9.24.2022

[film] 3 Godfathers (1948)

9月13日、火曜日の夕方、シネマヴェーラのジョン・フォード特集で見ました。『三人の名付親』。

原作はPeter B. Kyneの小説 “The Three Godfathers” (1913)、これをFrank S. NugentとLaurence Stallingsが脚色したもの。新約聖書の東方の三博士(or 三賢人)のお話を西部劇に置き換えたもの。フォード自身も同じテーマでサイレント時代に”Marked Men” (1919)として映画にしていたものをテクニカラーでリメイクして、前作で主演していた偉大なるHarry Carey(前年の1947年に亡くなっている)に捧げて、息子のHarry Carey, Jr.を名付け親のひとりに据えている。

3人のお尋ね者 - Bob Hightower (John Wayne), Pete (Pedro Armendáriz), The Abilene Kid (Harry Carey Jr.) がアリゾナのWelcome(という地名の町)にやってきて、次の強盗の標的を探しているとき、そうとは知らずに声をかけた保安官のBuck Sweet (Ward Bond) と彼の妻 (Mae Marsh)からコーヒーをご馳走になって自己紹介までしちゃって、でも計画は変えないで銀行強盗をして、金は奪ったもののKidは撃たれて馬を失い、名前も顔もわれているので保安官御一行は三人を追い詰めるべく水場を中心に包囲網を敷く。

追われる三人は水場を求めつつ保安官の罠を避けて歩いていって、砂嵐だのなんだのでひどい目に遭って馬もいなくなり、ほぼ瀕死のような状態になったところでうち棄てられたようなワゴンを見つけたら、そこに生まれそうな状態で動けなくなっている妊婦を発見する。お産に立ち会ったことのあるPeteが面倒を見ることにして、お産に必要な水は残りのふたりがサボテンを絞って取って、なんとか生まれた男の子を前に、母親は三人にその子の名付け親になって - 3人の名前から"Robert William Pedro Hightower”と名付けられる - 面倒を見てほしい、と頼んで静かに息をひきとり、こんなほぼ死にかけの3人で、生まれたばかりの赤ん坊の面倒なんて見れるのか? って思うのだが、コンデンスミルクの缶詰とかでなんとかして(なんとかなるの?)、赤ん坊を生かして誰かに託するために歩き続けるのだが、Kidが倒れ、Peteも…

最後の方は西部劇の威勢よさなんてカケラもなくて、どちらかというと宗教ドラマのようなカラーや構図を帯びていって、それはそれでおもしろいのだが、更におもしろいのはJohn Wayneの表情とか挙動が宗教的な素振りやオーラを一切受け容れないというか、拒絶するくらいの気だるさ/面倒さで映しだされているようで、最後の片手をあげて去っていく姿には感傷もくそもない。二度と関わりたくねえあばよー(中指)、のように見える。(いやそんなことないよ、っていう人もいるのだろうが)


3 Bad Men (1926)

9月11日、日曜日の昼に見ました。『三悪人』 - サイレント。

↑のも3人のお尋ね者が赤ん坊を救う話で、これも同様に3人の極悪人が父親を殺された女性を守って面倒をみる話で、なんで3人の悪トリオなのだろう? しかも巻き込まれるようにして女性に出会ったら悪くなくなっちゃうのだろうか? しかもきちんと世話をしようとして命まで投げ出してしまうのだろうか、ていうのは少し気になる。

1877年のスー族の土地で金が見つかってゴールドラッシュが始まろうとしていて、土地を求めて人々がやってくる中、悪い連中もやってきて、Mr. Carltonのワゴンも襲われて娘のLee Carlton (Olive Borden)は三悪人 - 'Bull' Stanley (Tom Santschi), Mike (J. Farrell MacDonald), Spade (Frank Campeau) - に救われて、その縁で気のいいカウボーイDan O'Malley (George O'Brien)と彼女を一緒にしたり、悪徳保安官 Layne Hunter (Lou Tellegen)から彼らを守ったりすることになるの。

でもこれだけではなくて、自分の土地を得るためにある日ある時刻がきたら早い者勝ちで確保できるというので、横一線 - はんぱな一線じゃないの、どこまでも続いててあれ本物? - に並んで、よーいどんで一斉に荒野を走り出すとこ、実際の音が聞こえてきそうなくらいの迫力で、車輪が外れたり脱落する人たちもいて、あー自分はぜったいあれ無理だ/あんなふうになるー って。 そんなふうにいろんな人たちが入り乱れて走っていく中に、点のようにしてある善き人たち、悪い人たち、そして三悪人。

三悪人のそれぞれの最期/自己犠牲は、この後のこういう映画で度々描かれることになるであろう、かっこよすぎてずるい、みたいなのの典型、その始まりのようで、それにしたって十分すぎるくらいかっこよい - 小屋におびき寄せてあばよ、とか。 約100年前に、音なしで特殊効果もなしにこれだけのものが作られていたのだ、って。

でもやっぱし、あんたたちいったいどこが三悪人やねん? てなる。

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