5.07.2020

[film] Somersault (2004)

30日、木曜日の晩、BFI Playerで見ました。 Abbie Cornishさんが好きなので、くらい。

Cate Shortlandさんの監督デビューとなったオーストラリア映画で、その年のカンヌの「ある視点」部門で上映され、オーストラリア国内でもいろんな賞を受賞した。日本ではDVDリリースのみらしく、邦題は『15歳のダイアリー』だって。 サマーソルト – 「宙返り」、でいいのに。

キャンベラの郊外に暮らすHeidi (Abbie Cornish)は退屈でしょうがないので、家でごろごろしていたママのBFとキスしていたらそれを見たママが激怒して(ま、するかも)、すごい剣幕なので家を飛び出して電車で東の方に逃げて、昔に仕事の紹介するよって言っていた男のところに電話するのだが、ごめん記憶にないって切られて、そこから vagabondの彷徨いが始まる。

バーで知り合った男とするする寝たり、優しいおばさんと出会ってモーテルの一角で寝泊まりさせて貰って、ガソリンスタンドでバイトできるようになったり、とりあえず当面の宿とお金をなんとかして、やがて地元の農家の子 - Joe (Sam Worthington)と出会ってお互いに忘れられないかんじになっていくのだが、JoeはJoeで自身のセクシュアリティについて悩んでいて、うまく応えられないのでHeidiは中華料理屋で唐辛子を口いっぱいに頬張って..(それはぜったいやめたほうが)。 そこから更にJoeの父親に嫌なことを言われやけくそになって深夜に騒動を起こしたHeidiはもう出て行ってくれ、っておばさんに言われて、身寄りないしお金もないしJoeとは微妙になっちゃったのでどうしよう.. になる。(全体として親の目でずっとはらはらしっぱなしに)

というのがオーストラリアのきれいな光に満ちた景色(寒そうだけど)と夜の心細い冷たさの中で描かれて、外の世界はこんなに美しいのになんであたしの周りは.. っていうHeidiの宙返りの顛末。ぜんぶ彼女が自分で火をつけて出て行ったのだから酷い目にあって当然、とかそういうお話しではなくて(なんでそういう方向に持っていきたがるのか本当に解らない – 腐れた大人たち)、Joeもずっと悩んでいるしモーテルのおばさんも家族の過去で苦しんでいるそういう地面とか大気を - 一回転して立ったのはそういう地面であることを知る季節のお話。

母親の男に手をだして、互いにブチ切れて、というのはこないだ見た”The Diary of a Teenage Girl” (2015)の設定にも似ていて、でもあの映画のMinnieが威勢よくやったるぜ! モードでぶちかますのに対してこの映画のHeidiはどこまでも弱く頼りなく周囲にされるがままで、たぶん殆どの子たちはこんなふうに家にいられなくなって外に飛びだして、こんなふうに傷だらけで心細くしているのではないかしら、っていうところまで広げてみせる視界の広さとやさしさがあるの。

こういう女の子の彷徨いドラマの極北にAgnès Vardaの”Vagabond” (1985) - 『冬の旅』があると思うのだが、あそこまでしんどくない。けどHeidiが見ていた人々とか世間とかをまっすぐに見せてくれる。

わたしはJohn Keatsの評伝ドラマ - “Bright Star” (2009)が大好きで、ここでFanny Brawneを演じたAbbie Cornishさんの重心が低くて揺るがないとこがすばらしいと思ってて、その系譜にあるFlorence Pughさんが登場するCate Shortland監督の最新作 - ”Black Widow” (!) が今はとっても楽しみ。


ああ、Bergdorf Goodman (とNeiman Marcus)がChapter 11(破産申請)を..
ここでお洋服を買うことなんてなかったけど、7階の雑貨インテリアは世界一センスよくてかっこよかったのでお勉強になったし、クリスマスのオーナメントでここより充実している売り場はなかったし、どこから仕入れていたのか置いてある古本は見事なセレクションだった(ので、よく買ったりした)。
ここでいつの日か値札なんて見ずに買いまくるのが夢だったのになー。 

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