6.01.2022

[film] Top Gun: Maverick (2022)

5月27日、金曜日の晩、二子玉川の109シネマズのIMAXで見ました。

第一作の”Top Gun” (1986)は見ていない。まわりはみんな見ていたけど誰があんなの見るか、という季節だった。これと、あとは”Rambo” (1982)なんかも、レーガンの時代のアメリカのプロパガンダ映画、という位置づけで、あんなの見るお金があるなら本とかレコード買うし、他に見るべき映画だっていっぱいあったし.. だった。今度のだって製作が始まったのはトランプ政権下 - 企画は2010年で、Tony Scottの死で止まっていた - だし、公開直前にウクライナ侵攻が始まっているし、この情勢でふつうに公開するのか? って思ったらびっくりするくらい普通にプレミアしてお祭りしているので驚いた。そうか内容が結構ちがっているのか、と思ったら割とどまんなかでアメリカ万歳なのだった。 ならずもの国家の不審な動きには毅然として対応する – いきなり空爆どーん、って。でもみんな喜んで賞賛しているので、いいのかな、こわいなー、って思いつつ。 以下、ふつうにネタバレする。

冒頭、いきなり”Danger Zone”とか鳴り出すので萎える。この曲しぬほど嫌いだったし。最初は明らかに前作から老いて、昇進も引退も拒んでいるというPete "Maverick" Mitchell (Tom Cruise) - 誰もが”Pete”じゃなくて”Tom”って見る - がバイクを飛ばして空軍基地に行って、飛行機でマッハ10に挑戦する話で、直前にEd Harrisの鬼軍曹が現れて、なんでそんなことやっているんだ? 中止しろ、っていうのだが、強行してマッハ10まで行ったところで機は飛び散っちゃって - 飛び散るイメージきれい - でもTomは死なないのですごい。あの爆風を受けて吹き飛ばないEd Harrisもすごいが。

こんなのふつうであれば首になるところを偉くなっていたIceman (Val Kilmer)が拾ってくれて、エリートパイロット養成所Top Gunの教官に任命されて、その立場にあったCyclone (Jon Hamm)とかに嫌味を言われたり衝突したりしつつ、生意気な若者たちを鍛えあげていく - というより最初から誰もTomには勝てなくて、バツの腕立て伏せばかりさせられる若者たち。

任務は明確にあって、数週間後、ならずもの国家が建設中のプラントにウランが運びこまれる前にそこを壊滅させて悪いのを阻止すること。向こうは第五世代の戦闘機とかミサイルとか山奥の要塞にいっぱい備えて待ち構えているので、奇襲して奇跡を2回起こして9以上のGに耐えて大急ぎで戻ってくること。Cycloneはこれだけの任務と超難の敵地突破なので多少の犠牲はやむなし、と思っているがTomは全員生還させるから、って、特訓を施すのだが若者たちにはきつくて、更に突然運びこむ予定が早まったので襲撃も早まるとか言ってきて。

あとは若者たちとの対立 - 前作で亡くなった”Goose”の息子の"Rooster" (Miles Teller) - 鵞鳥の子は雄鶏 - に恨まれているとか、威勢よくて自信たっぷりのHangman (Glen Powell)とか、バーのカウンターに立っているにしてはお金持ちできらきらしすぎのPenny (Jennifer Connelly)との間で燃えあがる恋とか。教官としての資質に悩んだりしても、結局自分で飛んじゃうんだから世話ないし、どうせそのうち無人で飛ぶようになるのなら好きにやるし。

敵陣に入って爆弾を落とすネタというか仕掛けは、”Star Wars”のEP4でルークがデス・スターのケツの穴を攻めるところと同じようなあれで、敵陣に落っこちてそこから抜けだすところは”Mission Impossible”としか言いようがなくて、最後にもういっかいEP4のあれみたいなのがくる(簡単に予測できて、ここはまさかやんないよね、と思っていたらやった.. )。銀河系の遥か彼方のお話しだと思っておけばよいのか… (よいの?)

これは主にTomと戦闘機の大活躍を見せるファンタジーなので、軍の施設で働く人たちとか敵側がどんなならずものなのかとか、隊員の家族の心配とか、余計なものは一切見せない。ビーチで遊んでチームビルディングをして特訓も笑顔で汗かいてがんばって、最後に歯をくいしばって突撃して勝利して笑って仲直りする、そういう肉体から何からぴかぴかでパーフェクトな世界がどこかにあって、それらによって爆撃されてしまう世界もある、でよいのだ、たぶん。

同じJoseph Kosinski監督による”Oblivion” (2013)を思い出して、あそこでのTomも地球を防衛していたけど、記憶をコントロールされていくらでもリプレースがきくクローンとしてどこかから統制管理されていた。今回のもそれに近い、と思えばわかんなくもない。あまりに死ななさすぎる。次の”Top Gun: Oblivion”では、”Top Gun: 10”の撮影に入ったTomがおかしなところに気付くところから始まるはず..

そんなTomですらチャーミングに見せてしまう、というか、そんなの関係ないかのような輝きを見せてしまうTomがとんでもないというか、そんなスターの映画、ということなのだろう。みんな褒めてるし。

流れてくる音楽のどこかの時点で化石になってしまったかのような、モダンの欠片もないような頑固さも狙ったんだろうなー。

オリンピックの時のブルーインパルスとかも、けっ、とか思っていたので、ここにはずっと馴染めないな、って。

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