4.13.2020

[film] Sulphur and White (2020)

6日、月曜日の晩、Cursor Home Cinemaで見ました。
David Tait氏の実話に基づくお話で、監督は"Brideshead Revisited" (2008)とか"Kinky Boots" (2005)のJulian Jarrold。

冒頭、崖から飛び降りようとしているDavid Tait (Mark Stanley)がいて、そこに至るまでの幼年期と大人になってからのあれこれが交互に走馬灯していく。

父 (Dougray Scott)の仕事でアフリカに滞在していた子供の頃、父は高圧的で裏の暴力が横行し母(Anna Friel)は怯えていて、父のビジネス仲間の雑貨屋でバイトを始めるのだが、ある日閉店後にちょっとこいと呼び出され、繰り返し性的虐待 - 明確にそれとは示されないが - を受けるようになって。(タイトルはこの頃の記憶から来たもの)

成長してロンドンでトレーダーとなったDavidは、ばりばり熱く冷酷に働いてのし上がり、偉い人に認められて、仕事場でVanessa (Emily Beecham)と出会って、仕事も恋も押しまくってパートナーに昇進しておうちも建てて、でも老いた母が訪ねてきても冷たくて、そのうちVanessaから子供ができた、と言われるとちょっと様子が変わってしまう。

生まれてきた赤ん坊が怖くて触れなくて泣き声も耐えられなくて外に出しちゃったり、この苛立ちと嫌悪が明らかに仕事にも影響するようになってクビになり、Vanessaにも顔を合わせられなくなって.. 

"The Wolf of Wall Street" (2013)のロンドン版(の転落話)はこんなにも脆くて壊れやすいものだった - 幼少期に刺さって消えない虐待の記憶と大きくなってからの仕事やその結果に対する執着の因果関係は明確に示されることはないのだが、なんとなくわかるくらいに無理なく説明されているような。「なにもかも犠牲にして」「脇目も振らずに」のような仕事のしかたって、やっぱし無理があるし無理がでるし。いまだにすごく仕事のできるひと/するひとのところにはあまり近寄りたくない(向こうもこちらは見えないだろうし)。

最終的にはVanessaのめげない献身的な愛がDavidを救うことになるのだが、そこよりも親とか周囲の虐待がその後の生に与える傷の重さ大きさを思う。いま、”Stay Home”で同じ家にいる子供たちや女性に対する虐待への危惧が伝えられている、このタイミングでの公開は意味があったのではないか。虐待する側の人はこういうのは絶対見ないのだろうけど。

映画館で予告のとき、たまにNSPCC (National Society for the Prevention of Cruelty to Children)のCMが流れることがあって、怖いし見るのはきついのだが、この団体に貢献しているのがDavid Taitなのだそう。

主演のふたり - Mark StanleyとEmily Beechamはすばらしい。彼女の”Little Joe” (2019)、見ないと。
どうでもいいけど、ふたりがランチを一緒にするとこって、会社の近所かも。するとあのお弁当はWasabiのかitsuのか、とか。


こうして四連休が終わろうとしている。ここまで一日一回は外に出るようにしているのだが、やっぱりなーんもしなかったねえ。 うーむ。(とか言いだしたぞ)

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