8.14.2020

[film] Perfect 10 (2019)

 8日、土曜日の晩、BFI Playerで見ました。映画館でもやっているけど、ストリーミングの方で。昨年のLFFでも上映された監督(原作・脚本も)Eva Rileyのデビュー作で、これもCreative England, BBC Films, BFIがサポートしている。

ブライトン郊外に暮らす14歳のLeigh (Frankie Box)がいて、彼女は体操をやっていて競技会も近いのだが練習場では他の選手のお喋り - 自分のレオタードが古いことに対する悪口かも – なんかが気になってあまり集中できない。

ある日、家に帰ると知らない青年 - Joe (Alfie Deegan)が現れて、自分らは父親が同じ兄妹だという。Leighは母を亡くして間もなくて、雑貨屋の店員をしている父親は不在がちで、兄がいることなんて全く聞いていなかったのでふざけんなよ! って追い払うのだが、Joeはなんか人懐こく寄ってくる。 体操の練習もつまんなくなっているLeighは、彼のバイクに乗せてもらって、そうして彼の不良仲間に交じって遊んだり盗みをしたりするようになって、そうするとますます体操の練習の方には身が入らなくなって ..  というアップダウンを繰り返す日々を描く。

外でみんなでたむろしている時に、こいつ体操やってるんだぜ、って言われたLeighが音楽にあわせて軽く宙返りしたらすげーって賞賛されてちょっと得意になったり、Joeと原っぱを思いっきり駆けっこしたりバイクの乗り方を教えて貰ったりして少しづつ近寄っていったりとか、青春! みたいなやや眩しめのエピソードもあるのだが、基本は父に放っておかれて家族もぼんやりのまま、だいたいひとりで浮かんだり沈んだりを繰り返しつつ全体としてやっぱり沈んでいくっぽいLeighが、最後にやっぱり自分は.  って開き直るまで。

ずっと練習して精進してPerfect 10を狙うよいこの青春の裏道 – と言ってもなにが表で裏でなにがどうしてよいのかわるいのか誰も教えてくれないし誰に聞いたらいいのかもわからないので火傷覚悟で張ってみてどうする? どうなる? っていう日々のミクロな、焦りとか後悔にドライブされるたったひとりの攻防が切々と描かれていてすばらしいと思った。これに比べたら”Quadrophenia” (1979)はなんと立派で豪勢な青春映画だったことか、庇護者がいる”Eighth Grade” (2018)はなんと贅沢な奮闘の映画だったことか、とか。

いろんな選択肢があるなか、これでもなくあれでもなく中途半端なところでやめちゃったり投げちゃったり、集中力、というのとはちょっと違う配合の加減で自分でもよくわからない穴に頭を突っこんでどんより、ばかりの子供の頃のあれこれがとても生々しく蘇る(ひとによるのだろうけど。同年代の子供たちに見せても「わかんなーいー」になってしまう可能性は十分あるかも。みんなが遠巻きにLeighを見ていたように)。 決して明るいトーンのcoming-of-ageものではないのだが、背伸びも歯ぎしりもわかりやすい反抗もないのってよいことだと思う。

あとはこれが映画デビューとなる主演のFrankie Boxさんのそこにいるかんじのすばらしさ。親だの学校だのにそんな好きでもないスポーツとか習い事とかやらされていいかげんほんのり絶望している子供達に見てほしい。
まあこの作品 – こないだの”Make Up”なんかも - が日本で買われる可能性ってほぼゼロに近いと思うので、その辺からして..


会社に行ったついでに、Museum of LondonのGalleyでやっている展示 - “London Calling: 40 years of The Clash” ていうのを見てきた。予約はいるけど無料。 そんなに沢山あるわけではなくて、アルバムジャケットでPaul Simononが叩き壊したベースがあって、Pennie Smithの写真はやっぱりかっこいいねえ、くらい。 いまは好きな曲も結構あるけど、出た当時はどこがよいのかちーっともわからなかった。 ツバキの火曜日でもこれがかかると抜けてたし。  79年て、“Metal Box”がでて、”Y”がでて、”Cut”がでて、”Entertainment!”がでているんだよ。 ”London Calling”なんてゆるゆるのオールドスタイルにしか聴こえなかった。  それにしても40年かあー。

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