8.12.2020

[film] Summerland (2020)

 8日、土曜日の昼、CurzonのVictoriaで見ました。3月以来のVirtualではない映画館での映画鑑賞。ものすごく楽しみにして駆け込んだかというとそんなでもなくて(自分でもがっかり)、Virtualの方でやってくれないから(そのうちやるのだろうけど)、くらいの理由。なにがなんでも映画館で見るの! というかつての愛は幾分冷めてしまった気がする。そのうち戻ってくるのかも知れないけど。

今の時期、そんなに新作もない中でどんなのを上映しているのかというと、ストリーミングでやっているやつが半分くらいと、「帝国の逆襲」40周年とか、「フラッシュ・ゴードン」40周年とか、「インセプション」10周年とか...

上映前にかかるCMはやはり抑え目で、動物愛護団体の、動物園の動物たちはずっと一生Lockdownなんだよわかってる? とか。 客はぜんぶで5人くらい。 Distancingはじゅうぶん。

女性監督Jessica Swaleのデビュー作で、原作/脚本も彼女の。これまで演劇の方 - グローブ座とか - でやってきた方だそう。 夏っぽいかなーって思って…

70年代、英国Kentのドーヴァーの白い崖が見える海辺の一軒家にAlice (Penelope Wilton)がひとりで暮らしていて、子供達からは魔女だなんだと怖がられていて、そこから40年代、同じ場所に暮らしている若い頃のAlice (Gemma Arterton)の話になる。ここでも既にひとりで暮らしている彼女は村人たちや子供たちから魔女だスパイだナチスだ散々言われたり嫌がらせされたり、でも気にしていない。

彼女はその家でずっと文献を漁ってタイプライターを叩いて民俗学の研究をしていて、ある日いきなりロンドンから疎開してくる男の子Frank (Lucas Bond)の受け入れ先になるように言われて、聞いてないって抗議するのだが通知してある(郵便受けからごわごわの昔の手紙が)って。Frankの父親は飛行機乗りで戦争に行っていて母親は官庁に勤めてずっと不在らしく、悪い子ではなさそうだし放ってはおけないのでしぶしぶ面倒を見始めて、子供だからなにやってるの? とか聞いてきていちいち面倒なのだが、神話研究でMorgan le Fay とかFata Morgana - 蜃気楼で海上に浮かぶお城が現れる場所とかを追っかけて地図にマークをしたりしている。

で、そうやって自分のやっていることを振り返ったりしていると、自分が大学の頃に愛した彼女 - Vera (Gugu Mbatha-Raw) との輝いていた夏の日々のことが蘇ったりして、ちょっと涙目になったり。
タイトルの”Summerland”というのは、空中のお城のようにいつか空の上に現れると信じている“pagan heaven”のことで、気がつけばFrankとふたりで子供になって懸命に探したりしていて、ああVeraとふたりで転げ回って遊んだ夏も… っていうのが度々浮かんでは消えていく。

終わりの方ではFrankの父のことに絡んで彼の行方がわからなくなって追っかけっことか、いろんなことが起こるのだが、ちょっと無理して詰めこみすぎたかんじもある。 ずっとSummerlandを探し求めるAliceの旅と父母から切り離された孤独なFrankの彷徨いが交錯したひと夏の思い出を振り返る、っていうだけで十分だったのでは、とか。「緑の光線」の英国フォークロアバージョンみたいなのにしてもよかったのに。

でもKentの夏の風景はきれいだし、Aliceのすっぴん田舎の着こなしも素敵だし、英国の夏の戦時下ドラマ with Lock-down として悪くなかった。

Gemma Artertonさんは、予告でもかかった”The King's Man” (2020) - 時代を遡るらしい - とか、”Vita and Virginia” (2018) でのVita Sackville-Westとか、これも英国の第二次大戦時下の映画人を追った”Their Finest” (2016)とか、時代劇がはまるねえ。


今日は午後になったら雷がくるかもって言われていて、午後になってあまりの暑さに床に転がってしんでたらどーん、て鳴ったのできたきたって起きあがって太鼓抱えて待っていたのに結局こなかった。 BBCのうそつき! 降りだしたらじとじと容赦ないくせにいくじなし!


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