本で見ていたやつも書かないと ー

[film] The Host (2013)

咳が止まらなくなったのでお部屋でじっとしていよう、て決めたので、少しだけ。

ロスからヴェガスへの飛行機は楽しくて、ずっと窓に貼りついていた。
約1時間で海から山から砂漠まで、ひととおり全部見ることができる。

ヴェガスの街そのものは、当然のようにあんま変わっていなくて、人工的で、埃っぽくて、そのくせ年中お祭りで人がわらわらいてせわしない。

で、することもないので荷物を置いてから映画をみました。
ホテルの近所(でもない、トラムに乗って15分か)にあるシネコンはUnited Artistsのやつで、部屋は8つくらいあるものの3Dと2Dの併映をしているのが半分くらい、だから実質は4本くらいしかやっていないの。

2008年に来たときもここで見たよ。 たしか"Leatherheads"。

18:30の回で、18:40過ぎに中に入ったら、誰もいなかった。
まあね、日曜の夕方、わざわざヴェガスで映画見るやつなんか、いないよね。

映画は、原作と製作がTwilightおばさんのStephenie Meyerなの。

近未来で、宇宙からきたなんかに人類は体を乗っとられていて、乗っとられると目の色が変わって記憶も消されてしまって、乗っとった側による人間狩りみたいのが進んでいて、最初のとこで主人公のメラニーは捕まって光輝くげじげじみたいな異星物を移植されてしまう。
メラニーを乗っとったのはワンダっていうやつで、でもメラニーはよっぽど我がつよいんだかなんだか、ワンダに対してわーわー言う。
宇宙人側は、メラニーが住んでいるとこには他にも人間がいるはずだから、とワンダにメラニーの記憶をひっぱりだすように指示するのだが、メラニーがうるさいのと彼女の記憶(彼とか弟とか)がせつなくて美しいのでだんだんに説き伏せられていくの。 心やさしいワンダ。

で、やがてワンダ/メラニーは、囚われている施設を抜け出して自分が昔いた人間村にぼろぼろになりつつもたどり着くのだが、かつて仲間だった人間は彼女の目を見てこの売女め!て冷たくするの。 でもワンダがよいこなのと、その裏にメラニーがいるらしいことがわかって、みんな彼女を受けいれていくの。

このままいったら最後は人間vs宇宙人の戦争になるに違いない、と思うのだが、そうはならない。 なんたって、Twilightのひとだから。
まずは、メラニーの彼はメラニーがまだワンダの裏にいる、と気づいたので、またメラニーを愛することにするの。
でも、ワンダもすてきだから、ワンダのことを好きだ、っていう男も現れるの。(どっちもそこそこイケメンなんだよね、やっぱし)
でも彼女の体はひとつなので、ワンダがワンダの彼とキスするときは、ちょっとあんたなに考えてんのよ、とかメラニーがうるさい。
Twilightにあった吸血鬼と狼のけんかが、4人格、3ボディーの争いに移植されました、と。
これ、ポルノだったら、ごちゃごちゃ言ってんじゃねえよ、体はひとつじゃねえかやらせろ、でおわりだよね。

どうやって決着をつけるのか、は書きませんけど、なかなかおもしろかった。
最後にはあんなひとが出てきたので、ふーん、だった。

それにしてもおばさん、ふつーのラブストーリーは書けないの?

4.07.2013

[log] April 07 2013 - LA

LAXについて、AAのラウンジに入ったのだが、することがないし、目をつむったら落ちてしまうので、なんか書く。

飛行機はゲートを離れてから飛び立つまでえらく時間がかかって、飛んだあとも着地前も結構がたがた揺れていたのだが、それ以外はべつにふつーのフライトだった。

頭痛がひどかったので機内で見たのは2本だけ。

もういっかい、"Silver Linings Playbook"を見る。
自分で自分のことをおかしいと思っていない人が同じように自分で自分のことをおかしいと思っていない人とダンスをして身体をぶつけていくことでだんだんに変わっていく、そのダンスは彼らふたりだけに留まる話ではなくて、実は家族のまわりの変なひとたちもみんなそんなふうに踊りながら暮らしているんだねえ、と思った。 で、そういう観点で見たときに、彼らふたりのダンスが彼らのなかの何かを決定的に変えた瞬間、がどこかでくっきり見えればよかったのに、とか。
そこがコンペティションの点取り勝負、でなんかぼかされてしまった気がするのが少しだけ残念だったかも。 やっぱし"Dirty Dancing"をちゃんとやるべきだったのかも。

