12.13.2020

[film] Dance, Girl, Dance (1940)

5日、土曜日の昼、BFI Southbank(映画館)で見ました。これは定期的にやっているClassicの枠から。

女性監督Dorothy Arznerによるバックステージもの。邦題は『恋に踊る』で劇場公開はされていないみたい?
編集にはこの作品の後に”Citizen Kane” (1941)を編集することになるまだ20代のRobert Wiseの名前がある。

オハイオのキャバレーのようなところで踊っていたBubbles (Lucille Ball)とJudy (Maureen O'Hara)は警察の摘発を受けたりしてて、やがて目立ちたがりでキラキラ系のBubblesと踊るのが大好きで真剣にバレエをやりたいと思っているJudyは一緒にNYに出てきて、Bubblesはバーレスクで成功して、バレエの先生について真面目に精進するJudyは推薦されてバレエ団のSteve Adams (Ralph Bellamy)のところに行く(その手前で先生は事故で..)ものの、そこのレベルの高さにびびって面接前に出てきてしまう。

Bailey Brothersのバーレスクショーで"Tiger Lily”の名で女王のようになっていた Bubblesは自分のステージにJudyを呼んで、それはお色気たっぷりのBubblesの踊りの後にクラシックバレーの恰好のJudyが出てきて古典的なのを舞って客席からブーを浴びる(客席は中年男ばかり)、っていうわかりやい演出のやつで、これが評判を呼んでオハイオで知り合った金持ちで妻もちのJimmy (Louis Hayward)とかJudyとはオフィスですれ違っていたSteveを巻きこんだぐるぐるの追っかけっこになる。そういうの重なっていいかげんぶちきれたJudyがステージ上から客達に向かってあんた達そんなふうに女性の体を見てよろこんで家に帰れば奥さんも娘とかもいるだろうに、ほんとにずっとそんなんでいいわけ? 恥ずかしくないの? って説教(まったくその通りでぜんぜん古くない)して、あたしのショーでなに勝手なことやってるんだ、って怒り狂ったBubbleと取っ組み合いの喧嘩になって夜間裁判所に引ったてられて..

ダンス一直線で自分の道を歩みたいJudyと、男に媚びて儲かるのならそれはそれで儲けもんて考えているBubblesと、妻との愛を見失って経済的に優位に立てそうな踊り子の方に寄っていくJimmyと、ダンスを職業として真剣に考えているSteveと、これら典型的な男女像をうまく四隅に配置して殴り合ったりの引っ張りあったりのがあって、それでも最後には娘たちよ、踊りなさい! あなたたちは美しいのだから!って言うの。

10月にCriterion ChannelのJoan Crawford特集で見た“Our Dancing Daughters” (1928)にしても”Dancing Lady” (1933)にしても、5月にここのFrances Marion特集で見た”Blondie of the Follies” (1932)なんかも、踊りを通してバックステージで張り合いつつのし上がる女性ふたりとか、彼女(たち)の踊りを見たお金持ちが囲いに寄ってきて、そこに愛欲の嵐が巻き起こって、というドラマは結構あったりするようなのだが、この映画はバレエそのものや踊り子を見世物とかはけ口のように扱いがちな社会や男たちに対するNo! としてはっきりと何かを言わんとしていて、素敵ったらない。 この時代の映画における黒人の描かれ方と同じように(当時の世界的な傾向なのだろうけど)女性の描き方についても、あるよね。

フェミニズムぽいことを直球で語るJudyと、その足を引っ張ろうとする女性のBubbles、ていう構図って今もある気がするのだが、Maureen O'HaraとLucille Ballのふたりの対照が見事で、どっちもそこに立っていた女性たち。 でもMaureen O'Haraさんにあんなこと言われたらもう黙るしかない。

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