3.21.2021

[film] Christmas in July (1940)

3月11日、木曜日の晩、Criterion Channelで見ました。

今月からここにPreston Sturges作・監督作品がいっぱい入ってきて特集も組まれていて、だいたい見たことあるやつばかり(どれもハズレなしばかり)なのだが、これはとってもキュートで再見したかったやつなので。 最初に見たのは2003年にBAMのCinematekで、67分と短い作品なので併映で”Jackie Cooper's Christmas Party” (1931)がかかった。 
Preston Sturgesの監督2作目。日本ではTV放映のみのようで、邦題は『七月のクリスマス』。

コーヒーメーカーの会社に勤めるとっても普通な会社員のJimmy (Dick Powell)は $25,000の賞金があたるMaxford House Coffeeのキャッチコピーのコンテストに当たったら母(Georgia Caine)に贅沢をさせて恋人のBetty (Ellen Drew)と結婚すること(当たらなくてもしなよ)を夢見ている - それくらい平凡などこにでもいるサラリーマンで、彼が考えたコピーは、”If you can't sleep at night, it's not the coffee, it's the bunk.”っていうので、得意そうに言われると微妙すぎて少し考えてちょっと困って「ふうん」って黙らざるをえなくて、Bettyですらずっと困っている - そんなやつ。

主催者側のMaxford House CoffeeのDr. Maxford (Raymond Walburn)はコンテストの優勝者をラジオで発表することになっていて、町中世界中の人たちが固唾を吞んで発表を待っているのだが審査員代表の厄介者 - Bildocker (William Demarest)にあれもこれも却下されてばかりでちっとも決まらず、土壇場で発表の日が延期されてみんながっかり、になっている。

Jimmyがあまりにコンテストに夢中で職場でもぼーっとしているので、職場の同僚3人が悪戯でコンテスト優勝を知らせる偽の電報を作ってJimmyの机に置いたら、それを見つけたJimmyが狂喜してすぐに上司(Ernest Truex)に知らせるとフロア全体が興奮で膨れあがって、上司はその場でJimmyを広告担当のエグゼクティブに昇進させ、専用のオフィスを与えてBettyを秘書にして、あまりに騒ぎが広がってしまったので首謀者3人は冗談と言えなくなってしまう。

Jimmyは偽電報を持ってMaxford House Coffeeに乗りこんで自分が優勝者である、と告げるとDr. Maxfordは、ああ発表前に彼に決まったんだと思いこんで $25,000の小切手を渡して、JimmyとBettyはその足で高級デパートに乗り込み、最初は怪しんでいたデパート側も小切手が本物であることがわかるとクレジットを与えて、ふたりは大喜びで母親のソファベッド(怪しいトランスフォーマー仕掛けがてんこ盛りの)とか婚約指輪とか近所の人たちへのプレゼントとかを買いまくる(いいなー)。

ふたりは複数台の車を贈り物でいっぱいにして自分の住む通りに戻ってきて、母親とか近所の人たちに気前よく配り始めるとご近所一帯は縁日(クリスマス)の賑わいになってみんなでわいわい楽しんでいると、電報が偽だったことがわかって…

ほんとに悪い人は出てこない人情喜劇なので結末はなにも恐れることはない。Preston Sturgesにしては割と直球の、さくっとした一篇。でもロットに当たったらなにを買うかなにをするか、って万人に共通の永遠の暇つぶしネタだし、誰もに思い当たるところはあるような。

冒頭、マンハッタンの夜景を背後にアパートの屋上でふたりが話していて、遠くのMaxford House Coffeeのビルにフォーカスしてその中に入ったり、階下のママと屋上の間で会話したり、猫やウサギ(屋上でウサギ飼ってる)を映しながらふたりが横に移動していくシーンがよいのと、ラストのぶん投げ 〜 エレベータからの必殺(としか言いようがない)猫ショットで戦慄する。あの一瞬の猫だけでもなんかすごいから見て。

贈り物が溢れかえって家と通りいっぱいが大変なことになってしまう、というクリスマス映画だと、英国の女性監督 - Wendy Toyeの“On the Twelfth Day…” (1955)っていう短編がすばらしいの。イーストマンカラーの綺麗なことったらまるごとクリスマスケーキみたいで、だいすき。

Sufjan Stevensのクリスマスソング - ”Christmas in July”はこの映画とは関係あるのかないのか。


TVで”Sweet Home Alabama” (2002)をやっていたので久々に見てしまう。やっぱし好きなのね。

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