4.07.2021

[film] The Fountain (2006)

3月30日、火曜日の晩、MUBIで見ました。なんとなく。

当初Brad PittとCate Blanchettを主演に据えて$70 mil.で開始されたプロジェクトが頓挫して予算が半分になって主演ふたりも入れ替えて制作されたDarren Aronofsky監督作品。公開後の評価も賛否ばらばらで、歴史的な失敗作と位置付けられていることは知っている。(でもMUBIの”Perfect Failure”フラグは付いていなかった)

わたしは彼のその前の“Pi” (1998)も”Requiem for a Dream” (2000)も見ていなくて(なんか90年代ふうの怖さだったし)、この後の”The Wrestler” (2008) – “Black Swan” (2010) – “Noah” (2014) – “Mother!” (2017) は見てて、やっぱりどこかしら怖いと思っているのだが、とにかく見てみる。 邦題は『ファウンテン 永遠につづく愛』。(ファウンテンなら永遠に溢れる愛、だよね..)

コンキスタドールのTomás Verde (Hugh Jackman)が国を失ったQueen Isabella (Rachel Weisz)からの命を受けて「生命の樹」を探すべくマヤのピラミッドに突撃していく話と、現代の外科医のTom Creo (Hugh Jackman)が脳腫瘍で失いつつある妻のIzzi (Rachel Weisz)のためにグアテマラで見つけてきた木の抽出物を使って猿の実験をしていく話と、宇宙船に乗ってバイオドームで樹を育てているTommy (Hugh Jackman)が超新星に突っこんでいく話と、3つの全然違う時間軸空間軸のお話し(であることがわかるのはHugh Jackmanの髪が長髪~ふつう~つるはげとそれぞれ違うから)が無造作に(←そう見える)切り替わっていくのではじめのうちはなんだかわけがわからない。

やがて最初のコンキスタドールの話は、Izziが亡くなる直前まで書いていた本 – “The Fountain”のストーリーだということがわかって、現代のTomとIzziの話は現代のそれとしか言いようがなくて、でもIzziはTomに最後の章はあなたが書いてほしい、と言い遺して亡くなってしまって、それを受けたTomが書き継いだのが宇宙船のはげTomのお話しなのではないか、と(がんばって宇宙飛行士になった説もあるけど)。

つまりTomはIzziの書いたお話をわたしに永遠の命を授けてほしい/それを見つけてきて、というメッセージとして受けとめて、現代の科学の前線でそれに応えられなかったTomは、宇宙船に乗ってIzziと一緒に見あげた星空の超新星にそれを求めてたったひとり旅立つ、そういう物語で返したのだ、というファンタスティックなお話で、でも最後にはまだひょっとしたら.. というのも残されているような。

愛する人の死を受けいれることの難しさ、それを受けいれられないのは生と死の世界が隔たって行き来できないからで、それがひとつになっていれば、とか、そもそも死ななきゃいいんだからって不死の薬の研究をしたりとか、宗教にしても医学にしてもすべての知恵の泉は太古からそこに根差しているのだし宇宙の果てにはその解がきっとあるのだ文句あるか? って言われたら勿論もんくない。がんばってね、しかない。

「生命の樹」を求めて、っていうのもあるけど、宇宙人におねがい、っていう”Cocoon” (1985)みたいのもある。わたしはこっちの方がすき。すききらいだから気にしないで。

雪が降ったよ!一緒に見ようよ! って無邪気に誘いにきたIzziを忙しいって断ってしまったことを延々後悔していたり、研究室で指輪を無くしてパニックしたり、TomがどんなにかIzziを愛していたのか彼女の死を世界の終わりのように嘆き悲しんでいるのかはようくわかるのだが、あそこまでいくとラブストーリーというよりは妄執の域にあるマッドサイエンティストの挙動で、そうやって3層重ねてそのチャネルを切り替え操作しているのは一体だれ? とか、そこに$70 mil.つかうか? とかは少しだけ思った。97分だからまだよいのかも。

Darren Aronofskyの場合、そういう思いの強さが自身の肉体を傷つけたり変容させてしまう、というのもある気がして、ここだとペンで指に指輪の跡を刻んだりする。痛みの強さや傷の深さ=思いの強さ=しっぺ返しもあるよ、みたいなのって体育会みたいでなんかいやだ。苦しむのは好きにすれば、だけど傷をびろびろ見せによってこないで。

あとは、こういうのを強く思ってそこに一生を捧げるようなのって、最近のTerrence Malickにもそういうとこあるけど、男性のが得意だよね。女性の方は逆光でこちらを振り返ったり物憂げに見つめてきたりするの。男性はそれでなんか燃えてしまうらしい。一生捧げられていいよね、とか、勝手に燃えて灰になってろ、とか。


あまりにつまんないのでM1のMacBookを買って、でも届いてしまうと面倒になって箱のまま置いておいたのをようやく開けてインストールした。移行に1週間くらいかけるつもりでいたのにあっという間に終わってしまって(ほんと便利になったのね)、これはこれでつまんないったらー。

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