5.13.2020

[film] Appropriate Behaviour (2014)

5日、火曜日の晩、BFI Playerで見ました。子供の日とかにちょうどよいタイトルかと思って。

“The Miseducation of Cameron Post” (2018)が日本でも少しだけ話題になったDesiree Akhavanさんの長編監督デビュー作。彼女がストーリー書いて監督して主演してNYで撮った英国映画。低予算の手作りながら同年のサンダンスでは話題になって、次作の”The Miseducation.. ”ではいきなりChloë Grace Moretzが主演やるって言ってきたのでものすごくびっくりした(と監督本人が言っていた)。 あと、この作品でストーリーを一緒に書いてプロデューサーもしているCecilia Frugiueleさんとのコンビは”The Miseducation.. ”でも続いていて、このふたりの粋なバディっぷりときたらたまんないの。

よくわかんないけど配信サービスでは『ハンパな私じゃダメかしら?』っていうタイトルで見れるの?

ブルックリンに暮らすShirin (Desiree Akhavan)はある晩一緒に暮らしているGFのMaxine (Rebecca Henderson)と大喧嘩して飛びだしてホームレスのジョブレスになって、どうする?の彷徨いが始まる。どうにかして幼稚園で5歳くらいの子たちを相手に映画作りを教えるクラス(いいなー)を任されるのだが、ガキ共はめちゃくちゃだし、どこ行ってなにやっても外しまくってぼろぼろで、イランからの移民で裕福な両親は娘がまさかそんな状態だとはちっとも思っていない(彼女がレスビアンであることすら知らない)。

女性でお国はイランでムスリムでゲイで家も職も不安定、というぐるぐる多重苦でしんどいShirinがこの社会(ブルックリンだけど)で Appropriate Behaviourを保ちつつ(保てないけど)やっていくのはこういうことなのだ、ていうスケッチ。 これらを主人公のやや入り組んだバックグラウンド - “Appropriate Behaviour”を浮かびあがらせることが容易なフェミニズムや宗教といった枠は背景のひとつでしかない - を除いて単純化してみると、手痛い失恋を機に理想の愛と相手を探し求めて諦めないでじたばた、というromcomの範疇に入ってくるお話で、先日見た”Romantic Comedy” (2019)にもほんの一瞬出てきたりする。

”The Miseducation.. ”もそうだったけど、どこにも居場所がない、どこに行っても仲間外れ、でしょんぼりと視野狭窄おこして消えたくなるか、やけくそ起こして犯罪でもやったるか、になるところでどちらかというと後者に近いけど、ぜんぜんめげなくて、かといって自虐ネタになることもなく、それが基本ですがなにか?  みたいにつーんとしている。実際にそうやってきたんだろうな。それをそのまま4トラックのカセットで一発撮りしたかのような、生々しいデモのような力強さがある。 ”The Miseducation.. ”の上映後のQ&Aで、主人公たちのその後について、「未成年のホームレスのゲイとして扱われるに決まってるでしょ」ってさばさば答えていたあの強さはここにあったのか、って。

なのでこの作品が多くの人に愛されて評判を呼んだ、というのはなんだかとってもよくわかる。見方によってはものすごく悲惨な話のようなのに、まったくそうは見えず/見せずに笑っちゃえ、それもやけくその大笑いじゃなくて、はは..  くらいのやつ。

これ、男性を主人公にしたらどうなっていただろうか、例えば”Midnight Cowboy” (1969)あたりと比べてみて、この50年間でなにが変わったのか - 変わってないのか、考えてみるのはおもしろいかも。

あとは、ヘテロでホワイトだけど弾きだされた女子の彷徨い、という点では”Lola Versus” (2012)とか“Frances Ha” (2012)といったあたりと、ブルックリンやLower Eastという土地の空気とか、いろいろあるなー。


猫も杓子もNew Normalとか、もう元には戻れないとか言っているのだが、だから無理して戻らなくていいのに。 この状態で会社に戻っても会社のためにネジ巻いてお金稼ごうなんて気にならないよね。自分だけじゃなくて世界じゅうみんなそうなんだから、今年の残りはみんなだらだらお散歩して過ごせばいいのに。(いろいろやるきゼロらしい)

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