5.27.2020

[film] Diabolo menthe (1977)

20日、水曜日の晩、Criterion Channelで見ました。 
丁度ここでDiane Kurys監督の3本、の特集が始まって、目玉は”The Children of the Century” (1999) - 『年下のひと』らしいのだが、同時にピックアップされているこのデビュー作の方もおもしろそうだったので、こっちから見よう、って。

同年のルイ・デリュック賞を受賞している。英語題は”Peppermint Soda”。日本公開はされていない? すんごくよいのに。

冒頭、「セーターを貸してって持っていったまま返してくれない妹へ」ってメッセージがでる。ビーチで遊んでいる姉妹が列車でパリに戻る時、父親と思われる男性がひとり見送りにきているので両親は離婚しているのかな、と。

1963年の秋、13歳のAna (Eléonore Klarwein)と15歳のFrederique (Odile Michel)の姉妹がいて、学校が始まって新しいクラスになるのだが先生たちはものすごく厳しかったり変だったり(いつも毛皮を羽織って指導する体育教師とか)、Anaは勉強はさっぱりで作文の課題も姉が昔提出したのをそのまま持ってって注意されたり、注意されてもがんばるつもりも動機もまったく見いだせないし、どうしたらいいのかまったくわからないのでどうする自分、になっている。他方でFrederiqueは彼(候補)と遠出したくて遠出したら幻滅して戻ってきたり、アルジェの辺りから政治に興味を持ち始めたり、突然行方不明になったクラスメートのパパと会って話しているうちになんとなくキスしちゃったり、でもふたりとも学校なんてどうでもいいかんじで、でも行かないで遊んでいるとママも教師もうるさいしで、いかに友達と適当にやりすごして自分のやりたいことをやるか – やりたいことなんてないけど、に集中している日々。

そのどうでもいいかんじが思春期の入り口のじたばたと、すっとぼけたAnaの表情と物憂げな顔でいたいFrederique、ぶっきらぼうに投げ出された棒の足、などと重なってすばらしい景色 - 特に色彩を作りだす。 ひとりひとりの事情にも都合にも立ち入らず、学園ドラマにあるような「学園」も「ドラマ」もあまりなくたって、彼女たちが群れたり散ったりわーわーしたりしょんぼりしているだけで、なんでこんなにおもしろくなってしまうのだろう。

ラストでまた彼女たちはビーチに戻って父親と再会して楽しそうで、でもビーチが嬉しいのか父親が嬉しいのか季節が楽しいのか適度に乾いたところもよくて、そんな彼女たちのペパーミントソーダ。

Criterionのサイトには今回の特集に合わせて監督のインタビュー映像もあって、そこでは77年の少女たちに63年の少女たちを演じさせることの難しさはありました? って聞いてて、答えは思っていたほどなかった、と。狙うと却ってしらじらしくなりそうなところを縫って今見てもちっとも古さを感じさせない。女の子達がてきとーに好き勝手にやってびくともしない、というあたりでJacques Rozierの『オルエットの方へ』とかを思いだした。いまとっても再会したい1本。

どうでもいいけど、Anaに最初の生理がきて、ママに伝えにいったらママがいきなりAnaの横っ面を思いっきり張りとばしたのにはびっくりした。そういう習慣なの?  すごいねえフランス。


近所でまた猫みつけた。 ここまでに見つけた猫スポット5つ。 なかなか会えないけど。

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