1.03.2021

[film] Mogul Mowgli (2020)

2020年の12月の後半に見て、まだ書いていないのがごっちゃり溜まっていて、これらを今のペースで書いていくといつまで経っても終わらないしどんどん忘れていってしまうので、とにかく新作を中心に書けるやつから書いていこう。

12月20日、日曜日の晩にBFI Playerで見ました。

監督は、これが長編デビューとなるBassam Tariqで、主演、制作、共同脚本にRiz Ahmedさんがいて、昨年のLFFで上映されたときにも話題になった英国映画。いまもストリーミングでいろんなとこでかかっている。

パキスタン系英国人ラッパーのZed (Riz Ahmed)はちょうどNYでブレークしたばかりで、これから米国ツアーだ!ってぶいぶい意気込んでいるところで、でもちょっと冷めてきた気がするガールフレンドからツアーの長旅に出る前にもう2年も帰っていない故郷に戻ってみたら? と言われたので実家のある英国ウェンブリーに帰ることにする。

地元のラップ仲間の間では伝説扱いされて得意になる反対側で、父母の反応はアメリカに行く前とほとんど変わらない頑固なそれで、あーあ、と思っていると体の一部に力が入らなくなっていることに気づく。病院に行くと進行性の自己免疫疾患と診断されて、すぐに入院して治療を受けないと大変なことに..  と言われる。 

いや、これから自分の全キャリアを賭けたツアーが始まるのでそれはだめだ、というのだが、ガールフレンドを含むプロモーター側は割と冷淡に冷静に受け止めていて、代役として彼の格下のRPG (フライドチキンのラップとかやっているバカ)を立てるというし、父親からはそんな悪魔みたいな音楽をやっている天罰じゃ、みたいなお決まりの反応しか返ってこない。

映画は難病をきっかけに自分の過去、家族にコミュニティ、パキスタン系移民の家族である自身のアイデンティティ、自分の音楽、これからの治療、ガールフレンドのこと、などなどを見つめ直して、見つめ直せば直すほどそれらが強迫観念のように束になって襲いかかってきて彼を根っこから潰そうとして、それに対する彼のたったひとりの葛藤や戦いを描く。 その切迫感を表すのに回想のなかで絞り出される彼のラップの迫力ときたら凄まじい。 でもあえて言うとその切迫感の向かう先が多種多様すぎて、結局どこに行きたい(どう生きたい)のかがもう少し出ていたら。

“Sound of Metal” (2019)では進行性の難聴に襲われてキャリアを絶たれてしまうドラマーを演じたRiz Ahmedが、ここでも難病によってその道を閉ざされるラッパーを演じていて、でも彼が失う感覚やその場所、その喪失が彼を向かわせたり振り返させたりする対象は少し異なる(当然)。どちらにしても彼のなりふり構わぬ焦燥と絶望の身振りがドラマにもたらすリアリティはすごくて、ただ英国でラッパーとしてもキャリアを積んでいる彼なので、地に足のついたハマりようはこっちの方が上かもしれない。

こないだ見た”Asia” (2020)でも難病に掛かって動けなくなった娘と母のドラマがあって、あまり好きなジャンルではないものの、動けなくなったときに傍にいる人も含めて描くこういうのって、結局自分の生と死を看取ってくれる人は誰なのか、そういう人っている? ていうあたりを問いているのかしら。特にいま、隔離されたらそれきり、になってしまう可能性がいっぱいあったりするのであればなおのことー。


こちらは1日を過ぎたら通常営業なので、今日はもうふつうの土日と同じで、あさってからは仕事かー、って泣いてる。 休めたかどうかなんて気にしてもしょうがなくて、こういうぼんやりした状態のままクリスマスと年末を過ごしました、っていうことをずっと記憶にとどめておくこと。

年明けのことを少し書くと、BBCのどんぱちの中継を見て、その後はカウントダウン前からやっていたAlicia Keysのライブに切り替わって、”Empire State of Mind”をやってくれたのでNew Yorkのことを思ってじーん、て。

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