4.08.2020

[film] The Edge of Seventeen (2016)

2日の - もう曜日なんてどうでもよいのだが木曜日の晩、BFI Playerで見ました。ここ、最近の映画やクラシック以外だと、00年代とか10年代真ん中頃の、そんなに話題にはならなかったけど見たいよう、だった半端なやつもいっぱい入っているので嬉しくて、これはそういう1本。 邦題はちょっとひどすぎる。

これが長編デビューとなるKelly Fremon Craigさんの監督・脚本。
ポートランド郊外に暮らすティーンのNadine (Hailee Steinfeld)が学校の窓際教師Max (Woody Harrelson)のとこに来て、もうきめた死にたい死ぬぞ、とか吐きだすのが冒頭で、そこから幼い頃、快活でかわいくてみんなの人気者だった兄Darian (Blake Jenner)とは真反対の内気で弱気でこもりがちの彼女がいて、でも親友となるKrista (Haley Lu Richardson)が現れて救われたり、大好きな父が突然亡くなったり、という生い立ちが描かれ、いまのNadineとKristaは校内のはぐれモノポジションで、とにかく揺るがずに日々を生きている。

ある日、ママがオトコ探しの旅に出た隙に自分ちにKristaを呼んで酒呑んで羽目を外して騒いで、でもDarianも家にいるのでなんだよ、とか言っているうちにNadineはげろ吐いて潰れちゃって、気がついたらKristaとDarianがベッドでいちゃいちゃしているのでなんだよおまえらありえねえよ、になる。この後にKristaとはいくら話しても意地の張り合いになって絶交しちゃって、Darianからもママからもあきれられて、自分でも悪いって思いつつも後に引けなくなって自己嫌悪でぐしゃぐしゃの雪だるまになり、気になっていた男子に間違ってメッセージ送っちゃって、向こうが変な気になって危ないとこに行ったり、最後の砦で人生の落ちこぼれ同志と思っていたMaxのところに行けば、ホームレスどころか奥さんも子供もいるまともな奴で、あーもうだめだどうしようもない、になる。

べつにJoy Division聴かなくたってThe Smiths聴かなくたって、世界のなに見ても聞いてもやってもぜんぶだめで嫌で嫌いでなんでこんなふうに生きているんだかぜんぜんわかんないわって漆黒に膨れあがってしまう時期ってあるし、なのでコメディとして笑える仕様 - この時期を生きて通過できた大人 or こういうのとは関係ない思春期を過ごした大人が笑える仕様 – になっているもののいろんなことを思いだしてしまったり。

これって本当にThe Edge of..  だし、でもその只中にいる人にとってはEdgeかどうかなんてわかんないし、最悪のあれにならないであろうことはわかっていても、ああよかったねえ、って。最後はふつうのホームドラマみたいのに戻るのだけど、そこに着地してしまうことのしらじらしさとか居心地の悪さみたいのまでわかってしまって、そこはもうEdgeを跨いだ先にある別の場所だし .. 

Hailee Steinfeldさんは“Bumblebee” (2018)でもほぼ同じような境遇のどん詰まり娘を演じているのだが、あれは宇宙からロボットがやってきてなんかかき混ぜてくれてなんとかなるやつで、こっちはひたすら自分で自分のモグラ叩きやって止まらなくなっていくやつ。 こっちの方はそこがすばらしいし、大好きだなあ、って。


毎日午後3時とか4時になると音を消してつけっぱなしにしているBBCから昨日から今日までの死者数のUpdateが出てくる。 ここのところずっと600人とか700人とか、今日は900人までいった。 毎日それだけの数の人が同じ原因でいなくなっていく。 外はぽかぽか春の陽気で20時過ぎても明るくて気持ちよくて、みんな外のアパートの階段とかに腰掛けてタバコを吸ったりしている。いまの状態を「戦争」に例えたりすることがあるけど、「戦時下」でもこういう光景があったのよ、といちおう書き留めておきたい。 

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