11.06.2011

[film] Boxing Gym (2009)

29日からはじまったFrederick Wisemanレトロスペクティブ。 
そりゃ、できるだけ見たいのであるが...

今年はいろいろおもしろい映画本が出ているのだが、そんなかでも『メカスの難民日記』と『全貌フレデリック・ワイズマン』は必携。 どちらも、どこから読んでもおもしろすぎるので困る。

初日のトークと"Boxing Gym" を。

TIFFの"Crazy Horse"は、そのうちどっかでやるような気がしたのでパスしてしまった。
そしたらトークの冒頭で、来夏公開@Bunkamura...  だと知る。
あーあ。またBunkamuraのださい邦題とおばさん商法でげんなりさせられるのか。

トークは、あんまし。
まずさあ、監督本人がこれから上映する映画については語りたくない、て言っているのだからそれを尊重すべきでしょう。 Wisemanの映画を見るのに予備知識や前提はいらない。何も知らずに飛びこんでみても、全く知らない、見たこともない世界が目の前にひろがってくる、その楽しさと醍醐味を少なくともこの初日にやってきたような人たちはみんな知っているはずなのだし。

通訳の方もなんか。New Yorker誌のSteve Jobsのは記事ではなくて表紙のことだし(記事ではNicholson Bakerのがおもしろかった)、ジュルジュ・サンドの名前くらいは出てこないと。

この流れで出てきた名前は、ジョルジュ・サンドとフローベール、イヨネスコ。 Wisemanが彼らの名前を示したことで、彼のスタイルがどちらかというとクラシックな語る主体と題材を巡る試行錯誤の流れのなかにあることがより明確になった。 そして、ただひたすら被写対象のBody Movementを追う、それだけなのだということ。
だからおもしろい/つまらない、という話しではもちろんなくて、そして、しかしながら、彼の映画は、どれをとっても驚異的に「おもしろい」、のである。

あと、あんま関係ないけど、Wisemanさんの容姿って、ダンサーのそれだなあ、とか。

で、"Boxing Gym"。

オースティンにあるボクシングジムの何日間かを追う。

いろんな人がやってくる。
男性も女性も、子供も大人も年寄りも、トレーニングやダイエット目的のひともプロの試合を目指すひともいる。  ジムを運営している人たちも当然。
それぞれの言葉で、自分にとってのボクシングやトレーニング、その事情や目的について語る。
家庭や家族、職場の話し、撮影中に起こったVirginia Techでの乱射事件の話しもでる。

そして、いろんなトレーニングがある。
縄跳び、バランスとり、ボールうち、ハンマーでタイヤを叩くとか、スパーリング、ほとんど実戦みたいのから、なにをやっているのかよくわかんないのもある。

これをいつものように、ナレーションなし音楽なしでざーっと並べて、流していくだけ。

そして世界中にあるこんなような大量のメニュウと運動器具、汗と筋肉のなか、昼と夜の追っかけっこのなかから、チャンピオンは出てくるのだし、ジェットアッパーとかギャラクティカファントムとかは生まれるのだなあ、なんか素敵だなあ、て。

撮影された素材は約100時間とか軽く言っていたので、それをWisemanがきちきちこまこま編集していったのだろう。ごくシンプルに、すごいなー、とおもう。

月$50で、いつ来ても、いくらでもやっていていい、っていいよなー。これなら行きたいねえ。
小さい頃からこういうジムに通うことができていたら、こんなろくでなしには育たなかっただろうに、といつものように思うのだった。

あと、時折映りこむジムの壁、そこに貼ってある無数のチラシとかポスターもよくてねえ。
タイソンとホリフィールドのとか、このときはエクアドルにいたんだよねえ。 まさか耳齧るとはねえ、とか。

と、こんなふうに、世界のひとつの場所、そこに集まってくるいろんな人々、彼らのいろんな動き、それらが全て見ている我々の考え方とか過ごしてきた時間にダイレクトに連携してくる、そういう作用が起こってしまうところにWisemanの映像の不思議と驚異があって、だから特集上映が組まれる度に、ついふらふらとなにかを求めて通ってしまう、あるいは、その「なにか」ってなんなのかを探しに通ってしまうのだった。

ほんとにさあ、いつの時代のを見ても、どんな題材のを見ても、どれも同じようにおもしろいって、ありえないよね。  だれかこの老人の仕事と生活を追っかけてみてほしいんですけど。
(撮ったあとで編集だけ彼にやってもらうの)

このあとで、現時点までで3本しか見れなかった。結局...

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