11.17.2011

[film] Saul Bass: A Life in Film & Design

月曜日の晩、MOMAの"To Save and Project: The Ninth MoMA International Festival of Film Preservation"の一環のイベント。

チケット取っておくのを忘れてて、当日も抜け出せるかどうか直前までわからず、15分前に会場についたらとっくにSold Outで、Stand-byのすんごい行列ができていた。  そりゃねー。MOMAでSaul Bassだもんねー。 
とりあえずおしりに並んで、じゃあかわりに何見ようかなー、と探しはじめたら、なんと入れてしまった。

"Saul Bass: A Life in Film & Design" (Laurence King, 2011)ていう本の出版を記念して、彼の業績を振り返る。  講義してくれるのはPat Kirkham, Chip Kidd, Kyle Cooperの各氏。

オープニングが"Walk on the Wild Side" (1962)のタイトルロール。
土管からでてきた黒猫のしのし、黒猫vs.白猫、黒猫勝ってふたたびのしのし。
この時点で全員溜息しかでない。 ありえないくらいにかっこよすぎる。

最初のパートは彼自身へのインタビューも含めて彼のいろんな業績をざーっと紹介したショートフィルム。

面白かったのが、"Phycho"(1960)のシャワーのシーンを彼が手書きしたシークエンスと実際の映像をパラで流していくところ。
アングルとか、ほとんどおなじに推移していくところがすげえ。

それからあまり紹介される機会のなかったTV CMを紹介するコーナー。
ABCのFrank Sinatra Showとか、ビールのCM(Rainier Beer、National Bohemian Beer)とか。
ビールのCMの格調高いこと深いこと。 (これと比べると、最近の日本のビールのCMのクズなことゴミなこと...)

そしてChip Kiddさん(おしゃれねー : 写真下)が登場して、企業のCIデザインを中心に紹介、ていうかほとんど大学の講義みたいだった。
CIひとつひとつをぱたぱた流して論評していくの。
Lawry'sとかBell SystemsとかALCOAとか、QuakerとかUnitedとかWarnerとかGeffinとか。日本だとミノルタとか。

Chip Kiddさんは、10歳くらいの子供むけのグラフィックデザイン入門、みたいな本を出すそうです。

それから、自身も映画のタイトルを多く手掛けるKyle Cooperさんが登場してSaul Bassが手掛けた映画のタイトルシークエンスの紹介を2回に分けて。
(間違っていたり漏れていたりしたらごめん)

第1部はー;

The Man with the Golden Arm (1955)  ..Otto Preminger
Bunny Lake Is Missing (1965) ...Otto Preminger 
Cape Fear (1991)  ..Martin Scorsese
Vertigo (1958)  ..Alfred Hitchcock
Something Wild (1961) ..Jack Garfein
Cowboy (1958)  ...Delmer Daves

これらはそれぞれの映画のテーマである妄想(Obsession)にドライブされていくさまを象徴的なイメージの連鎖のなかで集約させようとしたもの、だと。

第2部はー;

Grand Prix (1966)  ... John Frankenheimer
Seconds (1966)  ... John Frankenheimer
North by Northwest (1959)  ..Alfred Hitchcock
The Age of Innocence (1993)   ..Martin Scorsese
Casino (1995)   ..Martin Scorsese

こちらは、映画のオープニングの掴みとして、一挙に物語のコアとか全体像に見る人を連れて行ってくれるような、そういう効果をもったやつ。

よくできたオープニングって、ほんとにどきどきして見たくなりすぎてストレスがたまる。
いつの日かぜんぶ制覇したい。
あと、"The Age of Innocence"て、Saul Bassだったんだ、とか。

Kyleさんがあきれてたのは、今だとCGのデジタル処理できることが相当あるのだが、50年代60年代はフィルムしかないわけで、そういうなかでなんであんなことができたのか、って。

で、いちばん最後に、リストレーションを終えたばかりだという、Saul Bass自身によるショートフィルム"Why Man Creates" (1968) 。
原始人のアニメーションから入って、だんだん進化の階段を上っていって、タイトル通りのいろんなイメージとかコントがてんこもりで、とにかくおかしいの。

全体として、ものすごく気持ちよい音楽を聴いているときに近い極楽浄土感覚で楽しむことができた。
約2時間のプログラムで全貌をつかめるようなひとでないことだけはわかったので、これからもちびちび追っていきたいと思いました。
                 


           

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