6.16.2022

[film] a-ha: The Movie (2021)

6月9日、木曜日の夕方、ヒューマントラストシネマ渋谷で見ました。

これはもちろんSweden映画であるところの”ABBA: The Movie” (1977) – 大文字 - に対抗すべく作られたNorway映画 – 小文字、というふうに見るのが正しいのだろうか。

みんなが知っているようで知らなかったa-haの評伝ドキュメンタリー。1982年にオスロで結成された3人組については、1985年のメガヒット”Take on Me”(のPV)以外には知らないことも多かったかも。(曲のいくつか、知っているのもあったけど)

昔話: “Take on Me”がリリースされた頃は、まだ英国を中心とした洋楽(「洋楽」っていう呼び方なんてなかった気がするが)に朝から晩までどっぷり浸かっていて、はじめは当時ちょこちょこ出てきていたエレポップの亜種・変種として聴いた。みんなで歌ってたのしい”Karma Chameleon” (1983)の「カーマカマカマ〜」に匹敵する 「トゥルットゥールー ィー⤴️」みたいのは絶対でないのがおかしくてみんなが笑顔になった(おなじ高音でもBronski Beatはも少しまじめに聴いていた気が)。  今はどんな音楽がチャートの上の方にいるのか、さっぱりわかんない(怠慢)のだが、当時は英国チャート(ラジオの全英トップ20)を聴いていれば世界の動きを把握することができていた(傲慢)気になっていて、そうやって聴いていくとたまに珍獣みたいのが登場して楽しませてくれる - a-haというのはそういう分類に置いて適当に流していたのだが、ある日、ビデオ周辺を追っていた人から - これも当時は情報源は限られていて、VHSのデッキを持っていてそれを家庭内で自由に操作する権利を与えられていて、ザ・ポッパーズMTVとかを見る時間のある裕福な層 – から、このビデオをみてほしい、と言われて見たのが”Take on Me”のあれ - それがいまでは基礎文献のように誰もが押さえなくてはいけないSteve Barronのアニメーションので、当時誰もが(Twitterなんてなかったけど)呟いていたように、「あれはずるい..」しかなかった。みんな底なしにひねくれててクソ暗かったので「すき」なんて死んでも言えないし言わないのだが、あれは認めざるをえない、あんなふうに壁にがんがんぶちあたって崩れおちてみたい。やられた..と。以上がa-haの思い出ほぼぜんぶ。ちなみにこれと同様に後からひっくり返されてやられたー、になったのがBjörkのいたThe Sugarcubesであった。来日公演で完全に持っていかれた。

あーこういうのも年寄りの茶飲み話なんだろうねえ..  でもこういうのをえんえんだらだらやりたいなー

さて、冒頭は最近の彼らのライブ直前の楽屋で、ぜんぜん仲よさそうには見えない3人 - 顔も見たくない、って言ったりする – がステージに向かって”Take on Me”の演奏を始めるところから。オスロの、互いにそんなに離れていない住宅地で、それぞれに音楽に触れながら音楽家になる夢を見ていた3人が集まって、ロンドンに出たり戻ったりを繰り返しつつバンドの音を固めていって、84年の最初のバージョンの”Take on Me”ができて – ここにTony Mansfieldが関わっていたのかー - シングルもビデオも世界を支配する。”Take on Me”のいろんなバージョンをこの映画では聴くことができるのも素敵だった。

ドキュメンタリーとしてもうちょっと掘ってほしかったところは、終盤にa-haは友情で繋がったバンドではなかった - 音楽で繋がっていたのだ、ときりっと語るとこがあって、それが冒頭の「顔も見たくない」の発言にどう関わってくるのか。音楽の志向が決定的に異なっているのだとしたらどうしてバンドを続けているのか、音楽についてはOKだがそれ以外の関わりはもう一切持ちたくないという意味なのか。一度解散している、その辺の事情と今はこういう映画も作って再びツアーに出ている、その辺の理由と事情かも(やっぱしお金?)。

オスロっていう土地もなんか気になって、”The Worst Person in the World” (2021)の監督Joachim Trierのオスロ3部作を見始めたところ(ちなみに”Oslo, August 31st” (2011)では、a-haが少し流れる)なので、この街にはやはりなにかあるのかも、って思ったり - ムンクのいた土地でもあるし。

旅にでたいようー (完全に逃避モード)

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