4.26.2017

[film] The Handmaiden (2016) - Director's cut

イースターの4連休初日の金曜日の午後、SOHOのCurzonでみました。 『お嬢さん』。
(主役はどうみても下女の珠子のほうなので、英語タイトルのほうが正しいと思うのだが、日本だと... まあいいや)
こっちでは通常の144分のと、それより20分長いDirector's Cutの2種類を上映していて、どうせなら、と長いほうにした。

英国では公開前のプロモーションは相当やっていて、こちらのポスターは日本髪・着物の秀子がまんなかにでーんといるGeisha ! なやつで、あーあ、なのだが、レビューはSarah Watersの"Fingersmith"がどう料理されたか、などを中心に割と好意的なかんじ。

日本統治下の韓国で、山奥のお屋敷にメイドとして送られてお嬢さん秀子さまのお付きになったスッキ = 珠子は、秀子と結婚して莫大な財産をぶんどろうとするエセ伯爵と詐欺師仲間で仕込みを進めていくのだが、秀子さまのお世話をしていくうちに互いに惹かれていくものがあって、でも陰謀のほうも着々と進行していって、どっちにどう転ぶのか。

人里離れた閉鎖的な場所で、何人もの下女を抱えてやりたい放題豪勢に暮らす占領する側の貴族 - その内部でもいろんなオイエのダークな事情や駆け引きがあり、占領され、奴隷として働くことを余儀なくされる側にもそれなりの事情や駆け引きがあり、その両者間の水面下のねちねちやらしい攻防を描きつつ、水槽のタコ(あれ本物?)のようにそこからばしゃばしゃ溢れて止まらなくなる欲とか業とかを掬いあげて、愛の名のもとに水槽をばしゃーんてひっくり返してみよう、とか。

迫害・騙しあいを中心にした権力抗争のドラマと見るか、その関係が集約されてくる主人(複数)と下女との愛と憎しみの相克ドラマとして見るか、それらぜんぶを過去のいろんな記憶とか仕掛け - 建築物 - とかも含めて重層的に構築しようとすると全3部、2時間半はかかってしまうのだろうし、これだけの時間をかけていろいろ散りばめたが故にラストのカタルシスも効いてくるのだとは思うのだが、やっぱり、ちょっと冗長・重厚すぎたのではないかしらん。 あと、ほんとうに重厚なドラマにするのだったら男側の叔父さんとか、ちょっと役不足だよね。 TVドラマならありかもだけど。

でも主役の女の子ふたり(あと自殺してしまう叔母)だけはとても生々しくそこにあるかんじがしたので、それで十分だとも思った。

田中登とか神代辰巳だったらもっと古い屋敷のゴスでねっとり隠微なかんじを出せたと思うし、鈴木則文だったらもっと痛快でパンクなかんじにできたと思うし、でもそういうのはないものねだりで、今の邦画にこれだけのパワーをもった怪作を作れるかんじはしない。それがどうした、ではあるのだが、ね。

あと、本をあんなふうにしちゃうのはいけないわ。 ツタヤ並みにひどいわ。


Jonathan Demmeがあまりに突然逝ってしまい、彼の新作を見れなくなるというのがどういう事態なのか、とっても悲しい、と口でいうことはいくらでもできるのだが、まだきちんと飲みこめていない。 Neil Youngの新しい映像はもう見れなくなってしまうのか。
みんなそれぞれ思い出のライブフィルムやシーンがいっぱい出てくると思うけど、最近のドラマだと”Ricki and the Flash” (2015) から”My Love Will Not Let You Down”を。
ありがとうございました。 R.I.P.

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