4.11.2020

[film] The Ponds (2018)

4日、土曜日の晩、Cursor Home Cinemaで見ました。見逃していたドキュメンタリーフィルム。

ロンドンの少し北のほうのHampstead Heathの池はカモとか魚だけじゃなくてヒトも泳ぐことができて - 泳ぐことができるくらい水質がよいとかそういう話ではなくて、19世紀末からここの池にはずっとヒトが泳ぎに通ってきていて、男性用のと女性用のとMixの池がある、と。 ここにずっと泳ぎに通ってきている老若男女のインタビューを繋いで、ロンドンの池スイマーの実像にせまる。というほど大げさなもんじゃないの。 こんな世界もあるのよ、っていうスケッチ。

最初は冬の終わりで、霜がおりたり雪が降ったりしている中 - 水温は早朝だと3℃とか2℃とかで、この時期が一番いいよね、とか言いながら泳ぎに来る(どちらかというと)老人たち。 銭湯の熱湯を屁でもねえ、とか、滝に打たれてうおお、とかいう江戸の頑固老人(偏見です)に近いものを感じないこともないが、とにかく水に入ったときに生きているかんじがするのがたまらないのだ、って。

女性も同じようなかんじで、ただ女性が屋外でこんなふうに泳ぐことを認められるまでにはそれなりの闘いがあって時間がかかった(suffragette!)ていう話とか、乳ガンで家族を失い自分も同様の宣告を受けたという女性とか、事故で頭がぱっくり割れて生死の境を彷徨って生き返った男性とか、いろんな境遇とか事情があって、みんな定期的に泳ぎにくる。ジムでのエクササイズとは違う - そりゃ違うじゃろ - とか言ってて、そのばらけ具合も楽しいったら。

単にエクササイズとして、自分の健康管理のために泳ぐ、というだけでなく、一世紀以上に渡って世代を超えて継がれてきたコミュニティの伝統を守る、という側面もあるようで、なんとなく田舎の自警団ぽいかんじもある。まあ昔はみんなふつうに池や湖や川で泳いでいたわけで、それがロンドンの片隅でこんなふうに残っているのだ、と。

季節が春から夏に移っていくにつれて、泳ぐ人たちの数も増えていって、夏のビーチみたいな混雑になり、ディスタンシングが主流の今日この頃からすると懐かしいったらない密集具合なのだが、でも水が循環したり塩素があるプールではなくて水鳥さんががーがー鳴いている脇であんなふうに泳ぐってちょっとねえ、とか思わないでもない。幸せそうだから止めないけど。 っていうこのみんな「幸せそう」なかんじがインタビューを通して溢れてくるので、よいドキュメンタリーかも、と思った。

あと、性別で分かれているのはヌーディストでもOKの場所があるからで、じゃあトランスのひとは? というとトランスで女性になった人は女性のプールの方に入ってよいのだ、ってフェミニストの方がまじめに応答してくれている。 当然思想的な筋も通すからな、って。

Hampstead Heathは行こうと思えばいつでも行けるし、ってこちらに来てからまだ行っていないのだが、むかし(2012年くらいか?)に滞在していたときに行った。あのときの目的はKeats Houseだったのだが、半日くらい公園の方もふらふらして、池には泳ぐときの注意とか立て札があったので変なの、と思ったことは憶えている。 

いまは当然、池は閉じているのだが、そのうち開いたら行ってみようかしら。たぶん泳がないけど。興味があるのは水鳥の方だけど。


週末だからか連休だからか、スーパーの列が長く延びてて夕方に行っても野菜とか殆ど残っていない。イースターのお菓子(チョコレートとか)は積んであるけど、やはり売れていないかんじ。 朝、やっているかしら?と土曜日にオープンするFarmers marketに行ってみたらやっていた。 けど、野菜とか直に触れないカウンター式で、魚屋は店内にひとりづつ入れているのでものすごい列ができていた。これって今日も明日も自分(たち)はだいじょうぶ、って思っている(思いたい)から買いに出るんだよねえ、明日具合悪くなって病院に運ばれちゃったらもったいないねえ。

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