8.13.2018

[film] The Collection (1976)

7月29日の日曜日の午後、BFIで見ました。BFIではこの7-8月に、Harold Pinterの没後10年企画 - ” Pinter On Screen: Power, Sex and Politics”という特集がかかっていて(昨年はJoe Ortonだったねえ)、うううなんか重そうだなあ、と思いつつこれを機にお勉強してみよう、てかんじで見始める。

タイトルの前に“Laurence Olivier Presents”と付いていて、これはGranada Televisionが76年から78年までやっていたTVプログラムのことで、Laurence Olivierの監修と出演で、彼がArtistic DirectorをやっていたNational Theatreで掛かった演劇作品をTV用に翻案したのを放映していたのだそう。 ぜんぶで6作品あって、他にはTennessee Williamsの”Cat on a Hot Tin Roof”とか。

PInter自身の演劇用の原作は1961年のもの、このTV版は63分で、30分番組だったのか途中にCMが入ったのか、真ん中あたりで一旦途切れる。

最初にキャストの名前が出てきたところで、その4名の豪華さにちょっとびっくりする。

ロンドンに暮らす初老のHarry (Laurence Olivier)は朝帰りしたところで一緒に暮らしているBill (Malcolm McDowell)宛の妙な電話を受けて、そのあと今度はBillが家にいるときに、James (Alan Bates)ていう見知らぬ男の訪問を受けて、そいつはいろいろ遠回しに慇懃無礼に聞いてくる。そのJamesがBillに対してストーカーぽく追い詰めていくやり方がおもしろいのだが、要は、地方でファッション・イベントがあった際、自分の妻で自分のブティックをやっているStella (Helen Mirren)とBillはホテルで会っているだろう、そこで何をした? 寝たのかどうなのか? と。 同じことをJamesはStellaに対しても聞いていて、Harry経由でも聞いたりしていて、でもその度にみんな言うことが微妙に違うのでJamesはどんどん焦りまくってドツボにはまり、聞かれて掘られる側はなんなのあんた? の不機嫌になっていって、つまりあんたが気にしているのはあの晩ふたりが寝たかどうなのか、っていうことらしいけど、それがほんとうだったとしたらそれがなんだってのよ? 嘘だったとしてもなんだってのよ? 結局あんたなにがどうなったら納得して安心できるわけ? などなど。

裕福だけど仲がよいとは思えない夫婦と、同居していて仲がよいのか悪いのかよくわからない怪しい男達との四角形の間で繰り広げられる、嘘をついているのは裏切っているのは嫌っているのはおまえだ戦争の顛末。
結局なんかさみしくてつまんないってことなのね.. って猫を抱きしめるStellaの猫がものすごくかわいいの – “Jeune Femme” - 「若い女」に出てきたムチャチャと同じ猫。

それにしてもHelen Mirrenのクールでかっこいいこと(今と変わんないの)。

The Lover (1963)

29日のBFIで、”The Collection”に続けて上映されたもの。これもTV放映されて、シアターで上演されたのはこの少し後だったという。画面はモノクロで、54分の作品。

Richard (Alan Badel)とSarah (Vivian Merchant)の夫婦がいて、ふたりの立派なおうちがあって、朝にRichardが家を出て行くときに「彼は何時に来るの?」と聞くとSarahは「3時よ」とか返して、その後にSarahはおめかしして服とか靴を素敵にして、その時間にやってくる男を迎い入れる準備をして、RichardはRichardで娼婦とよろしくやっているようなことを言ってて、でもやがて3時にやってくる男はRichardか、Richardにそっくりの男であることがわかって、つまりこいつらは互いになにをやっているのだろうか、と。後半はそんなふうにして維持されているふたりの関係についての口論で、これも先の”The Collection”と同様、つまりあなたは実際のところどうしたいわけ? になっていくのだが、これがなんかの刺激を求めるゲームみたいなもんなのか、まじでなんかの危機に直面しているふたりの症例を現したもんなのかは、わからない。 出口なし、なのかオープンドアなのか、やけくそなのかも。

しかしこれが63年にTVで流れた、ていうのはすごいかも。プロデューサー/ディレクターのJoan Kemp-Welchさんはこの時代のTVの世界で最初に活躍した女性で、この作品でいろんな賞を獲っている。 Sarahが午後3時に向けて着飾るシーン、ものすごく丁寧に描かれているはそういうことかしら。

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