2.26.2023

[film] The Black Windmill (1974)

2月19日、日曜日の昼、StrangerのDon Siegel特集で見ました。行きたいのにぜんぜん行けないー時間がないー。

原作はClive Egletonの小説”Seven Days to a Killing” (1973)、Don Siegelがヨーロッパで撮った最初の作品でスパイもの、主演がMichael Caine、こんなのふつうに見る。邦題は『ドラブル』。

冒頭、軍用基地の立入禁止エリアに入って模型飛行機を飛ばそうとしていた子供ふたりを注意した大人たちがそのまま子供らを車に押し込んで連れ去る。

MI6の諜報員John Tarrant (Michael Caine)はIRAに武器を売っているグループに潜入すべく、メンバーのCeil (Delphine Seyrig)の家で彼らと会った後に、会議中の諜報部に戻って大ボスのSir Edward Julyan (Joseph O'Conor)とすぐ上の上司のHarper (Donald Pleasence)に報告すると、そこに離婚した妻(Janet Suzman)から電話が入って、Johnの息子のDavidを誘拐した - 返してほしければ、最近おまえのとこが作戦の資金として調達した50万ポンド相当のダイヤモンドをよこせ、という。

「ドラブル - Drabble」と名乗る謎の犯人側(男)とやりとりを繰り返しながら、Harperはこんな直近のやばい内部情報を知っている奴とは? って局の内部にスパイがいる可能性についても疑念を抱いて調べ始めて、JohnはそんなことをしていたらDavidはどうなる? っていうのと、上の連中にそもそも取り引きするつもりがなさそうなことに気づいたので単独で行動をするようになり、その反対側でHarperはそんなJohnが怪しいと睨んで - Johnの部屋で寛ぐCeilのヌード写真が見つかったり(これ実は犯人側の仕込み)、彼の行動の監視も始める。

こうしてJohnは犯人側と直接交渉すべくHarperの命令と偽って貸金庫からダイヤモンドを引き出して、指定されたパリに向かうが、そこに息子はいなくて、渡したところで罠にはまってフランス警察経由でHarperに引き渡され、送還される途中で再びドラブル一味に襲われて、そのどさくさを切り抜けてなんとかイギリスに戻る - カレーからのホバークラフトなんてあったのね - あったまきたJohnはMI6内部に潜むモグラを炙り出すべく、ドラブルの名前で幹部に片っ端から電話をかけて、ブライトン近くの風車小屋 - ここにDavidがいると言われた - に来るように伝えるとー。

Johnのてきとーなフェイク声色でダイヤを引き出せたり、MI6幹部を呼び出せたり、いきなりCeilを殺しちゃったり、甘くておかしなところはいっぱいあるものの、007みたいな秘密兵器には頼らず(機銃仕込みのカバンくらい - でもそんなにヒットしない)、建物の上下に入りと出を多用した - アメリカだと原野の平屋とか納屋とかハイウェイになっちゃうところを狭い小路とか階段の昇り降りとかの細かな力技で通してしまった、しかも最後の決闘の場所が風車小屋 - なんで? 探すのも大変だろうし数が少ないからすぐ見つけることできるし - っておもしろすぎる。

とにかく敵でも味方でも、誰かがいたり待ったりしている目的の部屋にたどり着くまでの、路地の奥の先を抜けたところとか、オークション会場の裏側にあるオフィスとか、ぐるぐる階段ばっかりとか、ぜったいエレベーターを使わずに地下鉄の階段だろうが(地下鉄の階段なんてエレベーターが故障した時しか使わない、それくらいしんどくて無理)一気に駆け上がってしまう - そこからそのまま地下鉄に飛び乗ってあかんべーをするMichael Caineとか、建築物や乗り物のありようによってアクションを貫くテンションとスリルはこうも変わってくるものかー、とか。

今回の特集にはないけど、Don Siegelがこの2本後に撮った”Telefon” (1977)とか、小学生の頃に二本立てで見て、エスカレーターを使った追いかけっこがすごくおもしろかった記憶がある。必死に逃げる人はどんなことをしても逃げるんだなー、って。

あと、人間関係もあっさりしているのか複雑なのか、Johnと別れている妻(の最初の方のめそめそモードから、ある電話をきっかけに劇的に変わるとことか、Sir Edward Julyanの執拗かつ不気味にいやらしいかんじとか、部屋と同じように考えているところに奥まっていてなかなか到達しにくい。

欧州スパイものってこんなかんじ? というのを確かめつつ撮ってみた試論、のようなー。

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