もういっこが、"Parental Guidance" (2012)  ていうの。
マイナーリーグチームの実況アナウンサーを突然解雇されたBilly Crystalと妻のBette Midlerが娘(Marisa Tomei)夫婦が夫の仕事の授賞式に呼ばれて不在になるから、と3人の孫の面倒をみるために彼らのおうちに呼ばれるのだが、そこは全自動式のスマートハウスで、孫達は叱らない教育の添加物フリー、ストレスフリーで育ってきてて、じじばばをはっきりと嫌っていて、とってもどうしようもないのだった、というコメディ。
最近のガキをやたらちやほやする(respect、って言うのね)風潮をくそったれ、と思っているひとにはBilly Crystalの苛立ちがよくわかるし、そこはいいんだけど、孫3人分のいろんなエピソードがわらわら転がりすぎて纏まっていかなかったのは残念だったかも。

でも、Billy CrystalとBette MidlerとMarisa Tomei、この3人ががっちり固まっているのでそれだけでよい。みんなうまいよね。
特にBette MidlerとBilly Crystalが娘が小さい頃よく一緒に歌っていたという"Book of Love"をデュエットするとこは素敵だった。 あんなじじばばがいたらさあー。

あと、久々に見た気がするGedde Watanabeさんがうれしかった。(Chinese, じゃない、"Pan Asian" Organic料理屋のおやじ役、まったく変わっていない芸風)

Billy Crystalもおじいちゃん役なんだね。そうだよね…

このあと眠りに落ちて、気がついたらもうほとんどLAで、窓から"Hollywood"の看板がみえた。

[log] April 07 2013

なんとか低気圧の強風のおかげで、またNEXが止まってしまい(ひ弱すぎるよJR)、こないだと同じく日暮里経由の京成でよれよれになって成田まで来ました。

これから、ヴェガス行って、週なかにシアトルに移動して、月曜日に戻ってくるの。

ヴェガスはたぶん5年ぶりくらいだが、ぜんぜん魅力をかんじない。本屋もレコード屋も映画館(シネコンはちがうの)も、電車バス徒歩の圏内にない、そんなの街とはよばん。 
まあ、街にいくわけじゃなくて、仕事にいくわけだからね、いちおう。

ライブもなんかあるかといちおう探してみたけど、ないのよね。
12日にはSpiritualizedもGarbageもVampire Weekendもあるのに、その時にはもういないし。 The Australian Bee Gees、ってなに? とか。 いまさらDef Leppardもなあ、とか。
シアトル側も一週間差で、Nick Cave  逃してるし、いろんなタイミングを適度に外している気がとってもする。

9日10日、がんばってロスまで行けば、Molly Ringwaldさんがあるんだけど、無理だろうしなー。 

そしてまたしても、日本でのWilcoを逃してしまうし。

そしてそして、この外し具合は仕事のほうにもたぶんきっと…

どうせなら、Record Store Dayに合わせたかったねえ。

しかしー、ヴェガスのシネコン、"Admission"も"The Place Beyond the Pines"もやってないって、なんなんだよ。アメリカ行くいみないじゃんか。

と、例によって文句たらたらですが、いってきます。
飛行機とんでくれますようにー

4.06.2013

[film] The Intruder (1962)

23日土曜日の夕方、オーディトリウム渋谷の『コーマン・スクール2013〜春のスパルタ集中講義!』 で見ました。 スパルタ集中講義のはずなのにこの特集も1本しか見れず…

『侵入者』。 関係ないけど、"Intruder"というと、ピーガブの3rdの冒頭のゲートエコー ドラムが反射的に鳴りだす。

冒頭、街中を車で走っていくだけのモノクロの画面だけで、なんだかたまらない。

人種統合(integration)施行前夜、南部の小さな街に、スーツを着た小綺麗で気さくそうな男(William Shatner)が降りたち、ホテルの一室を借りると、街のいろんな白人達に今度の統合をどう思う?とか聞いて彼らの戸惑いや不快感を操って、迫害を扇動していく。 男は自分をSocial Reformerだといい、暴力はいかん、と口ではいうものの煽られた方は抑制が効かなくなり、「なにがわるいんだよ」ていう民衆をコントロールできなくなっていく。

