2.01.2021

[film] The Dig (2021)

1月29日、金曜日の晩、Netflixで見ました。
邦題はどこかで見た気がしたが恥ずかしいかんじので、調べるのも面倒なので書かない。 『発掘』とか『掘ること』でいいじゃん。 史実に基づいたJohn Prestonの同名小説(未読)の映画化。

1939年、第二次大戦前夜の英国Suffolk州の原野で、地主のEdith Pretty (Carey Mulligan)のところにIpswich Museumから紹介されてきたBasil Brown (Ralph Fiennes)が訪ねてくる。彼女の土地にある遺跡のようにに盛りあがった丘のようなところを発掘すべく、料金の交渉をしてからBasilは掘り始める。彼はこれまで独学でやってきた考古学者/掘り師で、少し掘って自分も埋まって死にそうになったりした後に、ここには何かある、と匂いを感じたらしく黙々と掘り始める。

Edithは夫を亡くして息子のRobert (Archie Barnes)と暮らしていて、RobertとBasilは仲良くなって、やがて小さな発見をきっかけにケンブリッジからCharles Phillips (Ken Stott)を頭とする大規模な調査隊がやってきて、Basilはお呼びでなくなるかと思ったけどそうはならず、写真担当のRory (Johnny Flynn)とか夫婦でやってきたPeggy (Lily James)とStuart (Ben Chaplin)とかも加わって、みんなで掘り進めていくうちに、メロヴィング朝の金貨とかが出てきて、6世紀にアングロ・サクソンがここに来ていた - 考古学上の大発見であることがわかって大騒ぎになって…

そうしている間にロンドンに出かけたEdithが病を検査したらシリアスなものであることがわかったり、いよいよ戦争が始まりそうでRoryは英国空軍に志願して行くことになったり、Roryが想いを寄せるPeggyとStuartの夫婦仲が悪くなったり、いろんなことがある。 考古学上の発見に向かっての一進一退の攻防とか困難とか試練とか、ミイラや聖櫃が出てきて呪いが、とかそういうお話ではないの。 発掘〜発見のところは結構あっさりじゃらじゃら出てきて、その所有権はとか発見者の名前はとかどこの博物館に、とかそういう損得の話の方が大きかったり。

これが歴史的な大発見であることはめでたいし、1500年前の彼らの痕跡を見つけることができたことも喜ばしいけど、今のぼくらは世紀の大戦に向かっていてみんな爆撃で死んじゃうかもだし、飛行機が落ちたらすぐ死んじゃうようだし、自分の健康だってままならないし、夫婦の仲だって危ういし、なーにやっているんだろうね.. っていう小さな溜息が、だだっぴろい原っぱにぽつぽつと吐きだされる。 そんなややしょんぼりした話で、それでも掘るんだよ、ってぶつぶつ黙々と地面を掘り続けていくあたりがなんだか英国しているのかも。 見ているとなんだか地面を掘りたくなってくるの。  これが米国だとゴールドラッシュとか石油とか、みんな腕まくりしてぐいぐい掘るよね(これ系のだと英国・アイルランドは炭鉱とかより辛い方の「掘る」があるか)。

“We all fail every day”とか”We die and we decay”といった無常を嘆く言葉に対して、Basilは”part of something continuous, we don’t really die”と返す。そうかもしれない。死んだことないからわかんないし、慰めになるとも思えないけど。 でもみんながそんな想いで地面を見つめていた戦争前の夏のお話。

RoryとPeggyの会話に出てきた、チェロ奏者Beatrice Harrisonとナイチンゲールがデュエットした件の録音はここで聞くことができる。デュエットしているかしらん?

https://www.bbc.com/historyofthebbc/anniversaries/may/cello-and-nightingale-duet

Rory - 彼は架空の人物らしい - が撮っていたのがPeggyの肖像ばかりだったことをPeggyが発見して泣いちゃうところは”Love Actually”のあれのようで、ああいうのってみんな結構やったりするもんなの?

病気でひょろひょろですぐに倒れちゃいそうなCarey Mulliganの脆さと寡黙で頑固な職人ふうのRalph Fiennesの真ん中のふたりとか、お茶の水博士みたいなKen Stottとか、アンサンブルも素敵なの。

大英博物館が開いたらすぐにブツを見にいきたい。

どうでもいいことだけど、舞台となったSutton Hooって鶏の産地として知ってた。ここの鶏肉はでっかくて重くてものすごくおいしいの。ここのどっしりした旨味って日本のにもアメリカのにもないかんじの。

https://www.suttonhoochicken.co.uk/


もう我慢できない、ってライブのストリーミングを見始めることにしたのだが、これの問題はオーダーしたあとに開始日時を忘れて見逃しちゃうことで(予定表に入れとけ)、つい数日前もPortisheadのを逃した - 逃したので彼らが本当にライブやったのかも不明のまま。

今日は晩の20:00からLaura Marlingさんのを見た。2011年にWebster Hallで見て以来。ロンドンだとチケットはすぐに売り切れてしまうので見れていない。 IslingtonのUnion Chapelで、たったひとりで約1時間。あの会場もなつかしいし、彼女相変わらず素敵だし、うっとりだったけど、カメラとかあんまり動いてほしくないな。

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