2.12.2019

[dance] TRIO ConcertDance

1月22日、火曜日の晩、Royal Opera Houseのなかに新しくできたLinbury Theatreで見ました(これがこけら落とし公演だそう)。 Royal Opera Houseは(どういう構造の建物なのか全貌が未だに掴めていないのだが)一昨年くらいからずっととんかん改修工事みたいのをしていて、Diningのところくらいかと思っていたら中にこんなのを造っていたらしい。

小規模な公演をやる用のホールで、席は3階まであるもののステージまでの距離がとても近くてどこからでも見やすくて、内装はなんか落ち着く木のかんじで、こういうとこで新しいのとか実験的なやつとかいっぱいやってほしい。これの料金はたしか£45だった。

https://www.roh.org.uk/news/the-royal-opera-houses-new-linbury-theatre-is-now-open

わたしの90年代のABTの頃から続くAlessandra Ferriへの愛はここに何度か書いてきたが、2017年の2月、Londonに着いたばかりの頃に見にいったWayne McGregorの”Woolf Works”に彼女が出ているのを知ったときの嬉しい驚きはいまだに忘れられない – しかもダロウェィ夫人の役で..

で、これは彼女としてはあれ以来のダンス公演で、タイトルの”TRIO”は、ダンスのパートナーのHerman Correjoとピアノ伴奏のBruce Levingstonからなる3名で、最小構成 – DJと男女の2MCのラップ – みたいなもん、と思えばよいのかしら。

ステージ上にはターンテーブルならぬグランドピアノがあって、ふたりが数曲踊った後にピアノソロ演奏が挟まっていくような構成。 曲はLigeti, J.S.Bach, Scarlatti, Nils Frahm,Satie, Chopin, Glass(5曲), Mozart など古典から新しいのまで混合で、ダンスのほうもコレオグラファーは6人 - Demis Volpi, Herman Correjo(自作自演)- Wayne McGregor, Fang-Yi Sheu, Russell Maliphant, Angelin Preljocaj – 個々の作品からひとつのテーマやストーリーを抽出したり掘り下げたり、というよりは柔らかく幅広めにダンスのバリエーションを模索していくかんじ。

ピアノは終盤のGlassのEtude no 5と6から最後までの疾走感と、Wayne McGregor - Nils Frahmのピースが見事だった。あとラスト、Angelin Preljocaj – Mozartの“Le Parc” - 白い寝間着の寝起き状態でキスした状態のままぐるぐる遊園地みたいに回っていくやつ、いいなーって思ったけど実際にあれやったらまる一日立ちあがれなくなるねえ。

ダンスのふたりの相性はとてもよくて、Ferriからすればやや若いHerman Correjo – ABTのPrincipalでJulio Boccaに見出されたという – がテクニカルなとこも含めてリードするかと思ったら全くそんなことはなく、デュオとして何の無理もなくひとつの動き、フォルム(静止した像がきれい)を作っていて、そこに元気いっぱいのピアノが切りこんできて崩したり煽ったり、そんなかんじ。

終演後の3人がステージの前に寄ってきて、そこではFerriの踊る歓びとしか言いようのない表情が素敵でああ見てよかった、と。ダンサーがダンスを終えた後の表情って、よいに決まっているのだが、この晩の彼女のそれは特にすばらしくて、ここに来るまでにも相当考えたのだろうな、って。

クラシックの前線から退いてモダンの方に移った人たち、あるいは老いを/老いと共に踊る人達のダンスを見るのが好きで、これまでもMerce CunninghamからMikhail BaryshnikovからSylvie Guillemから、Nederlands Dans TheaterのNDT III(ってもうないのね..)まで、いろいろ見てきて彼らのダンスって、なんで踊るのか、踊るとはどういうことかを常に身体に問いながら動いていくようなところが魅力なのだが、この晩のFerriのそれは、まだそこに至る手前の、それでも踊りたいから踊るんだから! と、それを表現するための術を見つけたよ!の歓喜がまずあって、それが動きの隅々にまで満ちていたの。 また踊ってくれることでしょう。

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