4.10.2017

[film] Der amerikanische Soldat (1970)

2日の日曜日の夕方からBFIで3本続けて見ました。ぜんぶ白黒、2本が35mm。
週末のSouth Bankはフードマーケットをやっていて、上映の合間にそっちに行ってバーガー食べたりエッグタルト食べたりレモネード飲んだりしていたので、ぜんぜんだるくはならなかった。

Der amerikanische Soldat (1970)   ..35mm

Rainer Werner Fassbinder映画祭からの1本。2014年にオーディトリウム渋谷でやったファスビンダー映画祭で見逃していたやつなのでうれしい。 『アメリカの兵隊』
冒頭、3人のぶ男(警察)がカードやっているところにフィルムのちりちりした音が絡んでくる、それだけでなんかたまらないかんじ。 アメリカ軍にいた殺し屋Ricky (Karl Scheydt)が仕事の依頼を受けてはさくさく実行していくさま、Rickyと女たちと母親との抱擁、彼の反対側にいるやくざ警官トリオとの諍い、いろんなのが臭気たっぷり、でもあっさりめで描かれる。

ファスビンダーの劇団 - Antiteaterのメンバー総出なので、演技は全体にスローで芝居っけたっぷりで胡散くさくて、そこにPeer Rabenの音楽が水飴のようにバターのように塗りたくられていて、なんというかっこいい、のではないし気持ちいい、のでもないし、ただあの世界に酔っ払ってしまうかんじになるの。 酔って吐き気のほうに転ぶ一歩手前のスリルとか。
ラストの決まったんだかずっこけたんだかよくわからないコントラスト(とその垂れ流し)も素敵。

Pickup on South Street (1953)
   .. Digital

Samuel Fuller作品で、なんで? とおもったらFassbinderに影響を与えたかもしれないやつ、みたいなカテゴリーでの上映。 邦題は『拾った女』..だけど、これ違うよね。
始まってしばらくして、あ、これ見たことある、て思ったのだがいいの。(2004年に見てた)

NYの地下鉄でSkip (Richard Widmark)がCandy (Jean Peters)のバッグから財布をスったらそこに共産スパイが他国に売ろうとしていた機密が隠してあったものだからさあ大変、地下鉄とかビルの中外とかチャイナタウンとかNYじゅうでSkipとCandyと警察とスパイの四つ巴の追っかけっこが始まるの。
ひとつ前の「アメリカの兵隊」と比べるとおなじ都市の地下世界を描いたノワールなのにこうも違うもんかのう、てしみじみする。特にスピードが。33回転と45回転くらい。 でもどちらもめちゃくちゃおもしろい。警察がぼんくらなのも共通している。
あと、Boweryに住むネクタイ売りのおばあちゃんのMoe (Thelma Ritter)がかっこいいの。

I Walked with a Zombie (1943)  .. 35mm

これはFassbinderとは関係ない世界の古典、みたいな枠での上映。
前の年に“Cat People” (1942)を当てたRKOがホラー第二弾としてリリースしたJacques Tourneur 作品。

雪がこんこん降るカナダで看護婦になったBetsy (Frances Dee)はカリブ海の島に行ってみないか、と請われたので使命感たっぷりで行ってみると、派遣先の家族はなんか変で彼女の使命はそこで寝たきりになっている奥さまの介護をすることだったの。 奥さまの病状が現地のヴードゥーに関係がありそうだと思ったBetsyは周囲をいろいろ探りはじめて。

ここでのZombieていうのはLiving Deadのことで、人を襲ったり噛んだりそれで感染して増えたりしない。
ただ立って歩くし、引っ張られればそっちの方とか、されるがままに寡黙についてくるの。
貰った解説文によると”West Indian version of Jane Eyre”を狙ったそうで、おおなるほどー、と。

同じ解説文で、Tourneurはキャリアを振り返ってこれがいちばんよくできた(Best)作品と言っていたって。
えー、とか思うのだが、夜風のなかをZombieとふたりでゆっくり歩いていくシーンの美しさは後のほうのTourneurの映画にもあった夜のシーン(... なんの作品だっけ?)にも近い気がして、なんかとってもよいじゃん、とか思ってしまったの。

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