4.29.2020

[film] Répertoire des villes disparues (2019)

21日、火曜日の晩、MUBIで見ました。カナダ映画。英語題 は ”Ghost Town Anthology”。
MUBIでぽこっと落ちてきたので軽いかんじで見てみたらとっても怖かった。怖いやつは夜に見たら怖くなるから見ちゃだめって、決めていたのに。

ケベックの奥の方の雪に覆われた小さな村 - Irénée-les-Neigesで、車がどこかに突っ込んで若者Simon Dubéが亡くなった。自殺なのか事故なのかはっきりしないが、兄弟も含めDubé家は皆悲しんで、精神科のドクターでもあるらしい市長 (Diane Lavallée)もお悔やみの言葉を述べて、ここは215人しかいない小さな町なのでみんなで乗り越えましょう、って前向きなのだが、その頃から住民が変なものを見たり気配を感じたりするようになる。 それだけなの。真相を探ったりとか流血の惨事とか悪魔祓いとか過去の呪われたなにか(少しだけ出るけど)とかが物語をかき混ぜたりひとりパワフルな誰かがなんとかするような話でもないの。

こんなふうにばらけててなんにも起こらないからこそ怖い。家には誰もいないはずなのに床板の軋む音がするとか、ドアの向こうに誰かが立っているかんじがするとか、窓から外を見た時に木の陰でなにかが動いた気がするとか、密閉型のヘッドフォンで音をでっかくして聞いていると画面は雪とか暗がりのぼんやりばっかりなのに音のうねりがすごくて、たんにxxxの気がする、だけとは思えないなにかを掻き立ててきて、逃げ出したくなる(どこに?)。

廃屋になっている家を買えないかと見にきたカップルとか一人で暮らしている女性とかが見よう/見たいと思っていないのに見てしまうなにか、変な仮面をした子供(こわいの)とかがぽつぽつ出てきて、その向こう側で力強く立ちあがる主人公(たち)がいるわけではない。なにかを知っているような市長はそこらの市長が言うようなことしか言わないし。

オチは別にどうってことない、その町で亡くなった人たちはその町ではふつうに通りとか野原に湧いたり彷徨ったりしているのだ、と聞けばああそういうことね、って思う(思っていいよね?)のだが、それって視覚的にはこんなふうなんだけど、と見せてくれる光景が怖いの。よく怖い夢にでてくるぼやっとしているだけでどこまでいってもクリアにならない不気味な情景。 
”Midsommar” (2019)は華やかな初夏のお祭りホラーで見どころたっぷりだったが、これは凍てつく冬の、地味すぎて普段は見たいとも思わない窓の外にはこんなに… っていうのは怖い。

でもよくよく考えてみると、本当に怖いのかしら? って。そこにいるもの、そこにいるべくしている、映っていておかしくないものが画面に映っているだけなんだからそんなに怖がることはないんじゃないか?
それに例えば今の、夜間外出禁止の、人がいてはいけない世界だってまさにそんなふうだし。
って、こんなふうにこれは怖くない怖くないの理由とか言い訳を考えるのに必死になる、っていうのはやっぱり怖いからだよね?

幽霊が出そうなくらい閑散とした町のことを言うGhost Townもあれば、ふつうに人々と幽霊が共存している町としてのGhost Townもあるし、あってもおかしくないんだ、とか。

映画とは関係ないのだが、これを見ていて後半になったころにアパートの天井についている火災報知器が数十秒間隔で高音のピッっていう音(ヘッドフォンしていてもわかるくらいの)を出し始めて、それが火災報知器の電池が切れたときの警報音であることを知るまでに数十分、天井からそいつを剥がす(剥がれないったら)までに数十分、電池を外しても暫くのあいだ鳴っているので気持ち悪くてしぬかと思ったの。


在宅勤務も一ヶ月を越えて、普段頻繁にTV会議をしているわけでもなく、微妙に距離が離れてしまったかんじの人たちから「お元気ですか」メールを貰ったりするようになった。はい元気ですよ、って返すのだが、みんな仕事をしてても、あんますることないんだろうな、それにしても偉いな、仕事相手のことを考えるなんてしたことないもんな、って。 日本のTVはこうすれば見ることができますよ、とか詳しく教えてくれたり。 でもいま一番見たくないのが日本のTVなんだけどー。

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