人は人を殺してはいけない、これと同じく、人は人を人種や肌の色で差別したり迫害したりしてはいけない、ということと、言葉による扇動 〜 統制、というのはやろうとしたってコントロールできなくなって失敗する、というふたつのことを言おうとしていて、実際に映画のなかでは失敗するその過程がとてもわかりやすく、たっぷりの緊張感と共に描かれている。 嘘を強要されて最後に泣きながら白状してしまう女の子も、男の嘘と欺瞞を見破って立ちはだかるおじさんも、とってもそこらにいそうですばらしい。

この後、人を虫けらみたいに殺しまくるようなバカ映画ばかりを量産していくコーマン先生も、この頃はこんなにストレートで熱のこもった作品を作っていた、ていうのはなんかよい話かも。 興行的には失敗だったらしいし、失敗した理由もなんとなくわかる - けど。

でも、これが未公開のまま、という日本も恥ずかしい。
ていうか、外国人は死んじまえとか、この国から出ていけとか、その人達が暮らしている目の前で平然とデモしてて、それを行政はふつうに放置してて、そういうとこで、オリンピックを!とかにこにこキャンペーンできる、そのひどさときたらこの映画のWilliam Shatnerの100倍もゴミだとおもう。
ほんと、Shame on You  だわ。

[film] Max mon Amour (1986)

3月23日の土曜日、シネマヴェーラの大島渚特集でみました。
大島渚、ほとんど見ていないので、この機会にまとめて見たかったのだが、結局見れたのはこの1本だけだった。

これ、公開時には見逃していて、当時はMaxが最後にかわいそうなことになったらやだな、と思っていたのだった。

こんなにおもしろいやつとは思わなかった。 洋画クラシックの風格たっぷり。

パリで暮らす裕福な英国外交官(Anthony Higgins)のおうちで妻(Charlotte Rampling)の様子がおかしいので調べてみたら妻はアパートを借りて猿と一緒の時間を過ごしていた。 夫は動揺しつつも、たかが猿だから、と自分のアパートに部屋を設えて猿を運んでくるのだが、それはペットを飼ってペットを愛でるような簡単な話ではなくて、妻はMaxを真剣に愛しているし、Maxもおなじようで、第三者が居合わせたときに現れる嫉妬とか憎悪とかの情感や空気感がぜんぜん違っていて、この家族はどこに行ってしまうのやら、と。

この家族には二人の子供である男の子もいて3人家族で、家政婦もいて、妻には言い寄ってくる別の男もいて、つまりホームドラマのパーツというかラインナップは全部揃っていて、この外見上はきれいなシェイプを保っている家庭、そこに横から突然猿が刺さってくる。 家族の長であり統括する立場にある夫がその混乱をコントロールしようとするとき、あらゆる亀裂が、Charlotte Ramplingの氷のように冷たい目線と共に表に現れてくる。

あんたじゃなければ誰でもよかった、ヒトじゃなければなんでもよかった、でもそれは猿で、Maxという名前で、彼はこっちをじっと見つめていて、彼じゃなきゃいけなかった。 たとえ猿でも。
Maxが猿ではなくてヒトの男だったらどうなるか、或いは女だったら、子供だったら、他者には見えない幽霊だったら… などなど。 愛というのは斯様に謎で複雑でわけわかんなくて、それは家庭のなかに現れると例えばこんな変なことになる。  あれ? でも家庭っていうのはさあ … 

Charlotte RamplingとMaxの全てを見切ってしまったような目の動きがおそろしくて、しかしこんなにおもしろいもんはないとおもった。
Jean-Claude Carrièreさんが、ふんふんしながら書いたんだろうなー、と。

Arnaud Desplechinにリメイクしてほしい。主演はもちろんEmmanuelle Devosで。

[log] NYそのた - Mar.2013

もう、あっとうてきに時間がない。 しかも天気ひどい。

19日のお昼にしぶしぶNYを発った便、では、3本みた。たしか。

最初は、もういっかい"Rise of the Guardians"を見て、やっぱしよかったのだが、でも、サンタクロースはともかく、Easter BunnyとかTooth FairyとかSandmanとかそういうのをぜんぶ知ってて信じているのって、西欧の子供達だけだよね、とか。

