12.26.2010

[film] Somewhere (2010)

Blizzardがきますよ! てニュースで言っている。
昨日の変な頭痛はそのせいだったのか。


クリスマスイブの昼間は、なんだかとっても穏やかでいくつかお買い物のとこにも行ってみたが、そんなには殺気だっていなくて、つまんなかったかも。

晩はBrooklynのPrime Meatsで、お肉を食べた。ほんとにPrime Meats、としか言いようがないお肉だった。

で、晩の9:20からAngelikaでSofia Coppolaの"Somewhere"をみる。
今年のベネツィアで金獅子を獲ったやつね。
イブの9時過ぎからこんな映画見にくるやつなんてろくなもんじゃねえ、であったが半分くらいは埋まっていたかも。

売れっ子俳優(Stephen Dorff)がハリウッドのホテル"The Chateau Marmont"にひとりで滞在してて、遊んだりセックスしたり寝たりの無為の日々を送ってて、たまに娘(Elle Fanning)が訪ねてきて、そのときだけちょっとだけ明るくなる。

で、娘が帰っちゃうと、"I'm fucking nothing…" って泣くの。

それだけの話なの。 ほんとに。

Sofia Coppolaの世界は、"Lost in Translation" (2003)以降、いちおう一貫していると言ってよいだろう。("The Virgin Suicides" (1999)は原作があるやつなのではずす)

どんな豪勢で高貴な暮らしをしていても、ひとは孤独になるし、さみしいし、居場所がなくてやりきれなくなるものなのよ、と。

"Lost in Translation"では、ぽつんと異文化の高層ホテルに置かれたビジネスマンの孤独を、"Marie Antoinette"では、異国の王室に嫁いで、宮殿でホテル暮らしをしているみたいなお姫様の孤独を描いた。

"Somewhere"もロスのホテルを基点に、主人公は車で出かけたり賞を貰いにイタリアに行ったりするものの、ひとは周りにいくらでも寄ってくるものの、彼の孤独を癒すことはできない。(オープニングの車でぐるぐるまわっているだけのシーンに集約されている)

そういう場所をどこか - ”Somewhere”- に探す、というはなしでも、そういう場所がどこか - ”Somewhere”- に見つるかも、というはなしでもなく、そんなのどこでもいい、どうせどこでもおんなじだ、の極めて投げやりな場所として、"Somewhere" は置かれている。 
わかんなくはないよ、とは言おう。

そして、そんな"Somewhere"の反対側にあるのが、過去の作品からは周到に排除されている"Home"という要素 - "Marie Antoinette"はじぶんの”Home”をつくろうとちょっとだけ格闘する話でもあったが - であり、この映画で唯一そういうそういうのを持ちこんでくるのが娘のElle Fanningが出てくるシーンで、ここはやっぱり明るくて楽しくなる。 ほんと綺麗なお嬢さんだよねえ。あの驚異的にすらっとした足とか。

でもさあ。

自身が大金持ちのセレブであるところのSofia Coppolaの、これがリアルであるのかもしれないし、こういう世界しか知らないから他のテーマを描きようがないのかもしれないけど、もういいよこんなの。 学生の自主映画みたいだよ。

えんえん続く、さほど意味があるとは思えない長回し、音も画面構成もはっとする瞬間が来るわけでもない。 あくまでも平熱状態に置かれたある場所、ある時間。
いろんな人や思いが交錯する「ホテル」という場の特異さとか、そういうかたちで描かれうる場所があり時間がある、ことはわかるけど、でも、もういい。

「わかる」と「わかんない」の間でジェスチャーみたいなゲームを、半ばわかったようなくすくす笑いを、ずうっと続けていられるほど、そういうのにつきあってあげられるほど、ひまじゃないのよ。
業界のお友達はいくらでも"Beautiful!"とか誉めてくれるかもしれないけどね。

んで、そういう反応も全部計算済み、のように見えるとこもなんかやでさあ。

Stephen DorffもElle Fanningもすごくちゃんと演技してて、だからこそ、なんとかならなかったのか、とか。

エンドロールで流れるBrian Ferryの"Smoke gets in your eyes"は、愛に溺れた自分自身の位置をあえて優しく皮肉ってみる美しい曲でしたが、それがほんとにしゃれにならない滑稽さでもってこちらに響いてくるのだった。

ここのAngelikaは、横を走っている地下鉄の音ががんがん聞こえるシアターでもあるのだが、この映画にかんしては、地下鉄のノイズがなんだか妙に心地よく聞こえてきたの。

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