6.18.2020

[film] But I'm a Cheerleader (1999)

10日、水曜日の晩、Criterion Channelで見ました。なんか新しく入っていたので、程度。
邦題調べてみたら『Go!Go!チアーズ』だったのね。これなら既にどこかで聞いていたかも。

Megan (Natasha Lyonne)は17歳でチアリーディングしてて、フットボール部の彼とはべろべろにキスしまくってるのになんか乗れず、頭のなかはチアリードする仲間のことばかり浮かんできて、なんでかしら? と思って家に帰ると家族 - パパがBud Cort - みんなとMike (RuPaul)が揃っていて、あなたはヴェジタリアンだしMelissa Etheridgeなんか聴いているので間違いなくゲイよ!っていきなり宣告を受け、えええ?って本人もびっくりするのだがなんも聞き入れて貰えず、彼女はMike - 彼も矯正されたex-gay - のいる矯正施設 – True Directions (TD)に送られてしまう。

施設には同じように送りこまれて暗い目をしたゲイの子達がいて、創業者で女校長のMary (Cathy Moriarty)とその息子とMikeで運営されてて更生までの5ステップとかあって、見るからにバカらしそうなのだが、修了しないと家に帰して貰えないようなので渋々、たまに口あんぐりしながらやらされることになる。

その5ステップ – ①自分がホモセクシュアルであることを認め、②自身のジェンダーアイデンティティを認め、③家族セラピーを通して自分がホモセクシュアルになった「根」を発見し、④ヘテロを理解し、⑤ヘテロセクシュアルを模擬体験する -  にげろげろしながらつきあいつつ、Megan以上にてきとーにやっているGraham (Clea DuVall)と仲良くなったり、TDを出た後に再びゲイに戻ってアンチ – アンチゲイの活動を繰り広げているLarry & Lloydに連れられてゲイバーに行ったり、そういうのを通してGrahamと御法度の恋におちるのだが、それがばれてTDを放り出され、Grahamも一緒に来てくれると思ったのに彼女は親の圧力に負けて来てくれなくて、そのうち卒園式の日がやってくる。

というのがJohn Watersふうのケバケバした色調とこてこてお下劣「アメリカンジョーク」の連打と共に語られて、それはこの約20年後に作られる同様の矯正施設に送られる少女の物語 - ”The Miseducation of Cameron Post” (2018)とは全く異なるトーンなのだが、それは問題がより深刻化してきたから(それもあるだろうけど)というより、問題が地続きのすぐそこで起こることとして認知さるようになってきた、ということなのだろうか。でもだからといって、本作においておちゃらけつつも提示されたテーマが古くなっているとは思えないし、極めて真面目なやつだよ。

「自分らしく」あるようにって言うときにイメージする「自分」に対するブレが拡がっていって翻って自分に撥ねかえってきたり、多様性を謳いながら特定のイメージ偏重で語りたがる典型的な学校の所作とか、これは淡々と追っていくとセクシュアリティやジェンダーのありようを問う、というだけでなくて、自分を発見する→他者を受けいれる/好きになる、っていう社会的な体験の基本についても語っているようで、そういう点で明るく楽しいテキストのように見るのがよいのかも。そんな簡単じゃないしまだ苦しんでいる人が大勢いるのもわかるけど。

Meganがわたしはゲイだけど、でもチアリーディングも好きなの、って言ったり、彼女の両親がPFLAGに参加することになったり、その辺のとこ。 いつか、”But I'm a Cheerleader”じゃなくて”So I'm a Cheerleader”になったらいいな、って映画そのものがチアしているような。

こういうのを矯正院ではなくて学園ドラマの枠でやってみることは可能なのだろうか? ”Love, Simon” (2018)は眩しくてキュートで大好きだけど、あそこまではまだ遠いかなあ..

TDの生徒にはMichelle Williamsがいたり、ゲイバーで横切る謎の少女にJulie Delpyがいたり。

音楽がまたたまんなくて、April MarchとかSaint EtienneとかLoisとか。懐かしいK Recordsの香り。


夕方、チェルシーでお買い物をしていたらものすごい轟音が響いて道路の真上を隊列を組んだ戦闘機がびゅーんて飛んで行った。
パリ陥落後にロンドンに亡命したド・ゴールがBBCを通してレジスタンスを呼びかけたのが80年前の今日で、フランス大統領が来ているのだった。 だからってびっくりさせないでほしい。

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