9.04.2022

[film] César et Rosalie (1972)

8月29日、月曜日の晩、ル・シネマで見ました。
Romy Schneiderの特集上映は終わってしまったが、一日一本はまだやってくれているので、それで。(でも16:30開始はやめて)

英語題は“Cesar & Rosalie”、邦題は『夕なぎ』。「夕なぎ」ってなに?
監督はClaude Sautet、少し電子音が入った音楽はPhilippe Sarde。Romyの衣装はYves Saint Laurent。ナレーションはMichel Piccoli。

アメリカから帰ってきたらしいコミック作家のDavid (Sami Frey)が画家のMichel (Bernard Le Coq)を訪ねて彼女 - Michelの妻だった - の消息を聞いて、離婚して解体屋と一緒に暮らしているというので、そこに向かうことにする。Davidは彼女がMichelと結婚する前に彼女と付きあっていたらしい。

パリで解体屋をやっているCésar (Yves Montand)は儲かっているようで、威勢も羽振りもよいし強めの交渉もうまそうだし、Rosalie (Romy Schneider)と彼女の娘とも仲良しで生活の不安も不満もなさそうに見える。

でもRosalieの母の結婚式にふたりで参加して、大雨に降られたりアクシデントが続いた先にDavidが現れたところでRosalieの様子が少し変わったのを見るとCésarの落ち着きとか自信がなくなって、Rosalieに問い正したりしても疑念が晴れずに雪だるまで膨らんでいって、Davidのところにも押しかけて、この様子をしらっと見ていたRosalieはDavidの方にやってくるようになり、DavidはRosalieを救いだそうと思ったのかどうなのか、とにかくCésarは更に病的に狂っていってDavidのオフィスに押し入って作品とか家具とか荒らしまくったりDavidに怪我させたり(ここで警察呼べばいいのに呼ばない)。

CésarはそのうちDavidとRosalieがひっそり暮し始めた海辺の町にもやってきてRosalieを連れていっちゃって、でもしばらくすると、Rosalieの目がしんでて元気がないのでうちに来てくれないか、ってCésarがDavidのところに来たので(あんたが消えればぜんぶ解決、って突っ込む)、彼が買った海辺の別荘に向かって、一見家族みんなで楽しく過ごすのだが、Rosalieは突然出ていってしまい…

これ、メロドラマなのか大人の恋愛ものなのか知らんが、ぜんぜんわかんなくて、これがClaude Sautetの代表作らしいのだがなんで? しかなかった。(おなじ監督なら、”Max et les ferrailleurs” (1971) - 『マックスとリリー』の方がよくない?)

それぞれの登場人物、キャラクターとしてああいう人達がいることはわかる。特にYves Montandの嫉妬深く、独占欲まるだし束縛したがりのボスでも旦那でも - 普段は面倒見もよいしとってもいい人なのよ - の解体屋はそこらにとってもいそうで、でもあの人物がああいうストーカー一歩手前の振る舞いとか暴力に打ってでてきた時、あんなふうにてきとーに泳がせておくものだろうか? 恋愛が入ってこなければ金づるとしてよいとか?  Davidの方はコミックを描いていたりひとりでいる方で、一歩引いて相手が来るのを待って - まず自分がだいじ - それで来なければさよなら、のタイプで、要はCésarとはぜんぜんちがう。

ラストはRosalieに置いていかれた男ふたりがなんでかひとつのテーブルで仲良くエビなんかを食べていると突然向こうからRosalieが現れる、そのストップモーションで終わるのだが、もういっこよくわかんないのは、男ふたりをそんなふうにしてしまったRomy Schneiderの魔性なかんじがいまひとつ見えないのと、あのタイプがまったく異なるふたりの間で悩んだり揺れたりする..  かなあ?  犬と猫の違い、よりもギャップがある気がしないか?

そうか、このドラマは男だろうが女だろうがどれだけ理不尽だろうが自分を崇拝させないことには気がすまないボス猿Yves Montandのオトコくさい魅力をこれでもかと見せつけるヤツなのかも、タイトルも、”César et les ferrailleurs”でよかったのでは、とか。

なんというか、Rosalieがふたりの男の間で揺れるなにか、を描くことで結果としてCésar的な男の情熱だの強引さ(という名の暴力)を許容してしまっている、という点でなんか... だったのとあとやっぱり、これがなんで『夕なぎ』になるの? って。『夕なぎ』が来るとしたら彼が完全に消えてからではないか。

あと、Isabelle Huppertさんがちょこちょこ出てくる。彼女はこの頃からこういう情景を横で見てきたので…


Taylor HawkinsのTributeを見てて、知っている曲ばかりだしおもしろいのだが、なんだかいろいろ考えてしまった。ひとつだけ、Dave GrohlとOmar Hakimがドラムスに入ったRushは、やっぱしRushではなかったねえ、とか。

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