8.22.2018

[film] Blessed Event (1932)

18日、土曜日のごご3時、Film Forumで見ました。
映画もあるけど、Film Forumがリノベされたと聞いて、どんなふうになったのか見てみたくて。

Film Forumって、3つのシアターで新作(Premiere)と旧作(Repertory)をかけている70年代からある上映館で、NYが舞台のRom-comにもたまに出てきたりする。わたしにクラシック映画(というより映画ぜんぶ)のおもしろさを教えてくれたのはここ(とアストリアのMuseum of the Moving Image)で、成瀬だって溝口だってここの特集で知ったの。

この作品は土曜日のこの1回きり上映で、ここの名物プログラマーのBruce Goldsteinさんの解説つきなので昔からの予感が働いて、前日、モントークからのバスのなかでチケット取っておいてよかった。Stand-byも含めてすごい行列(ほぼぜんぶお年寄り)ができていた。

pre-Code時代のコメディの傑作で、みんな大好き”His Girl Friday” (1940)の元になった”The Front Page” (1931)のオリジナルのブロードウェイ舞台版 (1927)で主役のHildy Johnsonを演じていたLee Tracyが実在したジャーナリストWalter Winchellを模したタブロイド紙のコラムニスト役をやってて、当時、この舞台でのLee Tracyっていうのは70年代のDeNiroやPacinoが当時の俳優に与えたのと同じくらいの影響をJames CagneyとかSpencer Tracyとかに与えた、それくらいすごかったんだから云々、というようなことをBruce Goldsteinさんは映画の登場人物さながらのスピードでばーっと喋って、とにかく映画がはじまる。

上司に怒られて秘書にあきれられてばかりのコラム書きのAlvin (Lee Tracy)はBlessed Event – 子供作り – についてのちょっとエロなコラムを書いて、クラブ歌手のDick Powell – これが映画デビューだって – と組んで面白半分に拡散したら新聞は売れたのだが、これをおもしろく思わないギャングがのしてきて、恋人家族会社ぜんぶ巻きこんだ大騒ぎになって、ていう程度の軽いお話しなのだが、これを機関銃みたいなトークの応酬と、アニメみたいにぴゅんぴゅんした動きと、とっても特徴のある顔だちの人たちのなかにぶちこんでて、とにかく速いこと速いこと。 日本の昔の映画にも回転数まちがったんじゃないか、みたいのがあったりするけどあんなかんじで、とにかく早口英語(だよねあれ?)に付いていくのに必死であんま笑えないの(周囲の老人たちは異様に爆笑していたけど)。

上映後の解説は当時の検閲がどのカットでどんなふうに働いたのかをその映像と共に具体的に追っていったのだが、検閲って、中央で一括ではなくて州や地方によって個別に施されていったらしく、ここはどこそこの州でカットされた、と字幕で出る。まず、なんでカットされたのか、どこがいけなかったのかちっともわかんないのと、カナダなんてカットされまくりでぜんぜんわからなくなっちゃったのではないか、とかいろいろ頭抱える。 お母さんが"I'll be damned"って言っただけなのにカットって、なんだそれ?

あと、Bruce氏は今回上映されたLibrary of Congressの35mmフィルムを今年の春に見てこれまで見たことがないシーン約7分 - おそらく検閲前の - が入っているのを見て仰天したのだと。これまで何十回も見てきたのに改めて目を疑った… って。 いや、何十回も見てきたほうに仰天したりする。

改装されたFilm Forum、外装内装はびっくりするくらい変わってなかった。 改装=お掃除? くらいの。トイレの匂いも並び方も売店で売っているお菓子も上映前の携帯を消そうね画面も。 椅子だけバルセロナから取り寄せたとか言っていて、確かにふっくら心地よくなっていたかも。 そういうのはいいよね、って。

あと、昔よく見かけた常連さん(向こうは知らないだろうけど)の顔もいくつかあって、なんか嬉しかった。
まだ生きていたのね、って。

同じような顔認識の台帳がBFIでもできあがりつつあるねえ。

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