5.01.2021

[log] Wales

もう4月も終わりで悪あがきを続ける時間もなくなってきたので少し焦ってじぶんでじぶんを追いこんでみようか、と金曜日(30日)にまた休んだ。そうすると翌月曜のBank Holiday祝日とあわせて4連休になるし。

どこに行くかはほぼ決めていて、まだ行ったことのなかったウェールズ。英国に来たとか言ってウェールズに足を踏み入れていないのはだめじゃん、とずっと思っていたので。

ただウェールズといっても行きたいところはいっぱいで、ほんとは北の方のスノードニアとか、『わが谷は緑なりき』のブレナヴォンとか行きたくてさんざん悩んで、あまり無理強行すると4連休しんでしまうかもしれないので、わかりやすくカーディフにした。ここならロンドンから直行の2時間くらいで行けるし。

でもここだけだとつまんないので、少し北にあるお城と少し西のスウォンジーを足してみる。スウォンジーにはDylan Thomasの生家があるし、その先をぐるっとまわってみると灯台もあるし、程度のノリで。

お天気は数日前からずっと雨マークが70-80%くらいだったのだがそんな程度のことで揺らいでいる余裕なんてないはずだ、って突っぱねて決行する。

電車はパディントン駅を7:48にでてカーディフ中央駅に9:38に着くやつで、朝のうちはほぼ快晴だった。毎週電車で遠出していると緑がはっきり濃くなってきているのがわかって頼もしいったら。

カーディフに着くと駅の表示からアナウンスからぜんぶ二か国語になって外国みたいで楽しい。まずはメインの通りを抜けた突き当たりに見えるカーディフ城に行く。城のなかには入れないがお濠の周りとか敷地をうろつくことはできる。ウェールズにはお城がどかどかいっぱいあって、戦うためにみんなお城をつくったのかお城を作るために戦ったのかしらんが、大変だよねえ、って思った(←この程度の)。いまはどれもかっこよく朽ちて寂れてよいかんじだけど当時はいちいち憎悪と称賛が渦をまいてこれらの石のあいだで人がいっぱい死んでたのね、とか。

カーディフの街中の建物はどれも素敵に古くて、昔のアーケードも沢山残っていて、そこに世界最古のレコ屋があるというので行ってみる。看板には"EST. 1895" ってある。ほんとかしら。外観はふつうのレコ屋で、営業時間は11:00-16:00だというので中には入れない。でもこれで世界最古の本屋(@リスボン)と世界最古のレコ屋を見ることができた。それがどうした、だけど。

お城をもうひとつ、カーディフから電車で30分くらいのところにあるカエルフィリー城にも足をのばす。名前にカエルってあったから、程度だったのだが、お濠がでっかくて廃墟としての腐り具合も申しぶんなくて痺れた。竜とか巨人とかが出るならこういうスケールのところだよねえ、とか。

お城に向かう途中で雨がらばさばさ来たのだがお城に着いたら魔法のように晴れたり。

で、ふたたびカーディフの中央駅に戻って、電車で1時間くらい西にあるスウォンジーに向かう。Dylan Thomasと灯台(がある)以外は予習もなんもしてなくて、でもとりあえず駅でバスに乗り換えてDylanちにむかう。結構きつい坂の上にあるほーんとふつーの住宅の並びにあるふつーの家だった。中には入れない。で、次に行くかって振り返ったら坂の上から遠くに海が広がっててうわーってなった。サンフランシスコの坂の上からのよりなんかでっかくて感動したかも。

そこから灯台の方に向かうべく坂を延々くだってバスが走っている通りまで出たのだが、バスが来るまで30分くらいあったので浜辺の方に歩いていってみた。潮が引いているのか砂浜の向こうに干潟のような湿地帯のようなのがざーんと広がっていてかっこいい。干潟って海が近いのだか遠いのだかわからない錯覚のようなのを引き起こして、それを確かめるべく先の方に行きたくなってうずうずしてしょうがないのだが、バスの時間になってしまうので突撃は諦める。

バスは湾をぐるっと回って岬の先の方まで連れていってくれるのだが、バスの窓から広がる浜とか干潟のかんじがすごくよくて今度ここにきたらぜったい半日ここで過ごそうと思った。干されているのか湿っているのか人を寄せつけない(実際ぜんぜんいない)陸と海の境い目の攻防とそれが織りなすだんだら模様と。

灯台が見えるところでバスを降りてみると人はほぼいなくて、海の方に降りていって大きめの丸石がごろごろしているところを抜けると半乾物の海藻がべったりしているところと波をうった砂の浅瀬とごりごりの岩場が折り重なるように広がっていて、その合間にヒトデがいっぱいくねっていて、とってもこの世の果てのかんじがした。先週のGodrevyの岩場の(風ぼうぼうだったにしても)人懐こいかんじからはほど遠く人を凍りつかせてそのまま死滅させる。

雨がひどくなってきたのと帰りの電車(に間に合うバスがつかまるか)が心配だったので引き返すことにしたがウェールズの海おそるべし、って思った。 Dylan Thomasがこんな海を見て育ったのだとしたら、海のように歌った彼の「海」がこれなのだとしたら.. とか。

カーディフに戻って、ロンドンへの便までの20分くらいでアーケードの奥にあったお土産もの屋で羊のぬいぐるみかなんかを買おうと思って走っていったのにもう閉まっていたので悲しかった。

帰りの電車も2時間なので少しうとうとした程度。ディスタンシングでよいのは横に人が座らないことよね。 この日、歩いた距離はたったの8.9マイルで階段も30フロア分だって。 ものたりないんじゃないのか?

ぜったいまた来る。戻る。言うのはいくらでも言って、繰り返しておくとそのうち。

パディントンに降りたったら、あいつがいたの。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。