4.17.2021

[film] Palm Springs (2020)

4月11日、日曜日の晩、Amazon Primeで見ました。こちらでもようやく公開された。

タイムループもの+Rom-com、と聞いていて、でもRom-comっていうのはそもそも荒唐無稽なものだから、それもまたありよね、くらいで見て、これってRom-comっていうよりはスクリューボール・コメディの方かも、とか。 以下、ネタバレとは言えないと思うけど、自分で考えて楽しみたいひとは読まないほうがよいかも。

11月のPalm Springsのホテルのベッドで目覚めたNyles (Andy Samberg)は、傍にいた恋人のMisty (Meredith Hagner)と気のぬけたセックスをして、このためにやってきた友人のTalaとAbeの結婚式に参加して、突然スピーチを振られてどうしようってなったTalaの妹Sarah (Cristin Milioti)を救ってあげて、そこからふたりは仲良くなって、砂漠の外れのようなところでセックスしようとしたら突然Nylesの背中に矢が刺さって、あうう.. ってよろよろ洞窟の方に向かうNylesを追っていったSarahは..

Nylesはその日にどんな酷い目にあっても死んだり殺されたりしても必ず結婚式の朝に同じホテルの部屋で目覚めるというタイムループに嵌っていて、それをもう嫌になるくらい繰り返して、抜け出すためにあらゆることを試みて自殺しようがなにしようが結局元に戻ってしまうので、ぜんぶ諦めててきとーに過ごしている(だから結婚式にもアロハシャツ姿で出る)。洞窟までついてきたSarahもその状態になった - Nylesを殺そうとした男 - Mike (JK Simmons)もそれに嵌っている同類だ、って説明されたSarahはそんなの冗談じゃない、って抜け出すためにいろんなことを試そうとして、Nylesもそれに付きあっていくのだが、彼はなにをやっても無駄であることを知っている。

過去のタイムループものというと"Groundhog Day" (1993)とか"Edge of Tomorrow" (2014)とかが浮かんで、これらの原因は自分の心にあったりなんかの装置だったりいろいろで、今回のは(たぶん)ループする世界とループしない我々がいる世界は別の次元にあって、一方は死に向かって流れていく世界で、もう一方は一日単位のループを延々繰り返していく世界である、と。

この日のお昼にNetflixの短編”Two Distant Strangers” (2020)- これもタイムループもの – を見てて思ったのは、タイムループものの主人公ってなんでみんな揃って絶望しているんだろう、って。毎日同じようなことを繰り返して同じような結果と後味と共に目覚めるのってそんなにきついのか? 今のコロナのロックダウンのどこにも行けないのなんて、ほぼ同じじゃないか? って。線で流れていく時間の最後にある死と、円になって廻って終わりのない時間のどっちの絶望のが深いのか、とか。

ループする世界では痛みはリアルに来るけど記憶はリセットされない。つまり記憶や知識はずっと生きて残っていくのであれば、いっぱい勉強できるし、いくらでも映画みたり本読んだりできるし、いっぱい本買ったって積みあがらなくて翌日には片付いている(.. さみしいか)し、悪くないのではないか。実際にSarahはそういう繰り返しを使って突破口を見つけたのだし。

だからNylesがプールでぷかぷか毎日やってるのも別にいいじゃん、しかない。地球が終わったらさすがにこれも終わるんじゃないか、とか。 Mikeとか式場にいたおばちゃんみたいにこの状態のなかに幸せを見いだしてゆったりと生息している人も割といそうだし、それでいいと思うし。(だめ?)

この状態から抜け出すのに愚直に努力を続けて諦めない、っていうのも大事な要素としてあって、それって愛のテーマに繋がりやすいなにか、なのかもしれない。タイムループものではなくて、記憶のリセットものだけど“50 First Dates” (2004)はだからこそ感動的なのだし、でもここはなにかをかけ間違えたらとっても臭くなりがち。というあたりを押さえたNylesの振る舞いと、反対側でひとりで猛然と量子科学の勉強をはじめたSarahの対比がよくて、でもここからふたりのラブストーリーにジャンプするのってループを抜けるのと同じくらい難しくはないだろうか。

でもそんなのだって可能だと思わせてしてしまう程度にてきとーでいい加減なあんちゃんを演じたAndy Sambergの勝ちでよいのかも。 彼だから - 昔だったらAdam SandlerとかPaul Ruddあたりなら - できた曲芸だったのかも。Cristin Miliotiさんもがんばって彼を引っ張りまわしてよいのだが、理想をいうと”His Girl Friday” (1940)のRosalind Russellみたいに機関銃みたいに喋りまくるひとだったらもっと。

続編はふたつの世界の間に穴を開けて悪いことを企む悪の組織が現れて、そことの抗争にふたりが巻き込まれて大変なことになるの。JK Simmonsがレジスタンスのリーダーとなって戦うの。もうコメディじゃないの。

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