4.20.2020

[film] Eva (1962)

11日、土曜日の昼、MUBIで見ました。Joseph Loseyの3本をやっていてそのなかの1本。
原作はJames Hadley Chaseの同名小説。 邦題は『エヴァの匂い』。
Jeanne Moreauの主演作としては、『突然炎のごとく』(1962)と『天使の入江』(1963)の間にあるやつなので、かるーくみても彼女が世界最強だった頃のやつ。

ヴェネツィアに滞在していて各方面からちやほやされて得意満面のウェールズの新進作家 - Tyvian (Stanley Baker)が大雨の日に自分の邸宅にあがりこんでレコードを聴いて寛いでいるEva (Jeanne Moreau)と出会って、そのあまりの態度のでかさになんだこいつ? とか思うのだが、社交界で彼女とデートするのは大変なのだ、と聞いて自分には婚約者のFrancesca (Virna Lisi)がいるのに、Evaの方に傾いていく。 EvaはEvaで、自分には超大金持ちの夫がいるから、あんた程度の金持ちなんてどうってことないわ、とか言いながらTyvianを弄んで、彼は弄ばれているのをわかっていながら、Francescaのそんなのやめてのお願いもふっきってEvaの方にまっすぐ墜っこちていく。

Tyvianも自身の小説を実は亡くなった兄から盗んでいたり、ウェールズ出という田舎コンプレックスがあったり、一途なFrancescaにひどいことしたり、そこそこ悪くてせこい奴で、そんな悪い男と悪い女のせめぎ合いの心理戦がおもしろいはず、なのだがじりじりした争いを描くにしてはいろいろ飛ばしている気がした(編集で削られている、ということを後で知る)。こういう関係の勝ち負けについてあれこれ横とか斜め上から言いたくなるのはわかるけど、ここに関してはEvaの圧勝で、男の方はちっともかわいそうに見えない。

こういうファム・ファタール - 悪女ものについてなんか言う時、必ず男の方が「いやあんなのは..」とかケチをつけるのをよく見るのだが、そもそも「悪女」っていう時の「悪」って男性にとって都合よくない - 自分=男性のいうことを聞いてくれない - ていう使われ方をすることが多いので気をつけた方がいいよね。 支配するか破滅するか - 愛の結末にそういうのを求めたり持ちこんだりすること自体とっても傲慢でやらしい目線だと思う。 そういうのが好きな男女は絡まってずっとやってれば、だけど。

だからとにかく「そんなにお金を貰ってどうするんだ?」って聞かれて「レコードを買うの」と即答するEvaはちっとも、一ミリだって間違っていないし、部屋に入ってすぐにアナログのBilly Holiday - “Willow Weep For Me”と“Loveless Love”が聞こえる - をプレイヤーにのっける所作のかっこいいったら。
ところどころで「ア」と「エ」の中間くらいの声を短く発するのもたまんないし、賭博場での目つきと振るまいの様になることときたら (この後、彼女は南仏の入江に向かったらしい)。

あと、かっこいいと言えば、自在に跳ね回るMichel Legrandの音楽も。『天使の入江』の音楽もそういえば彼。
ここで見ることができる約60年前のかっこよさって、もうどこを探してもないのかねえ。


#TogetherAtHomeの、英国でもBBCで、英国の分を少し足したかたちで19:30から放映された。
こっちのはNHSがんばれ! が全面に出ていて、それはそれでよいのだけど、みんなお家にいてもいろんなことやったり考えたりしててなんてえらいのかしら、って。   音楽ではEddie VedderとBillie Joe Armstrongかなあ。

公園、いろんな花が先週比: 倍の勢いで咲き出してわあーってはしゃいで嗅ぎ回っていたら花粉にやられて目が.. (なんの花粉なのか知りたい)

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