8.02.2020

[film] Street Corner (1953)

7月24日、金曜日の晩、Carol Morleyさんの#FridayFilmClubで見ました。(まだフリーで見れるよ)
50-60年代の英国を代表する女性監督Muriel Boxの作品で、米国では“Both Sides of the Law”のタイトルでリリースされている。日本では公開されていないみたい(Allcinemaに載っている監督作品は2本だけ)。 彼女のことはこの記事に↓

https://www.theguardian.com/film/2018/oct/26/muriel-box-britains-most-prolific-female-director-youve-never-head-of

(でも、さっき調べたら、”Women Make Film”で彼女の作品は紹介されていない…)

ロンドンのふたりの女性警官 - Susan (Anne Crawford)とLucy (Barbara Murray)の日々のお仕事をドキュメンタリー風に追っていく。警察モノによくあるような組織内の誰それとの確執、の話でも警官コンビのどたばたバディものでもなくて、ふたりがぶつかるロンドンの犯罪景色 - というほどに濃いやつでもない - を通して当時のロンドンの社会階層とか家族のありようを描いていてふたりの影はそんなに濃くない。

そういえば大学の社会学の図書に”Street Corner Society” (1943)ってあったねえ。あんなかんじ(嘘)。

エピソードは3つあって。
ふたりが夜の公園を見回りをしているとボートから落ちた子供を救ったカップルと出会って、ふたりの様子が変だったのだが、うち女性の方は軍を除隊になって以降、身分証明もなにも持っていなくて、でも子供を救ったから救われると思ったら、彼女には重婚の疑いが..
もうひとつは育児放棄で子供をアパートに置いたままにしているおうちの話で、幼い子供がアパートの上から落ちそうになるところを救ったり - はしご車(昔のやつ)が来てはしごがするする伸びてくるところとかたまんない。
もうひとつはこれも乳飲み子を抱えたBridget (Peggy Cummins)が万引きをして捕まって取り調べられて、裁判のあとで罰金を払う時にRay (Terence Morgan)が現れて助けてくれて、そのあとも彼はおごってくれたり盗んできた宝石とかをくれるので、彼に囲われるのだが、こいつがとんでもない悪党で… (エピソードのなかではこれが一番でっかくてスリリング)。
あと、端っこの細かいところだと女性署員の頼みごと(パーティの演し物手伝ってとかその程度)を難癖つけて断固としてはねのける男性署員とか困ったやつも目につく鼻につく。

それぞれのエピソードが繋がったり交錯したりすることはないのだが、どれも女性が中心にいて貧困や子供や男その他が絡んでそれなりに苦難とか生き難さを抱えていて、それをふたりを含む女性警官が女性の立場から助けたりカバーしたりする様子が描かれて、その範囲を超えたところだと警察みんなでナイトクラブをガサ入れするところとか、(男性警官ではなく)警察犬が活躍したりとか、とてもおもしろい。男性中心の警察モノではない、というところから離れてみても繋ぎと構成がしっかりしているからだと思う。

こっちにきてしみじみ思うのだが40年代50年代の英国映画ってまだまだ知らないおもしろいのがいっぱいある。(それを言い出したら日本の昔のだって紹介されていない傑作はいくらでも) とにかくこっちにいる間にいっぱい見ておかないと。

#FridayFilmClubの指摘でおもしろかったのは、この1953年、Ida Lupinoは”The Bigamist”をリリースしていて、どっちも重婚をテーマにしている、って(Idaのは男性の重婚だけど)。


もう美術館も一部の映画館も開きだしていて、でも木曜日くらいに思い出して週末の予約状況をみると既にいっぱいで諦め、というのが続いている。やる気がないのね。  ていうのと、金曜日の晩にちょっとありえない人混みを見てしまい、これはだめでしょ、と思ってしまって。 近いうちにロックダウンふたたびくるよあれじゃ。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。