続いてご飯食べながら、"Looper"をふたたび。
主人公のギャングたちはみんなどこか後ろ向きで、生まれてきてごめんなさい、なかんじなのに、世の中は恐くてとっても殺伐としているようで、よく考えてみればそういうものなのだろうが、そのへんがなんだかおもしろいなー、と。
結局自分を殺して世界を救う、みたいなえらいお話のはず、なのに、結局運命のひとには出会えなくて救われなくて不幸せ、しかもぜんぶ自業自得なとこがなんかよいのかも。

んで、がたんと落ちてから目が覚めて、香港映画の「消失的子弾」-  "The Bullet Vanishes"。
JALの機内映画って、洋画と邦画のセレクションはさいてーのセンスだと思うのだが、極東の映画はなんかいいの。きっと好きなひとが選んでいるんだろうねえ。

20年代の上海の兵器工場で銃弾の箱が無くなって、それを疑われた女子工員が強制的に自殺させられたように見えて、その捜査に凝り性粘着刑事(ラウ・チンワン)と管内いちの早撃ち刑事(ニコラス・ツェー)のコンビがあたることになって、第二第三の殺しが起こって、工場長は明らかに悪い奴で。
刑事アクションもあるけど、どちらかというと推理モノで、でも謎解きはそんなでもなくてううむ、なのだがまあおもしろい。 とにかくラウ・チンワンの顔芸がすごい、あの顔筋はなにをどうやったら作れるのかー、とかそればかり見ていた。

NYでのその他、たべたものかったもの、など。

食べもの関係は、あまりないのだがふたつ。

16日土曜日、籠もり穴から出てきて、横になったらそのまま立てなくなるから無理やりWilliamsburgに出ることにして、地下鉄から外界に出たら雪がぼうぼうだった..
でも意地になって奥に行軍して、まだ行っていなかったMarlow & Sonsに行った。

Corned Beef Hashを戴いたのだが、それまでに食べたどんなCorned Beef Hashとも違っていて、どんぶりの中にぶつ切りのコンビーフのごろごろの塊と、同様のポテトとかネギとかがでろでろのマスタードソースに和えてあるだけで、はじめの食感はまぐろのぬたみたいなかんじなのだが、やわらかいマスタードの酸味がコンビーフの力強さと絡まってなんだかおいしいのだから文句ない。

それから吹雪のなかを戻って、途中のBedford Cheese Shopでここのマヨネーズ2種類かった。

http://www.empiremayo.com/
日曜日のお昼、West Villageのrecetteで食べたこれ。

PB&J “Pain Perdue", Earl Grey Milk Jam, Fresh Strawberries

外見だけだとブリオッシュのフレンチトーストのよう、なのだが、ばりばりに硬くて、口に頬張ったときの食感はほとんど揚げパンのそれで、噛み砕くとブリオッシュのバターとピーナツバターとミルクジャム、その他の油類糖類がどてどてと口内に溢れかえり、これをぜんぶ飲みこんで摂取したらぜったいやばいのでうー、と躊躇して口のなかで転がしていると転がせば転がすほど蕩ける香りとおいしさに艶と磨きがかかってくるのでお手上げで、ものすごく危険なやつだったの。 でも低血糖のわなわながきたときにはこれ、ぜったい効く。

本とか雑誌とかレコードとか。

Spoonbill and Sugartownの本屋では、あそこの猫が立って歩いて餌食べているのを初めて目撃した。
Academyのレコード屋の猫 - 店内でどんなノイズ系ジャンク系のがわんわん鳴っていても平然としているやつの名前がティガ、ていうのだと知った。

今回、レコード関係はあんまなかったかも。 7inchが10枚くらい、12inchが3枚?4枚? - 整理しようね。

今回、雑誌はいっぱい買ったかも。 雑誌の運び屋か、ていうくらい買った。
日本の雑誌はあんまこないけど、洋雑誌はおもしろいよねえ。英語の勉強にもなるし。
Purpleの分厚いやつに、dominoにBrooklyn MagazineにEdible BrooklynにSaveur(The World's Best Donut!)にTravel+Leisure (The Food Issue - 日本からはとんこつラーメンが)にFilm CommentにBustに --  写真がきれいだったのはGather、ていうやつ。

http://www.gatherjournal.com/

おみあげで買ったこれは危険だった。

http://shop.theredheadnyc.com/products/bacon-peanut-brittle

これ(ヤギのミルクのキャラメル)もやばし。

http://store.bigpicturefarm.com/product/farmstead-goat-milk-caramels-cello-bag

ほかにまだなんかあったような。