4.02.2020

[film] The Biggest Little Farm (2018)

28日、土曜日の夕方、Curzon Home Cinemaで見ました。見逃していたドキュメンタリー映画。
これまでもドキュメンタリーを撮ってきた監督のJohn Chesterが妻のMollyと犬のToddと2011年、Los Angelesの北、車で1時間くらいのところに20エーカーの土地を買って農場を作ろうと思いたち、これがApricot Lane Farmsになるまでの記録。

元々、ぼんやりと自分たちの農場を作りたいな、っていう夢は持っていて、それが決定的になったのは飼犬のToddが彼らが留守にする度に延々吠え続けてアパートを強制退去になったことで、それならToddのためにも! って打ち棄てられていた荒れた土地を手に入れて薬に頼らない伝統農法に詳しそうなおじさんを仲間にして若者たちを雇い入れ、水をひいたり木を植えたり家畜を連れてきたりの格闘が始まる。

素人でも漠然と思うのは土ができてて樹があって植物もあって水もあって家畜がいて四季とか気候がきちんと巡るのであれば、自然の、エコのサイクルもぐるりと回ってくれて、農場っぽくなるのでは、くらいで、実際に彼らも導師のおじさんもそれに近いことを言ったりしているので、いやいくらなんでもそんな簡単じゃないんじゃないの、と思ったら、やっぱりコヨーテが来て家畜を襲ったり、Gopher(ホリネズミ)が大発生して根っこを食べちゃったり、鳥の大群が来て果物食べちゃったり、カタツムリが大発生して葉っぱ食べちゃったり、結構ぼろぼろになる。

そこで彼らは歯を食いしばって、とか昼も夜も働き続けて、とかものすごい工夫とか発見が.. といった汗と涙の苦労話(労働ばんざい)には(実際にはあったのかもだけど)持っていかなくて、自然はある程度のところまで行けば自分(たち)でなんとかし始めるもんじゃよ、みたいなおじさん(途中で亡くなってしまうのだが)が言っていたことを素朴に信じて、映画は最初の4~5年くらいまでを順に追っていくのだが、産物を売ったりするところも含めて本当になんとかなってしまって、その辺のおおらかさがすばらしいったら。(にっぽんだとバンダナしたおっさんとかが出てきて、甘いな、とか得意に突っこんできそうなやつ)

鳥の大群には鷹みたいのがくるし、Gopherには梟がくるし、カタツムリには飼っている鴨が向かっていくし、さすがにコヨーテは人が蹴散らすけど。農場のお話しというよりは動物好きにはたまらないいろんな生き物がいっぱい出てくる(殺されるのもいっぱいだけど)のがよくて、でっかいお腹のまま連れてこられた大豚のEmmaがぶりぶり大量の子豚を生むところとか、Emmaの傍に用心棒のようにくっつくはぐれ雄鶏とか、鴨も羊も牧羊犬も、彼らがぴょんぴょん跳ねたり吠えたりする、そういう動きが生き生きと撮られているのでそれだけでいいの。それがThe Biggest Little Farm、っていうもの。

最近の西海岸の山火事がすぐ近くまで迫ってきてはらはらするシーンも出てくるのだが、なんとかなるんじゃねえの、っていうオプティミズムに貫かれていて、こういうのはよいなー、って。

東海岸の同様の農場だと、やはりStone Barnsが思い浮かんで、あそこででっかいバークシャー豚を見たときの興奮はいまだに思いだしてほっこりする。食べ物は見ただけでおいしそうだし、実際なに食べてもおいしいし、やっぱりさー、人が生きるのはデジタルとかインデックスとかじゃなくて、こっちの方だよねえ。(デジタルは、生きるというよりそれによって生かされる、ていうかんじ)

というようなことを、家の外に出ることを禁じられながらも「働け!」って勝手にキャンペーンはられて、奴隷とか家畜になったような状態で見ると、あーあ、ってなるの。


ここのとこ毎週木曜日の20:00になるとNHSの医療関係者に感謝をする拍手と歓声が町中で起こって、窓を開けているといろんなところからどんどかぱちぱちわーわー聞こえてくる。 いいことよね。感謝してもしきれない。

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