2.26.2019

[film] The Mule (2018)

17日、日曜日の夕方にピカデリーのシネコンで見ました。

誰もがご存知のClint Eastwoodの新作なのだが、英国ではびっくりするくらい人気がなく、レビューも平均でもうここくらいでしかやっていなかった(2週間続いたかしら?)。 ひとつ前の”The 15:17 to Paris” (2018)も同様に気づいたら公開されてて気づいたら終わっていて、なのでまだ見ていないの。

なんでなのか、なんとなくわかるのだが、英国で話題にならない・人気がないことよりもなぜフランスとか日本ではあんなに褒め讃えられるのか、そっちの方がおもしろい分析になる気がする。
The New York Timesの記事を元にした実在した90歳の麻薬の運び屋のおじいさんのおはなし。

12月に見たDavid Loweryの”The Old Man and the Gun”もThe New Yorkerの記事を元にした実在した銀行強盗おじいさんのおはなしだった。おもしろいな。 ただこちらはEastwood自身が監督して主演している。実際に(運び屋を)やっていたら面白かったのに。

自身の花屋稼業に入れ込むあまり妻(Dianne Wiest)には出て行かれ、娘(Alison Eastwood)の結婚式もすっぽかして絶縁され、そのうち花屋も傾いて引っ越さなければいけなくなったところで、小銭を稼ぎたいのであればここに来てみな、て声を掛けられて、ガソリンスタンドの横の車庫に行ってみるとちょっと怖そうな人たちがいて、黙って荷物を運んでその場所に行ったら駐車して鍵をそのままにして、暫くしたら戻れと。 指示通りにやってみると封筒に入った札束を貰えて、言われたことを守って安全運転でいくのには自信があったので回数を重ねるようになる。

あまりに巧くやってくれるので組織もだいじょうぶなのかこいつ? って疑い始めて監視が入ったりするのだが問題ないどころか老人のペースにやられたりして、そのうち組織の上(Andy Garcia)にも認められてメキシコで歓待されたりする。

他方で警察のほうもBradley Cooper + Michael Peña(その上はLaurence Fishburne)という豪華なメンツでやっきになって探しまくるのだが、飄々としたこの老人にはなかなか行き当たらない。
犯罪実録モノ、の緊迫感とシリアスさは余りなく、特に最初のうちは荷物の中身も知らないすっとぼけたトーン - 特に彼が運転しながらかける昔のポップス(あれなに?知らないのばっか)の陽気さ朗らかさに監視する連中も引き摺られていったり - が楽しくて、更に後半に行くにつれて今度は彼が病床の妻に引っぱられるかのように家族の物語になっていくのだが、どちらにしても誰にも頼らずひとり自分だけで生きてきた孤独な老人の(良くも悪くも)揺るがない強さが引き起こす悲喜劇になっている。

でも同じ犯罪に手を染める(死と隣り合わせの)老人もの、であれば” The Old Man and the Gun”の方が楽しくてよかったかも。あちらは最初から確信犯なのだが、今作のClint Eastwood & Dianne Wiest以上にRobert Redford & Sissy Spacekのふたりの方が圧倒的にすばらしくてねえ。

ひと- 特に仕事やミッションに打ち込むひと - が必然的に、根源的に抱え込んでしまう罪や罰、その傷の深さや傷痕のありようを描くところにEastwoodの映画の普遍性はあると思うのだが、その普遍性のよって立つところってアメリカ人の生活や歴史に深く根差しているので、そこがイギリス人にはだからなにさ? に見えてしまうのかしら、とか思ったり。

あと、Pulled Pork Sandwichをとても食べたくなってしまうのでちゅうい。

“Green Book”がオスカーの作品賞を獲って、それはおめでたいことですけど、この映画もあるルールに従って車を運転していく雇われ運転手と乗客のドラマ、ではあるねえ。 結末はずいぶん違うけどさ。

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