11.24.2011

[film] Martha Marcy May Marlene (2011)

"Kooky"のあとで、続けてBAMでみました。 一転して暗くてシリアスなほうへ。
今年のサンダンスで話題になった新人監督の。

MarthaはCatskillの山奥のカルトになんとなく囲われて、なんとなくそこが嫌になって逃げ出す。
行くところがないので、唯一の身寄りであるコネティカットの姉夫婦のところに身を寄せる。

姉のだんなは建築家で、家は湖畔(海かも)にある立派なおうちで、夫婦は2年間も音信不通だった妹を気遣ってあれこれしてくれるのだが、Marthaは自分がどこにいてなにをしていたのかを彼らに言うことができず、溝が深まっていく。

カメラはコネティカットでのリハビリのような彼女の日々と、教団内の共同生活としてあった彼女の過去を交互に追っていって、やがて彼女のなかの逃れられない過去が、彼女の現在をゆっくりと浸食していく。
ひょっとしたら彼女はあそこに戻りたいのか、このままでいたいのか、それすらもわからなくなっていく。

静かな田舎の、環境的には申し分ないと思われる場所(過去のも現在のも)で、じわじわと生きる感覚を失い、戻れる場所を失っていくかんじ(恐怖、とまではいわない)をサイコスリラーのように描いていて見事でした。
何度か反復される水のイメージも、ちょっと古典的すぎる気もしたが、すばらしい。

そして、Marthaを演じたElizabeth Olsenの存在感。 姉ふたりがあんなだと、妹はこんなにも、とは言うまい。
漂白されたような表情、彼女の少し丸めの体型とまあるい肩を後ろから撮ったショットが印象的でねえ。

よく語られがちなサバービアの風景とはまた別のところ、別のかたちとしてある、個々の意識のありよう、時間の感覚をひとりの少女の後ろ姿とまあるい肩でもって語ろうとした、そこにのみ注力しようとした姿勢は評価されてもよいかも。

それにしても、こないだ見た"Red State"といいこれといい、アメリカのカルトってやっぱしこわい。
日本のは笑いとばせるのに、なんでかしら。


これを見たあと、なんでかへろへろに疲れて、Marcy Mayみたいにごろんとなってしんでた。

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