4.02.2017

[film] Behind the Door (1919)

27日の月曜日の晩、BFIで見ました。 修復されたサイレントで、UK Premiereとなる35mmでの上映。

最初に今回の発見と修復をしたSan Francisco Silent Film FestivalのRobert Byrne氏の挨拶。
そもそもこれはどういう映画かというと第一次大戦時の雑誌に載った数ページの短編をベースにプロパガンダふうに撮ったもので、当時はそこそこヒットして評価もよくて、柳の下の第二弾も作られた(”Below the Surface”だって..)。

完全なバージョンがどこにも存在しなかったので修復は困難を極めて、主演のHobart Bosworthが保有していた版とかいろんな国のアーカイブにあった断片を繋いでいって、最終的な像が見えたのはロシアのGosfilmofondで発掘されたバージョンだったと。 いろいろ彩色がされているしフラッシュバックが多用されて現在過去を行ったり来たりする物語だったので繋いでいくのは大変だったが、ちゃんとしたContinuity Scriptがあったのでなんとかなった、と。

物語は、寂れた村の廃屋によれよれの老人が戻ってきたところから物語は過去に飛んで、村で剥製屋をやっているOscar Krug (Hobart Bosworth)は力持ちのよい人なのだがドイツ系ということで村人から偏見をもって虐められてて、それを跳ね返すべく海軍に入って艦長になるのだが、軍に入る前に結婚した妻(Jane Novak)は実家から勘当されて行き場がなくなってこっそり船に乗ってて、ドイツの潜水艦にやられて船は沈没、妻は潜水艦のほうに捕らわれてしまう。 その後、今度はOscarが潜水艦に逆襲してそこの艦長(Wallace Beery)を情けで助けてやるのだが、彼から半ば得意げに妻のその後を聞いてしまったOscarは… 
(Oscarは剥製屋さんだったの..)

サイレントのホラー、という紹介だったが本当におっかないし、殴り合いとか互いに血だらけぼろぼろになるくらいのものすごい迫力で  - ライブでピアノを伴奏するNeil Brandさんが丸太のような腕で思いっきりピアノをひっぱたく -  なかでも最後のクライマックスの光と影の使い方とかはわー、って口を開けて、それを手で抑えて(ホラーのリアクションね)。 ただ、Robert Byrne氏もイントロで言っていたように、ここでのホラー、その悲惨さの根源には当時のドイツ人・ドイツ系に対する偏見やヘイトがあったのだと、それは現在とまったく無縁のものではないと。 本当にそうだわ。

戦争、潜水艦、剥製、ヘイト、ぜんぶおっかないけど、いちばんよくないのはヘイトだよね、ていうのと、当時ヒットした映画でもこんなふうに散逸して修復に軽く数年かかってしまう、だれを責めてもしょうがないのだろうけど、他にどれだけこんなふうに埋もれてしまった映画があるのかしら .. てこれはいつも思うことだった。


たぶん再放送だろうが、いまBBC4のドキュメンタリーでGuitar Riffの特集してて、Johnny Marrさんが”This Charming Man”の説明をしてる。 その後にKevin Shieldsさんが。
そうしているうちにKinksの特集になってしまった。 はやくねなきゃ。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。