3.08.2021

[film] Truman & Tennessee: An Intimate Conversation (2021)

3月2日、火曜日の晩、Glasgow Film Festival(今日が最終日だった)で見ました。ドキュメンタリー。

監督は、”Diana Vreeland: The Eye Has to Travel” (2011), “Peggy Guggenheim: Art Addict” (2015), “Love, Cecil” (2017) を撮ったLisa Immordino Vreelandさんで、すごくおもしろいドキュメンタリーを作る、というよりとりあげる対象がいつもすばらしいと思うので見る。

Capoteといえば、昨年日本でも公開された“The Capote Tapes” (2019) - 『トルーマン・カポーティ 真実のテープ』は(ここで感想は書いていないけど)こちらでは2月に見た。 のだがあまりおもしろい発見はなかったのね。Capote自身が既にいろんなとこでいろんなことをべらべら喋っているのでそうだねえ、で終わってしまったというか。この映画で出てきたフッテージのいくつかは、この作品でもそのまま使われていたりする。

Truman CapoteとTennessee Williams、このふたりの現代アメリカを代表する作家についてきちんと並べたり比べたりして考えてみたことってなかったのだが、ふたりともゲイで、戦後の文学だけじゃなく映画とか演劇とかいろんなジャンルを横断して社交界も含めて影響を与えて、未だに与え続けている。ふたりがそれぞれに自分のこととか、社会のなにをどう見てどう考えていたのか、をインタビューの言葉起こし、同じTVショー(David FrostとDick Cavett)のフッテージから交互に光をあてていく。映像で自身が喋っている箇所以外はCapoteの声をJim Parsonsが、Williamsの声をZachary Quintoがあてている。第三者のコメンタリーもナレーションもない。ふたりの別々の発言が対話のように共鳴しながら流れを作っていく。

CapoteがWilliamsに出会ったのはCapoteが16歳で、Willamsは13歳年上だったそう。
ふたりともキャリアの初期に若くして成功した、というところは共通していて、”Other Voices, Other Rooms”が1948年、”The Glass Menagerie”が1944年、影響を受けた本はCapoteが14歳の時の”Moby Dick”でWilliamsはチェーホフ。 ふたりが親交を深めたのはNYでいつもGore Vidalが一緒だったとか、ホモセクシュアルについて - CapoteとJack Dunphyの30年続いた恋と、WilliamsとFrank Merloの14年続いた恋とか、Love or Friendshipについてとか、それぞれの答え方もトーンも違うので単純に比較してどう、というものではないのだが、それらも含めてテニスのラリーを見ているような楽しさがある。

ふたりの作品が原作の映画もいっぱい出てきて、Capoteは”Breakfast at Tiffany’s” (1958)と”In Cold Blood” (1967)くらいだが、Williamsはいっぱい - “The Glass Menagerie” (1950), “A Streetcar Named Desire” (1951), ”Baby Doll” (1956), ”Cat on a Hot Tin Roof” (1958), “Suddenly, Last Summer” (1959), “The Fugitive Kind” (1959)などなど。Williams原作の映画化で、WilliamsがMarlon BrandoとAnna Magnaniについて語るところはなるほど、だし、これらの映画って50年代のアメリカを見るときに不可欠な資料だなあ、って最近改めて思うし、彼が自身の劇作の主人公たちについて語る - みんな”Victim of rape by society of cannibalism”、ってほんとそうだと思うし。

追って見ていくと、共通点も含めてほんと似ていたり対照的だったりする。 どちらも生まれた時の姓を成長してから変えているとか、ふたりともブルを飼っていたとか、クリエイティビティについて、父親探しについて、Dr. Max Jacobson - “Dr. Feelgood”の治療への依存症のこと、名声のこと、Capoteは”All literature is gossip”と言い、Williamsは人生はUnfinished poemであると言って、どちらもdepressionとaddictionのトンネルを抜けて、Williamsは71歳にオーバードースで亡くなり、Capoteはその18ヶ月に59歳でアル中で亡くなった…

もちろん、それぞれの作品を読んでいった方が得られるものはいっぱいあるのだが、こうやってふたりを並べてみることでふたりが生きた時代のアメリカのある側面が見えてくるところがおもしろい - それって文壇セレブの視点だけじゃないのか、なのかもだけど、それでもこのふたりの(セレブの)中毒者が ... というだけでもね。

日本ではなんとなくCapoteの方が人気がある気がして、でもこれを機にWilliamsはもっと読まれてほしいし、過去の映画もいっぱい上映されてほしい、というのはずっと思っているのでー。


ワクチン接種そのご。まだずっと冷えピタ貼っているけど微熱になってきて、頭痛は通常の偏頭痛くらいになってきて、全身の痛みはいつものだるさのやや重いのに変わってきつつある。 それにしても、個人差なんだろうけどあんなにしんどいとは思わなかった。週末ぜんぶとんじゃったし(泣)。インフルエンザの予防接種の後の10倍きつい。これだけでもインフルとは全然ちがうじゃん、て。 今後これが変異株に応じて毎年の接種になったらしんどいなー。

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