6.05.2020

[film] Jeanne (2019)

5月30日、土曜日の晩、Film at Lincoln CenterのVirtual Cinemaで見ました。
この日はJoan of Arcが火刑にあった日だったので..  くらい。 英語題は”Joan of Arc”。

ここでやっている映画のうち、見ようかどうしようかずっと悩んでいるのがAlbert Serraの”Liberté” (2019)で、最初の舞台版を見るのにベルリンまで行って、その後のインスタレーション作品を見るのにマドリッドまで行ったやつなので、きちんと見たくて、そうするとこの映画には絶対映画館の暗闇が必要だと思うし、でも英国でやってくれるか – やってくれるよね、とかぐだぐだしているの。

Bruno Dumontの監督作で、これの前作で同じくLise Leplat PrudhommeさんがJeanneをやっている“Jeannette: The Childhood of Joan of Arc” (2017)の方は見ていない。1月に近所のInstitut françaisで監督のトーク – Masterclass - と今作の上映があったのだが行けなかった。Bruno Dumontて、昔は残虐屠殺でおっかないのばかりだったのだが、”Slack Bay” (2016)あたりからコメディと呼ぶ程ではないけど、なんか明るくなった気がする。明るい、というより作為的にふわっと気を抜いているだけのようで何が起こるかわからないハラハラは変わらずなのだが。

Joan of Arcは戦争の真っ只中で、でも雰囲気はのっぺり穏やかで、彼女が率いた戦闘のシーンがあったり前線の兵士とのやりとりがあったり英雄としての活躍を見れたりするわけではなく、左右上下に開けた平地 – まるで舞台のような - “Slack Bay”のと同じような - に、彼女とその上の偉いひと - 教会関係者とか – とその下の兵士代表みたいなひとが寄り集まって、今後進むのか止めるのか決めるのは誰だどうすんだ、を延々切り返していく議論があったり、静かで滑らかな馬の行進があったり、ここにChristopheによるエレクトロ聖歌みたいのが被る(変てこだけど気持ちよい)。彼女はほぼずっと正面を向いてしかめ面でうーん、て顔をしている。

後半と映画のメインはでっかい聖堂の中で行われる彼女の異端審問のシーンで、皺まみれの塩っぽいゴスじじい共(悪魔みたいなの)に囲まれて陰険な引っかけ質問 - 有名な「神の恩寵を受けていたか?」とか - をされても眉ひとつ動かさずに「あなたに答える必要はない」って毅然としてロジカルに潰していくので、だんだん我こそは教会なりのじじい共がうろたえてイラついていくのが痛快で、ああーあんなふうにメンツ潰されたじじい共が狂って彼女を火炙りにしちゃったんだな - 魔女裁判もおなじよね、今だに世界中に残っているやつよね、って思った。

この部分の緊張感がほぼすべてで見事で、この後は田舎の牢獄に送られてなんも考えてない家畜みたいな牢番に見張られて、男装した状態で髪の毛もぼろぼろになって火刑を待っているの。

ここで展開されるイメージが欧米の人たちが持っている聖Joan of Arcの像や彼女の物語(伝説)とどう違うのかどれくらい合っているのかはわからないのだが、少なくとも彼女の目の強さが最後まで揺るぐことはないので、そこだけ見ていればなにかわかったかんじにはなれる。(U2の”Boy” ~ ”War”のジャケットの男の子の目とおなじような)

とにかくこんな昔から男は - 特に宗教と権威にかぶれた奴らは、戦争以上にタチが悪かったのよ気をつけな、って。


TVを見ているとアメリカの警官による暴力の映像が延々流れてくるので目を塞ぎたくなって、日本のニュースを見れば人のクズみたいのばっかりで開いた口が塞がらなくなって、イギリスのが少しはましかも、と思っていると、そろそろBrexitの議論を、とか言っているのでちがーう、いまExitすべきはそっちじゃないだろーまだ毎日100人は亡くなっているのにー、って。

走っているバスから確認しただけだけどピカデリーのFortnum & Masonが開いたみたいだった。なんかおいしいのあるかなあ。

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