2.02.2023

[film] Little Annie Rooney (1925)

1月21日、土曜日の晩、国立映画アーカイブのAFA特集で見ました。
邦題は『アンニー可愛や』(アニーじゃないの)。2014年にMary Pickfordが保持していたプリントから修復されたサイレントで、Andy Gladbachが新たに音楽(ややモダンな)を付けている。
“Little Annie Rooney”って1889年に作られた人気のミュージックホールソングだったそう(検索するといっぱいでてくる)。

監督はWilliam Beaudine、製作・主演・脚本(Catherine Hennessey名義)はMary Pickfordで、彼女が製作・主演した前2作 - ”Rosita” (1923)〜”Dorothy Vernon” (1924)の大人路線からファンのリクエストに応えるかたちで12歳の少女役に戻ってみたら同年の大ヒット作となってしまったというMary Pickford全開の一本。

これがまあ、元気いっぱいの子供映画かと思ったらずるずるに泣かせて引き摺り回してくれるのでびっくりよ。

長屋が並んで瓦礫が散らばるバワリーの下町(あれがセットだって信じられない)で子供ギャングたちが二勢力に分かれてわあわあ喧嘩をしていて、Annie Rooney (Mary Pickford)も参加して縦横に弾けまくってて、そんな雪合戦みたいにレンガを投げて当たったら死ぬぞ、とか思うのだがめちゃくちゃにやりあってて楽しそうで、それを通して彼女の父親(Walter James)はみんなに尊敬されている警官で、兄のTim (Gordon Griffith)は子供ギャング団のJoe Kelly (William Haines)のグループに入っていて、などが明らかになる。Joe Kelly団はダンスパーティ券を売ったり撒いたりしているのだが、Annieの父は堅気にならないとTimと遊ぶのも許さんぞって彼を優しくシメたりしている。

喧嘩で損害を被った果物屋への返済のために子供たちが街頭で西部劇をしたら馬が暴走してAnnie危うし、のところを救ってくれたJoeにAnnieがぽーっとなったり、パーティでの小競り合いが銃撃戦になってその流れ弾でAnnieのパパが亡くなったり - パパの誕生日なのでおうちでロウソクを灯して贈り物のネクタイを包んで楽しみに待っているAnnieに知らせが届いて倒れこんでしまうシーンの胸につまること - とか、今度はパパを撃った真犯人を追跡したところで重症を負ってしまうJoeをお願いだから助けて! って輸血を申し出るとこ(あたし死んじゃうのかしら…)とか、見どころ泣かせどころがどっさりで驚異的なのだった。

撮影当時32歳で154cmのMary Pickfordが12歳の小さな(すごく小さく見えない?)子供を演じていて、それがまったく不自然に見えなくて – こないだ見た”Rosita”はなに? とか - そんな「子供」にあんなふうな子供ど真ん中の演技で泣かされて、これじゃアンニ―こわいや、しかない。

Mary Pickford特集を見たくなるー。


Cock of the Air (1932) [uncensored version]

1月28日、土曜日の午後にAFA特集で見ました。邦題は『青空恋をのせて』。

製作はHoward Hughes、監督はTom Buckinghamによるプレコード時代の飛行機rom-comで、リリース前に検閲により削られてしまった箇所(約12分)を、2016年の修復の際に検閲前の状態に復元して、更に捨てられて残っていなかった音声部分については現代の声 - Hamish Linklaterなど - を別にあてた、って。上映時にはカット(修復)された箇所がわかるように画面の下にハサミのマークが表示される - 今の基準とか目線で見れば、ここを切るの? なんで? みたいなのが多い(それが検閲というもの)。

お話自体はほんとどーってことなくて、第一次大戦後のパリで、各国の高官が集まってクジを引いて言う人を決めて、その彼がその場に現れた舞台女優のLilli de Rousseau (Billie Dove - Howard Hughesの愛人だったって。なんてわかりやすい) に向かって、あなたとの逢瀬のために要職にある政府高官たちみんなが仕事をすっぽかして腑抜けになってしまうのが問題化しているのでイタリアに出て行ってほしい、って一方的に告げるの(正直だけど、ひでーな)。

こうしてヴェネツィアでお屋敷と後見人をあてがわれたLilliがふらふら遊んでいると(いいなー)、地元でドンファンとか言われている女たらしのアメリカ人中尉Roger Craig (Chester Morris)の噂を聞いて、近寄ってみればちょろく食らいついてきて、でもそう簡単にLilliは触らせてくれずにじらしまくってRogerがぶちきれて、みたいなやりとりが延々続いたところで、彼女からパリのリッツまで飛んでくれない? って頼まれたRogerは軍規違反上等、って勢いで飛行機で飛んで、そこで彼女はジャンヌ・ダルクの芝居にでて、着陸するなりとっ捕まったRogerとは…

冒頭のくじ引きの場面から、ヴェネツィアのカーニバルの描写から、ふたりのくっつきそうでくっつかないすれすれのすったもんだまで、カメラの動きの縦横-奥手前自在のおもしろいこと、艶っぽいLilli以上にくぎ付けになって楽しくて、ストーリーがシンプルな追っかけっこでよかったわ。

撮影はMaurice TourneurとかRené ClairとかJean RenoirとやっていたLucien Andriotだって。

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