6.10.2020

[film] Friends with Money (2006)

4日、木曜日の晩、Criterion Channelで見ました。ここでNicole Holofcener監督の3本、というのが始まって、まだ見たことがなかったので。日本ではビデオスルーで、邦題は酷すぎてむかつくので書かない。アンサンブルドラマとしてとてもおもしろいのに。

LAのお金持ちエリアで、Olivia (Jennifer Aniston)はシングルで家政婦のバイトで日銭を稼いでいて、でも彼女の同窓生だった3人は夫もいて子供もいて仕事もあって経済的にはとても裕福で安定していて、Oliviaも昔は学校の先生でちゃんとしてたのにねえ、なんて言ったりしている。

遺産相続もあって大金持ちのFranny (Joan Cusack)は、そのお金の使い道でいつも夫のMatt (Greg Germann)としょうもないおしゃべりをしてばかりだし、 Christine (Catherine Keener)とDavid (Jason Isaacs)の夫婦は仕事をしながら向かい合わせの机でいっつも口喧嘩ばかりしているし、ファッションデザイナーのJane (Frances McDormand)はやたら怒りっぽくなって周囲に当たり散らしてばかりで、その横でおとなしく傍にいる夫のAaron (Simon McBurney)は彼っていい人だけどたぶんゲイだよね、ってみんなに噂されている。

そのお金持ちサークルの内側から見たOliviaの振る舞いは昔通りで、デパートでコスメの無償サンプルを集めたり掃除している家のをくすねたり、昔のノリで仲間にお金を借りに行ったりすると男 – ほんとしょうもないチャラ男 – を紹介されてあーあなにやってんだろ、になったり、昔の男にしつこくCallしたり、なんでこんなに違っちゃったのかね、っていうのと、3組の夫婦も社会的地位はあるのかもだけど、ごたごたしているその中味ときたら犬も食わない系のばっかりなのに、みんなそれぞれ他の連中を指さしてかわいそうに、とか言い合ってて、こんなもんなのさ、っていうのが乾いたタッチで描かれていて、この辺の延々転がっていく会話に巻きこまれて止まらなくなるかんじって、Jane Austenの小説を読んでいく感覚にとても近い。 それなら別れちゃえ、それなら離れたほうが、それなら付きあっちゃえ、そんなのぶん殴っちゃえ、みたいに四方八方からいろんな声がこだまして、気がつけばそうっとこぶしを握っていたり。

社会的に安定したところにいる劇中の彼らの中身とか考え方は変えようと思っても変わらないし、特に邪悪なことを企んだりもせず、ふつうに隣人を愛して礼儀正しくて、そんな彼らがどうして何に引っ掛かって小規模の諍いを起こしてじたばたはらはらするのか、ていうのを通して、やっぱし結局のところ愛なのかしら、って。 友達は友達 - with Money でもwith no Moneyでも。

彷徨い続けるOliviaは掃除した先にいたぷーんて匂ってきそうな小太りケチ男(掃除代を値切ってきた)にみんなが参加するチャリティディナーへの同伴を頼むことになって、そしたらこいつが..
舞台を現代のLAに持ってきた“Dinner at Eight” (1933)とか”My Man Godfrey” (1936) のかんじもあったかも。

とにかくJennifer Aniston - Joan Cusack - Catherine Keener - Frances McDormandの4人が並んでいるだけで最強にかっこよいかんじはする。結婚とかキャリアとか、そういうのを巡らない・巡る必要がない - 男なんかもはやどうでもいい - ていう女性たちのおしゃべりで成立してしまうやつ。


Scritti Polittiの”Cupid & Psyche 85”がリリースから35周年..  きりがないのでいちいち言わないけどさ。
でももうじきAnne Briggsのカバーシングルを出すGreenがそれに寄せた文章がおもしろい。 76年のSex Pistols, Clash, Dammed, Heartbreakersのギグに行った時、彼はモリスダンスの格好をしていて、実は14歳でAirport Conventionの”Liegh and Leaf”に魅せられ、The WatersonsとかMartin CarthyとかAnne Briggsとかに夢中だった、って。 そうかーそうだったのかー。

スヰートポーヅが..  日本に帰る理由がどんどん失われていく。

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