2.19.2019

[film] Night Nurse (1931) + Baby Face (1933)

10日の日曜日は、BFIのBarbara Stanwyck特集で3本見た。 この回は初期の中編ふたつを束ねたもの。
やはりどっちもとんでもな(以下略)。

邦題は『夜の看護婦』で、たしかに間違ってないけど、なんか淫靡になってしまうのは ..自分がわるいのよね。
監督William A. Wellmanの出演作の最初の。

Lora (Barbara Stanwyck)は看護婦見習いになりたくて病院に来たのだが高校を出ていないからって追い払われる手前で、手助けしてあげた偉い人の口利きで採用されて、いろんな部局での研修を経て住み込みの看護婦としてお金持ちのおうちに入るのだが、そこのふたりの娘はすっかり見捨てられて衰弱していて、母親は毎日パーティの酒浸りで、やくざな出入りの運転手(Clark Gable)がぜんぶ仕切ってホームドクターとも口裏合わせしてて、子供たちの惨状をみかねたLoraが激怒して立ちあがり、見習い期間中に助けてあげたやくざのお兄さんと一緒になってとっちめて、ちゃんとした医者を連れてきてミルク風呂に入れて自分の血を輸血して子供を救うの。

最初は軽くてやわいかんじの娘っこに見えたLoraがぐでぐでに酔っぱらって子供の面倒をみない母親に対してブチ切れるシーンの剣幕形相がまじですさまじくて、誰もが背筋を伸ばして、最後は拍手が起こっていた。

Clark Gableのねちっこいワルなかんじも見るひとが見たらたまんないのではないかしら。この役、最初はJames Cagneyがやる予定だったんだって。

Baby Face (1933)


邦題は『紅唇罪あり』..
ペンシルベニアの父親がやってる安酒場で小さい頃から酔っ払い客の相手をさせられてきたLily (Barbara Stanwyck)がいて、そんな彼女にニーチェの『権力への意志』を説いて、都会に出てでっかくなるのじゃ、っていうおっさんがいて、父親は酒場の突発事故で死んじゃったので列車に乗って - 列車代は注意しにきたお兄さんを落として - NYに出て勝負することにする。

NYに着いてからも窓口付近にいる男をぜんぶ色責めで落として – やられる連中の中にはスーツ姿のJohn Wayneまでいる - 文書部から貸付担当からビルの下の方から順番にのしあがっていって、会計まで来て、そこのボスのNedは副社長の娘と婚約していたのだが、たまらずにLilyと寝ちゃったので娘はパパのとこに泣いて言いつけにいって、パパはけしからんな、てLilyを呼びつけるのだがそこで同じように彼女にやられて、なめんなふざけんなってやってきたNedは義父を殺して自殺する。

そういうスキャンダルから会社を建てなおすべくやってきた創業者の孫Courtland (George Brent)は彼女に金を持たせて追い出そうとするがかわいそうだったのでパリ店に異動させて(いいなー)、そしたら彼女はパリで成功してきらきらになっていたので惚れちゃって結婚したら、今度は会社が傾いたという知らせが...

最初から最後までぜんぶこのトーン - 色で落として出世して金と地位を手に入れてなにが悪いのさ? で貫かれていて、ちっとも悪くないしかっこいいよね、としか言いようがないの。ハラスメントみたいなことをしているわけではなくて、むしろ理不尽なそういうのから生き延びるための対抗措置としてやっただけなのにあれこれ言われる筋合いないわ、って。

外側の振るまいだけだとFemme fataleとか魔性の女、って怖々呼ばれてしまうのかもしれないけど、そうじゃないの、彼女はニーチェをやろうとしただけなの、かっこいいよね。(最後だけ人間に戻っちゃうんだけど)

上映が終わったあとで、検閲で削除されたシーンのいくつかが上映されたのだが、どこがいけなかったのか、ほぼわかんないくらい微妙な線なの。そんなもんよね。

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