12.25.2020

[film] Wonder Woman 1984 (2020)

20日、日曜日の午後、CurzonのOxford(映画館)で見ました。

前にも書いたがロンドンはこの映画の公開予定日だった16日からTier 3に入って映画館も美術館もクローズしてしまった。BFI IMAXの初日の前売りを取って楽しみにしていたのにひどい.. って放心していたのだが、映画の宣伝そのものは頻繁に流れてくる。なんでかというとTier 2のエリアでは映画館をやっているからなのだった。

というわけで、バスに乗ってOxfordに行った(約90分)。ずっとマスクしてたしバスはガラガラだったから許して。
映画館はショッピングモールの中にあって、Tier 2ぽく適度に賑わっていた。スクリーンは十分でっかい。

さてWW84 - 予告の段階でちゃらい恰好したSteveのちっとも笑えないジョークを見ただけでああこれはダメかもって思ったし実際レビューもあんまよくないみたいなのだが、80年代にこんなのいっぱい見てきたからへっちゃらだわ。

冒頭、Dianaが子供の頃に参加した競技会で大人の女性たちと競って一等になれなくて腐って膨れている彼女に、いつかその時がくるわよ、って年長の女性が言うの。

一番新しい時代のDianaは今のところ”Justice League” (2017)で、その次に出てきたやつは第一次大戦の頃の“Wonder Woman” (2017) - これはまじで傑作だと思う - に遡って、そこから70年くらい経った1984年の彼女はこんなふうでした、と。 彼女のような年齢関係ないヒーローについて成長の軌跡のようなものを見せるのってどうなのか、というのと、そうはいっても70年経っても彼女はひとりで(まったく歳をとらずに)、ひとりの男をずっと想い続けていたのです(演歌)、っていうのと。でもその男はどうみても飛行機を操縦できる以外にすごいところがあるとは思えないのだが… などなどを重ねていくと全体がとってもWonderなところにほわんて浮かんでいるお話しのようでー。

ショッピングモールでの捕物活劇を見せた後、スミソニアンでキュレーターをしているDiana Prince (Gal Gadot)のところに研究者のBarbara Minerva (Kristen Wiig)が赴任してきて、独りもの同士のふたりは仲良くなって、研究室に来ていた不思議な石を見つめて、やがてそこにTVで石油富豪として成りあがっている(でもその裏では破綻してぼろぼろの)Maxwell Lord (Pedro Pascal)が現れてBarbaraをたぶらかしてその石を持ってこさせる。

その石こそ、古代から伝わる願いを叶えてくれる魔法の石だったのです、と。こうしてDianaのところには70年間ずっと会いたくてたまらなかったSteve (Chris Pine)がそのままの姿で現れて、Dianaみたいになりたいと願ったBarbaraはMaxwell Lordの悪いヴァイブを受けてCheetahっていう凶悪スーパー猫女に変身して、Maxwell Lordは邪悪な伝道師よろしく人々の願望をなんでも引き受けて、ひとつの石を巡って3人と世界がぐしゃぐしゃに混乱していくの。

願いを叶えてくれるなにか、として魔法のように現れたそれが周囲に大混乱を巻きおこして、そんな簡単に巧くいくことなんてないのよ反省しな、ていうB級教訓コメディはこの頃未熟なガキを主人公として”Weird Science” (1985)とかいっぱい作られていて、それを現代の技術と画素数で151分の長さで作ってしまったという。べつにいいじゃん、ていうか、それはちょっと、っていうか。

なんかChristopher Reeveの“Superman” (1978)の牧歌的なスケール感とか、Tim Burtonの”Batman”に出てきたような悪役の情けない哀しさとかもあるし。でもそういう文脈をとっぱらって見た時に今の我々にはどう見えてしまうのか。Kristen Wiigのオハコである真面目でドジなガリ勉女性が騙されてだんだん壊れていく様って、80年代には割とふつうにありえた様式だったかもだけど、今見ると典型的な「騙された方がわるい」の方に都合よく仕分けされてしまいやしないだろうか?

Maxwell Lordも、レーガンの時代のアメリカに(そして日本にも)いくらでもいた自分が欲しいものを手に入れて何が悪い? の居直り成金を煮詰めたようなやつで、その果てが腐れた醜態を晒しまくるトランプ(あと26日..)だったとしても、ああいうのがふつうにビジネスやっていた時代があったんだよ、いまもあんなのの成れの果てだらけなんだよ、っていうとこを押さえておかないとさー。

こんなようなところでぶつぶつ言っていても最後のところでああー、って。クリスマス映画だったんだわ、って。クリスマス映画なら許されていいのか、って言うやつには、許されるんだよ、クリスマスなんだから、って返すんだ。 なので、この映画は支持する。彼女が空を飛べるようになるところなんて素敵だし。

でも最後、結局Dianaはふられちゃった、ってことよね…

すごく期待した音楽はそんなでもなかった。予告で流れた”Blue Monday”も来なかったし、Frankie Goes to HollywoodとかGary Numanとかじゃなあ…  Hans Zimmerがうるさく仕切ってしまったのかしら。このテーマで1984年だったら、いくらでも流す曲あるんじゃないか。

これから映画館で見たくなったらOxfordに行こう! って思ったのだが、OxfordもTier 3になってしまった模様..  
とにかく腐ってないでみんなでこの状態を一刻も早く収束させないとね。


本日で今年の仕事はぜんぶ終わった。 ここから年明けまで、この状態でどうやって過ごすべきか。
読書、映画、お散歩、お片づけ..

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