6.21.2020

[film] Tigermilch (2017)

14日、日曜日の晩、MUBIで見ました。
2013年に出版されたドイツの小説家Stefanie de Velascoさんの同名のデビュー小説(未読)を映画化したもの。英語題は”Tiger Milk” - Belle and Sebastianのデビュー作”Tigermilk” (1996)とは違うの -  で、かつて書店に積まれているのはよく見かけた。

ベルリンに暮らす14歳のNini (Flora Li Thiemann)とJameelah (Emily Kusche)は親友で万引きをするのもなにをするのもずっと一緒で、Tiger Milkっていうのはパッションフルーツジュースに学校の牛乳とブランデーを混ぜたドリンクで、ふたりはこれを景気づけにぐいーって飲んで妄想まみれの元気いっぱいで街に駆けだしていくの。

ちょうど夏休みの前で、ふたりはヴァージンを捨てようぜ、って互いに誓ってカモを探して間抜けなおっさんから金くすねたり天下無敵なのだが、家(集合住宅)の前でいい気分になってバラの花びらを撒いていたらすぐそこで殺人事件を目撃してしまう - しかもご近所の同級生の家の人だったから動転して、どうしようっておろおろして、イラクからの移民でママ(シングルマザー)の滞在許可について国からチェックが入ったりしているJameelahは、こういうのに首を突っ込むと自分の滞在に影響するかもなので、しばらく黙っていようよ、っていう。

けど、事件の犯人として複雑な家庭にある同級生が自首したことを知って、彼じゃないことを見て知っているふたりはなんとかしないと、になるのだがJameelahはやっぱりやめといてって言って、でもこの辺からふたりの間に溝ができて、そうこうしているうちにJameelahは …

ふたりの女の子がベルリンの街に飛び出すところの勢いは文句なしに素敵で、それが物語の進行と共にスローダウンしていって、殺人事件から移民問題にまで及んでしまうところは少し驚いたが、でもそれは不可解でも理不尽でもなんでもなく、現実にあっておかしくないことで、それを自分たちの問題として考えるよいきっかけにはなるはず - なんて他人事のような言い方は嫌なのだが。

今起こっているBLMから入って差別の問題に目を向けて見たとき、国境(アメリカだと州境)とか国籍ってなんなのか、って改めて思う。 原因結果いろんな見方はあるのだろうが、国境って今やただの経済権益を確保するための線でしかなくて、それって誰のための? とか考えると心底うんざりする。誰かの利益のためにその当事者でもなんでもない子供達とかその友情が犠牲になるのはいい加減なんとかできないのだろうか。 とか言い出すともっと悲惨なあんなことこんなこと、なくなったらどんなことになるか、とかいろいろ湧いてくるのが目に見えるので、シンプルに無くしてしまえ、って強く思う。いまのバカな大統領とかバカな総理大臣がいなくなったら世の中どんなに.. っていうのと同じ理屈で。

もちろんそういうテーマの映画ではなくて、おなじ桶に注がれたTiger Milkを飲んで育ったふたりがいかにすばらしく輝いていたのか最後の夏を過ごしたのか、っていう映画で、その点はじゅうぶんだった。

あと、4月に見た“Systemsprenger” (2019) - “System Crasher” - もそうだったけど、ドイツ映画ってこんなふうに社会問題と女の子の生き難い生をきちんと繋ごうとしているかんじはあるのかしら。

音楽はよく知らないドイツ語のエモみたいなメタルみたいのがいっぱい流れて、それらもなかなかよかった。 


今日は夏至で、夜22時になってもまだ空は少し白かったりする。
でも自分にとっての1年はここまでで、ここを頂点としてその先は日が短くなって暑くなっていくばかりだから既にとっても暗い。 生き延びられるだろうか、はやくどっかに行きたいな、とか。

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