6.17.2020

[film] The Wedding Night (1935)

3日、水曜日の晩、Criterion Channelで見ました。監督King Vidor – 主演Gary Cooperなので、rom-comのクラシックかなあ、くらいに思った。ら、最後にその梯子外されたけど。邦題は『結婚の夜』。

NYに暮らす作家のTony (Gary Cooper)はデビュー作の後でスランプが続いていて、新作のゲラを見せて編集者に前借りをお願いしてもこのクオリティじゃだめ、とか言われてしまったので、妻のDora (Helen Vinson)は田舎に籠って執筆しなさい、ってコネティカットの農村にあった家に引っ越すことにする。

そこにはタバコ農家をやっているポーランド移民のコミュニティがあって、暮らし始めると隣家のJan (Sig Ruman)と娘のManya (Anna Sten)が来て、この家を$5,000で売らないか、っていう。寒いしこんな田舎は面倒なので売るわ!ってDoraは手続きのためにNYに戻り、ぼろい家にはTonyと執事 – 日本人の俳優、日本語でぶつぶつ言うの – が残され、執事があれこれ耐えられなくなって出て行ってしまった後にManyaがやってきていろいろ世話をやいてくれて、ふたりはだんんだん仲良くなって、Tonyは新作への意欲も湧いて原稿に取り組み始めて。

でもManyaには父親が決めた村のぼんくら婚約者がいて、MayaとTonyの仲良さそうな様子を見た父親は来週の月曜日に結婚式やるぞ、って勝手に決めちゃうの。結婚式でMayaと女性たちは悲しそうで、宴の晩に新郎たち男どもははしゃいで騒いで酔っ払って、ますますやなかんじになって、見ていられなくなったTonyはMayaを自分の家に連れていくのだが..

少し疲れたふうのGary Cooperと純朴Anna Stenのふたりがとてもほっこりよいかんじ vs. 父&婚約者男がすごーくやなかんじなので、最後にGary Cooperが蹴散らしてくれるとかと思ったんだけどな..

父親役のSig Rumanはルビッチの『生きるべきか死ぬべきか』(1942)で「シュルツ!」って怒鳴る間抜けなナチスの将校をやってた人ね。いま公開されたらポーランド人団体から描き方について抗議が入ってしまうかも。でもプルーンスープ飲みたいな。


Olivia (1951)

8日、月曜日の晩にCriterion Channelで見ました。なんとなく。

Colette - Vincente Minnelli - Leslie Caronによる”Gigi” (1958) – 大好き - のひとつ前の”Gigi” (1949)を撮ったJacqueline Audryの監督作品。原作は英国のDorothy Bussy - Lytton Stracheyの姉でAndré Gideを英国に紹介したひと - の半自伝的小説(未読)で、Leonard & Virginia WoolfのHogarth Pressから出版されている、つまりBloomsbury groupので、だからこそ可能だったかもしれないレスビアン小説の古典。

英国人のOlivia (Marie-Claire Olivia)がフランスのFinishing Schoolにやってきて、女学生たちと過ごすうちに校長先生のMademoiselle Julie (Edwige Feuillère)が好きでたまらなくなって、でも彼女に憧れる女子は沢山いたので嫉妬と羨望の嵐が渦巻いて事件も起こって、結局Oliviaは..

原作の小説と比べるとレズビアンの要素は薄められているそうだが、それはそれとしてFinishing Schoolの様子 – ラシーヌの朗読とかパリに遠足とか – そのディテールひとつひとつが丁寧に丹念に重ねられていて、そういう中で描かれる恋愛にはいかがわしさもqueerみもまったくなくて、きれいな絵画にうっとりしているうちに終わってしまう。それでぜんぜんよいの。


湿気がひどかったし - 関係ないか - ピカデリーのHatchards(本屋)が開いたというのでバスで行ってみた。ここには新刊だけじゃなくて古本もあるの。 ああ本屋だわってしみじみして、空気をいっぱい吸って、それだけで出てきてしまった。辛くなったらここに来ればいいんだわ、って。 よかったよかった。

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