12.28.2020

[film] Saint Frances (2019)

15日、火曜日の晩、BFI Playerで見ました。
最初のロックダウン開けの頃に映画館でやってて、その時に見逃して見なきゃと思いつつ見れていなかったやつ。
2019年のSWSXでAudience Awardなどを獲って、各地のマイナーな映画祭でもちょこちょこいろんな賞を貰っている。

主演のKelly O’Sullivan(女性)がオリジナル脚本も書いていて、監督はこれが長編デビューとなるAlex Thompson(男性)。このテーマと内容で男性が監督してるんだー? と思ったが、このふたりは実生活のパートナーだそうで、そういうところも含めてどこかでなにかがうまくバランスしているような。

34歳のBridget (Kelly O’Sullivan)はこの歳になってもバーでウェイトレスをしていることに自嘲的でうんざりしていて、そこで出会った年下のJace (Max Lipchitz)とも簡単に寝ちゃって、起きたら生理でシーツが血まみれでもまあいいか、とか。

そのうち裕福なレズビアンのカップル - Maya (Charin Alvarez) とAnnie (Lily Mojekwu)のとこの6歳の娘 - Frances (Ramona Edith Williams)のベビーシッターのバイトをすることになり、子供は苦手なのでびくびくしながら - でも半ばやけくそなので適当に - 応対すると気難しそうなFrancesには気に入ってもらえたようで、MayaとAnnieのところには新しい赤子も来るので、夏の間だけベビーシッターをしてくれないか、と頼まれる。いや、だから子供は苦手で.. なのだが自分の生活もあるので引き受けて、そうしているうちに自分がJaceの子を妊娠していることに気づいてー。

Jaceはいい人だけどずっと続くとは思えないし、自分の生活はこれからもずっと安定することはなさそうだし、Francesに接していてもちゃんと子供を育てていけそうな自分ではないし、いろいろ考えて中絶することにして、その結果Jaceとはなんとなく疎遠になるし、ギター教室の中年の講師に惹かれて寝ちゃったり、中絶したらそのせいか頻繁に出血してソファを汚してしまったりするようになるし、それと並行して描かれるMayaとAnnieの関係の揺らぎとか、ちょこちょこ騒動を起こしてくれるFrancesのこととかいろいろ。

どん詰まりのお先真っ暗、というほどではなく、でも日々のほぼ全てが - 身体も含めて - 不安定でバランスを欠いて明日にはどうなるかわからない、というのがこのドラマの中心にいる女性たちの実情で、泣いたり怒ったり怒られたりもするのだが、それらの反対側にいるのがちょっとおしゃまで元気いっぱいのFrancesで、結果的に彼女がこのサークルの天辺にいてすべてをお見通しのように見える - なので「聖フランシス」なの。

女性たちが彼女たち自身で自分たちの問題 - 特に中絶 - に片をつけようとするドラマ - 今年だと”Never Rarely Sometimes Always” (2020)とか”Portrait of a Lady on Fire” (2019) - があった(どれもすばらしかった)が、これもそのひとつに挙げられるかもしれない、けど、ここのはそんなにシリアスなトーンのにはなっていない。 Francesの子育てやMayaやAnnieとの交流を通して家族の大切さに気づいたり目覚めたり中絶を後悔したりとか、そんな陳腐なものにもなっていない。なるようになるかー、でやっていけばいいさ、って。  最後の方、Bridgetが教会の告解室に入ってFrancesに相対するシーンとかすごくよいの。

たんなる名前繋がりでいうと、”Frances Ha” (2012)のFrances27歳が、そのまま34歳になると、ここのBridgetになっているのかも(あの映画から7年経っているし)。

Mayaが着ているRoberto BolañoのTシャツほしいかも。

いまの日本の女性が置かれたあれこれからすると設定からしてありえないようなことばかりのように見えてしまうかもしれないが、これくらいでなんとかなるような世界とかやりようもあるのだって、そういのすらすぐ「応援歌」とかになりがち/されがちな地獄もあるけど、そんな臭みとかもないの。ま、日本公開はないだろうな。


ものすごくつまんない冬休みの只中にいる。昼間に映画みて昼寝して起きて散歩して夕方に映画みて夕寝して夜に映画みて夜寝して、結果的に四六時中ずうっと半端に眠い。このまま行ったらどうなるかみたろ。

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